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Power Automate Free ライセンスの自動付与を禁止した場合のフロー実行について

Last updated at Posted at 2024-06-03

はじめに

「Power Automateは一部の社員だけが作成できるようにしたいので、それ以外の社員がむやみに作成できないようライセンスをオフにしたい」、「ただしSharePoint上に組み込むフローの実行は、全社員に使わせたい」というお客様の声から色々と調べた内容をまとめました。

M365テナントに勝手に追加されるライセンス

テナント内の1人以上のユーザーが一度でもPower Automateにアクセスすると、M365テナントに「Microsoft Power Automate Free」という無償ライセンスが自動追加され、テナント内のユーザーにも付与されます。

例えば、Microsoft 365 E3などのライセンスオプションで「Power Automate」のチェックをオフにしていたとしても、この無償ライセンスが付与されることでユーザーのアプリ起動ツールやすべてのアプリの一覧に「Power Automate」のアイコンが表示されるようになってしまいます。

Microsoftの公開情報によると、このライセンスは追跡目的でのみ使用されるとありますが、無償ライセンスが付与されたユーザーはフローの作成、実行などの機能を利用することができます。
ただし無償ライセンスは個人利用が前提のライセンスのため、以下の制限があるとのことです。

・SLA 保証がなし
・月間フロー実行回数 750 回
・実行間隔 最大 15 分
・プレミアム機能利用不可(プレミアム コネクタ、UI フロー、Common Data Service 等)
・チーム フロー利用不可
※ 2021年1月時点の情報です

調査および検証内容

①Microsoft Power Automate Freeライセンスの自動付与を禁止する方法
②Freeライセンスを禁止した状態での各種フローの動作

①Microsoft Power Automate Freeライセンスの自動付与を禁止する方法

「ユーザーにMicrosoft Power Automate Freeライセンスが自動付与されるのは困る」、「そもそもテナントに付与されるのも禁止したい」という場合は、PowerShellコマンドで自動的にサインアップされることを禁止することができます。

設定コマンド

以下のコマンドを実行することで、Microsoft Power Automate Freeライセンスがテナントに自動サインアップされることを禁止できます。
ただしこのコマンドを実行すると、Power Apps、Power Virtual Agentsの試用版、無償版ライセンスのサインアップもブロックされます。

# モジュールのインストール(初回のみ)
Install-Module -Name Microsoft.PowerApps.Administration.PowerShell
Install-Module -Name Microsoft.PowerApps.PowerShell -AllowClobber

# 設定コマンド
Remove-AllowedConsentPlans -Types "Internal"
Remove-AllowedConsentPlans -Types "Viral"

# 確認コマンド
Get-AllowedConsentPlans

上記の設定コマンドを実施した場合、確認コマンドの実行結果(type)が{}(値なし)となります。

詳細は「参考リンク」に記載しているMicrosoftのサイトもご確認ください。

②Freeライセンスを禁止した状態での各種フローの動作

「ユーザーにむやみに無償版ライセンスの付与はしたくないけど、SharePoint上のフローは全社的に使わせたい」
そんな要望があった場合に、①の自動付与禁止が適用された状態でどこまで対応できるのか実際に検証してみました。

作成したフローと前提

動作確認のために、以下の3パターンのフローを作成しました。
各フロー内で使用している接続は、Power Automate専用アカウント(利用するSharePointサイトやTeamsのチームへの権限あり)で実施しています。

フローの種類 フローの内容
自動化フロー SharePointリストにアイテムが新規投稿されたら、特定の列の値を更新する
スケジュール済みフロー 1時間ごとに指定したチャネルにリマインドメッセージを投稿する
インスタントフロー 選択したSharePointリストアイテムの特定の列の値を更新する

テストユーザーの前提

・ライセンスオプションの「Power Automate」のチェックをはずした状態でM365 E3ライセンスを付与
・一般ユーザー想定で、SharePointは投稿権限付与、Teamsはメンバーとして設定

実行結果

フローの種類 結果
自動化フロー 検証用ユーザーが新規投稿したアイテムに対してフローが実行され、エラーなく終了
スケジュール済みフロー 検証用ユーザーのアクションに依存しないため、正常にフローが実行
インスタントフロー 検証用ユーザーが作成したアイテムを選択してフローを実行しようとすると「失敗しました」のメッセージが表示され実行不可

エラーになった際の画面イメージは以下のようになりました。
image.png

まとめ

検証の結果より、利用したいフローがインスタントフロー以外であれば、Power Automateライセンスが付与されていない状態でも利用できることがわかりました。
インスタントフローを全社的に利用する必要がある場合は、少なくとも利用対象者に付与するライセンスに内包されているPower Automateのオプションを有効化いただくか、無償ライセンスの自動付与を許容いただく必要がありそうです。

参考リンク

Power Apps と Power Automate の PowerShell サポート:試用ライセンスのブロックコマンド

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