この記事のサマリ
「安定した生活」を贈りたい新人ITエンジニア向けに、超凡人エンジニアである筆者の経験則を基に、重要だなぁと思っているポイントをまとめることで、読んでくれた人に、良くも悪くも何か気づきを与えることができたらなぁと考え、投稿した次第です。
大それた事は書いていないですが、何か一つでも気づきを与えられることができて、それが少しでも日本のIT業界を元気に楽しくしていくことにつながったらと思います。
はじめに
入学の季節になり、新卒一括採用によって採用されたITエンジニアの方々が、この厳しくも楽しい社会という大海原に飛び出してきたものと思います。
私自身も、数年前に新卒一括採用という流れに乗り、社会にでてきた、どこにでもいるようなエンジニアの一人です。
新しくエンジニアとして、入ってきた人のキャリアパスはさまざまあると思います。
例えば、
「プログラムをバリバリ書き続けて、それ自体に価値があるプロダクトを作り続ける人」
「マネジメント力を高めて、プロジェクトマネージャーとして、さまざまなプロジェクトを遂行する人」
「マーケティングを学んで、アイディアを創出し、起業する人」
ITエンジニアは、本気で努力すれば、本当に多種多様なキャリアパスをデザインすることが可能です。こんなにも多様なキャリアパスを描けるのは、おそらくIT系のエンジニアぐらいなのではないでしょうか?
ただ、日本のITエンジニアの大半は、Wikipedia:IT業界離れやWikipedia:ITゼネコンにあるように、大手SIerを頂点として、ピラミッド構造型かつ労働集約型の受託開発が大半を占めており、日本の価値を高めるという意味では十分に貢献できていないように感じるのも事実です。
また、労働集約型のビジネスが中心になってしまっていることから、クリエイティブで優秀な人に参入してもらおうというよりも、エンジニアとしての基礎が何もない未経験の人であっても、とりあえず安くて体力のある若者を捕獲すればいいや、と考えている風潮すらあり、「ITによる価値の創造 < 雇用捻出」のようになっていて、エンジニアに憧れて入ってきた私からすると、とても嘆かわしく思っています。
とはいえ、「ITによる価値の創造 < 雇用捻出」という考えは、日本経済からしても限界がきており、オリンピックを迎える5年後には変えざるを得ない状況になるという説もあります。「ITによる価値の創造 > 雇用捻出」という事になったら、優秀なエンジニア以外は必然的に淘汰されてしまうはずですので、若い内から前を向いて努力を続けている人は辛い思いをしなくて済むと考えていますし、すこしでも前向きな人を応援したいと考えています。
「安定」とは何か?
ITエンジニアに限らず、社会人になった方々って、「安定」を望む人って多い気がしませんか?私は、多い気がしています。同時に、ちょっと勘違いしているんじゃないかなぁって人が多いようにも感じています。
すでに終身雇用は崩れていると言われており、会社にしがみついていれば、一生安泰というわけではありません。誰もが聞いたことがある大企業ですら、5年・10年の間に売上や利益が激減し、大量リストラを実施していることが、終身雇用の崩壊を裏付けていると思います。
もし「安定した生活を送りたい」という考えを持っていて、「会社」にそれを望んでいるのであれば、その考え方は一旦捨てたほうが賢明だというのが私の考えです。
そもそも、「安定した生活を送りたい」というのは、今の資本主義の世の中では、「生活していくためのお金を、ずっと継続して入るようにしておきたい」ということと同義だと思うのですが、終身雇用が崩れているのが事実であるとすれば、会社にそれを求めるのは幻想にすがるようなものです。(もし自分だけは大丈夫なはず。と考えているのであれば、それはとっても危険な考えですよ??)
では、「生活していくためのお金を、ずっと継続して入るようにしておきたい」というのを実現するにはどうれすばいいのでしょう?私は、「あなた自身が価値を提供できること」と「あなた自身の価値をいろんな人に評価してもらえるようにしておくこと」ということが重要になってくると考えています。会社をリストラされようが、会社が倒産しようが、「常に前に進める状態にしておく」ことで、すぐに別の稼ぎ口を見つけられるという状態が、今時の「安定」であるというのが、私の考えです。
幸いなことにITエンジニアは、エンジニア自身に特別な価値があります(労働集約型における労働力としての価値ではなく、知的集約型のエンジニアとしての価値のこと)ので、自分を磨くことが、そのまま「安定」につながると思います。
自身の価値を高め続けていくための7つのポイント
では、「自分自身の価値を高め続けていく」ということを考えた場合、どんなことに注意すればいいのでしょうか?
その問いに対する絶対的な答えは、一生かけて見つけるもの(そして一生見つからず、ずっと改善していくもの)だと思いますが、私の経験則や人生観から重要だと考えていることを紹介します。人によって価値観は違うとは思いますが、個人的に汎用的かつ重要なものに絞ってまとめました。(当然、反対意見もあると思いますが、あくまでも私の持論としてとらえていただければと思います。)
問題や課題を探し出して改善しよう!!
問題とか課題というのを解決することに価値がないわけではないですが、「問題とか課題」がはっきりしている場合は、大抵の場合は専門家がいるため、専門家に解決してもらえばよかったりします。
それよりも、「自分自身で問題を見つけることができ、それを改善できる」というところを重要視すると、自身の価値の向上につながります。しかも、この能力は恐ろしいほど汎用性が高いです。
「えっ、でも問題なんてみつからないよ。。。」って、感じる人もいるかもしれません。そういう場合は視点を変えてみたり、基準を厳しくしたりするとよいです。一見なにも問題ないことは、簡単に「問題だらけ」に変わります。
例えば、新人社員が1日の内容を報告するような、「日報.txt」を作成するといった業務があったとしましょう。
【毎日定時前の15分を「日報.txtを書き上げる」→「先輩にチェックして、受領してもらう」というのが、1週間続きました。
最初は、指摘事項があったものの、後半は指摘されることは無くなりました。めでたしめでたし。】
一見何も、問題なさそうに思います。
それもそのはずで、「問題や課題」というのは、1+1=[?]というような、学校的な問題ではありません。何か「理想」とか「目標」とかがあって、その理想と現実のギャップが、「問題や課題」になります。
例で考えてみると、こんな「問題や課題」が潜んでいるかもしれません。
・「日報.txtを15分かけて書き上げている」→15分を5分にしてみると、10分足りないという問題が見えてきます。
→その問題を改善するには、「国語力(文章をサマリーするの力)の向上」や、「業務中に日報を意識したメモを取っておく」といった改善施策が考えられます。
・先輩は、日報.txtにフィードバックを与えることで、後輩を育てるというのが目的とすると、「指摘が無くなる = 形式的なチェックしかしていない(もしくは先輩社員が恐ろしく能力が低いかも(笑))」という問題が見えてきます。
→その問題を改善するには、形式的なチェックはセルフチェックリストを使って刈り取るようにする。チェックの目的を明確化して、必ず何かしらのフィードバックをするルールとするなどが考えられます。
こういった、小さいところからも問題は探すことができます。「問題を探すために、視点を変えたり目標を高く設定し、それをよりよいものに改善する」ということを、小さい問題を対象にして改善する癖をつけておくと、後々大きな問題に遭遇した時に、間違いなく役に立ちます。それに、こういった小さい改善は、いろんな人から感謝されることが多いですので、一石二鳥です。
日ごろから、「何か問題や課題はないか?」と自問自答してみて、「問題なし」が続く場合は、危険信号だと思って、振り返ってみるようにしましょう。
目標や理想と比べよう!!
先ほどの「問題や課題を探し出して改善しよう!!」にも通じるところがあるのですが、目標とか理想を掲げることは、自分自身の価値を高めるためには、非常に重要なことだと思っています。
私も、新人時代にはたくさんの辛い経験や失敗をしましたが、そんな風に凹んだ時は、必ずと言っていいほど「あの時の自分よりも成長している」から大丈夫と考え、これからも頑張ってスキルアップしよう!!という気持ちになっていました。
ただ、2年目くらいの時に、それではダメだという至極当たり前のことに気づきました。
それは、「あの時の自分よりも成長している」というのは、おそらく、「健全な人間なら100% trueになる」ということです。(肉体的な部分はともかく、精神的な部分や思考力といった部分を意味しています。)
凹んだ気持ちを回復するという意味ではいいかもしれませんが、「あの時の自分よりも成長しているかどうか?」という軸で考えても、もっと頑張るべきなのか、順調に成長しているのか?ということは絶対にわかりません。
そのことにようやく気付くことができた私は、「XXカ月後までににXX言語でXXのようなプログラムを作ってみる」といった具体的な目標(時期とやるべきこと)を掲げるように変わりました。漠然と書籍を読むのではなく、具体的な目標を立てて、その目標と比べてどうか?という基準で自己啓発を進めるようにしました。そんな風にやり方を変えてからは、自分自身の成長曲線の傾きが上がったことを実感しています。
自分自身のスキルアップを促進するために、具体的な目標や理想を考えた上で、現状とのギャップを分析し、具体的な行動に移してみましょう。
もし、目標を立てるのが苦手な人は、まずは「いつまでに」「どんな能力を身につけるのか」と「それによって何ができるようになるのか?」というポイントを考えてみるのがよいかと思います。また、定期的に見直しを行い、順調かどうかを考えてフィードバックしてあげましょう。
INPUTと同じくらいOUTPUTを大事にしよう!!
いわゆる意識高い系の人は、たくさんの書籍などを買ったり、新聞を読んでみたり、ネットを見たりするなどして、努力をしている人が多いと思いますし、そういった地道な努力は非常に重要です。
ただ、残念なことにINPUTだけで終わってしまっている、もったいない人が多いような気がします。私の経験からすると、INPUTというのは、OUTPUTがあって初めて自身の血肉になるものだと感じています。INPUTのみでOUTPUTをしないのであれば、おそらく何かの役に立つことは無く、ほとんど忘れてしまうのがオチです。
目的意識を持って、INPUTしたのなら、その目的に合うようにOUTPUTしてみましょう。
OUTPUTとは、たとえば以下のようなやり方があると思います。
・友人や同僚に話す
・プログラムなら、写経する
・Githubに公開してみる
・ブログに書いて一般公開する
・個人的に読書感想文を書いてみる
などなど
私のお勧めは、「ブログ」です。ブログのように一般公開を行うことで、もしかしたら有識者からフィードバックをいただけるかもしれませんし、少し敷居が高いので、より深く理解しようという心理が働くからです。また、意外と自分で書いた内容がgoogle検索で引っかかったりして、忘れていた記憶を思い出すきっかけにもなります。
積極的にいろんなことを教師にしよう!!
「自身の価値を高める」ということを考えた場合、どんな努力をすればよいでしょうか?
終業後や週末を使って、自己啓発に勤しむのがいいのでしょうか?
それも重要だとは思いますが、まずは日ごろの業務における経験値を増やすというのがよいと思います。
とても不思議なことなのですが、同じシステム開発プロジェクトに従事する担当者がいたとしても、プロジェクトが終わって得られた経験値は異なるようで、すごく成長したように見える人もいれば、まったく成長していないように見える人もいます。
そのようなことが起こるのは、さまざまな要因があるのだとは思うのですが、私は「経験した出来事をどれだけ教師とできるか」が重要だと考えています。
単純に自分が経験したことを、受け身にとらえてしまっては、得られるものはありません。
それよりも、経験したことに対して主体性を持ってとらえ、分析し、次にもっとうまくやるにはどうすればいいか?ということを繰り返し考え抜くの事が大事です。
まずは、「自分の行動に対する目標を決め」「それを達成できるように行動し」「目標に達成できたら、何がよかったのかを(目標に達成できなかったら、何が悪かったのかを)」分析し、次につなげましょう。最初は、小さいことからで構いません。このサイクルを5分のような小さいサイクルでもいいので、回すようにしましょう。特に、良いことも・悪いことも分析してフィードバックするのが重要です。この分析とフィードバックを無意識レベルでできるように癖をつけられると、成長率も向上するように思います。
まずは、一人で小さい時間でプロセスを回せる癖がついたら、その単位時間を延ばしてみたり、周りの人を分析して自分に対してフィードバックしてみましょう。周りの人の言動を分析して、自分自身にフィードバックかけることができる人はとても頼もしいですし、自分だけでなくほかの人を成長させることができる貴重な存在になれます。
仮に他人に言われてやっている作業だとしても、受け身にはならず、自身が主体性を発揮してやってみましょう。そして、一つ一つの経験を分析し、今後の糧にできるように改善を繰り返してみましょう。
ストーリーを大切にしよう!!
社会に出てからは、「決まりきったレールの上を歩いていく」ということは、基本的にはありません。(あったら、長い目でみると課題のような気がします。。。)また、何も考えずにえいやーってな感じでやってみても、よほど運があるとか、勘がするどくないと失敗にしかなりません。
そこで、私が大切にしているのが、いくつか「ストーリー」を考えることです。
一概には言えないですが、まずは以下のような流れでやってみるとよいと思います。
まずは、
1.達成したい目的は何か?を考える
つぎに
2.どんな人がかかわってくるのか?を考える
つぎに
3.達成したい目的に対して、取れるアプローチを考えてみる
最後に
4.目的達成のためのアプローチを続けるうえで、
アプローチを変えざるを得ないイベント(たとえばAさんが納得してくれなかったとか)を考えてみて、
その場合は、どんなアプローチが取れるか考えておく
→時には、目的の定義がそもそも間違っていたりすることもありますが、その都度ストーリーを組み直してしまいましょう。
また、サクセスストーリーがどうしても描けない場合は、いろんな人に相談してみましょう。もしかしたら、そもそも目的達成が無茶な可能性もあります。また、最初に考えたストーリーは、刻一刻と状況が変わっていくことが常です。状況の変化を楽しみながら、ストーリーを組み替えて、この後どんなことが起こる想定なのかを、何パターンか思い描きながらやってみましょう。
そうしていくうちに、だんだんと先読みができるようになってきて、成長につながっていくはずです。
※もしかしたら、新人の内は、誰かが手順書を用意してくれて、その通りに作業するというケースがあるかもしれません。もしそんな場合は、誰かが自動化して、自分の仕事がなくなる。。。なんて、ストーリーも往々にしてあるかもしれません。危機的な状況な可能性が高いですので、自分が置かれた状況を、よーく分析・整理して、サクセスストーリーを組んでみることを強く推奨いたします。
思いやりをもって行動しよう!!
人生にとって、「思いやり」というのは、あらゆる人間関係に対する潤滑油として働くように感じます。家族に対する思いやりや、友人に対する思いやり、恋人に対する思いやり、さまざまな思いやりがあると思います。「思いやり」というのは、人によってとらえ方が異なるかもしれませんが、ここで言いたいのは「相手の立場になって考えてみる」というところです。
「相手の立場になって考えてみる」というのは、「相手の役割を考えて、その役割ではどこが重要なのか?」を考えることです。
自分本位の言動ではなく、なるべく相手がどんな役割なのかということを考えた言動を心がけましょう。
たとえば、「プログラムを作るプログラマー」だったり、「決裁権を持っている課長さん」だったり、「システムを実際に使うユーザさん」だったり「システム開発を発注した方」だったり、役割が違うと「気になるポイント」も違います。結果的に同じ言動を取ったとしても、自分本位の言動と、相手の立場を想像して考えた上での言動では、相手の受け取り方も大きく変わってきます。
また、最初の内から「相手の立場になって考える」ことを意識しておくと、何年か時間が経過してくると、物事が俯瞰的に見れるようになりますし、そういう人はどこにいってもうまくやれているように感じます。
いきなり、相手の役割を想像するのは、難しいかもしれません。そんな場合は、相手の発言や行動をメモしておき、「どうしてそのような言動を取ったのか?」を分析してみるとよいと思います。まったく想像できないようなことがあれば、近くの先輩に聞いてみると何かわかるかもしれません。
世の中を形成しているのは、当然エンジニアだけではありません。いろんな人がいろんな役割で動いています。相手の立場や役割を知ろうとすると、世界が全然別のものに見えていることがわかってくるはずです。そういった見え方の違いは、ときにビジネスチャンスにつながることもあります。是非、「思いやり」を忘れずに業務に当たってみてください。
いろいろな情報に触れよう
昔でいえば、新聞は読んだ方がいいという話に近いのですが、自分の知っていることだけでは、なかなか戦っていけないのが現実です。毎日少しずつでいいので、自分の知らないことに触れておくことをお勧めします。何か一つの事を深く知るというのも重要なのですが、いろいろな情報に触れておくと、思わぬ形で繋がっていき、役に立つことが多いです。(会話のネタになったり、ビジネスチャンスを見出したり)
私のお勧めは、以下の方法です。
・適当なニュースアプリを利用する
└NewsPicksとかSmartNews・Yahooニュースなど
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└IT ProとかDiamond Onlineなど
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