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【2025年版】Elsevierでの英語論文投稿の流れと参考サイトのまとめ

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はじめに

大手出版社のElsevierのジャーナルに論文を始めて投稿する機会があったのですが、提出用のテンプレートのダウンロード先や提出までの流れ、他の提出しなければいけないファイルなど、あまりにも初心者にはわからないことがあったので、自分が見返すため、そしてこれから論文投稿をする日本人の皆様に向け、自分が躓いたところを中心にまとめてみました。

全体の流れ

Elsevierのジャーナルに論文を投稿する際にの、具体的な流れは以下の通りです。

  1. ジャーナルのGuide for authorsで原稿のルールを確認
  2. wordもしくはtexでの原稿の作成
  3. 原稿提出に伴う書類(cover letterなど)の作成
  4. 提出時の様々な内容の入力(potential reviewerの選定など)
  5. 原稿の提出
  6. 査読
  7. 出版決定

Guide for authors

それぞれの学会誌にはそれぞれの推奨する構成やルールなどが示されています。
そのため、まず初めにジャーナルのページに行き、Guide for authorsというページを確認する必要があります。

中身はどうも同じ分野の学会誌では共通の内容が書いているようですが、その学会誌独自のルールはAbout the journalJournal specific informationという章にまとめられていることが多そうです。ただ、ジャーナルによりまちまちなので、すべてに目を通すことをお勧めします。
例えば、Composites Part Aというジャーナルでは、特定のキーワードを選択することや、double line spaced manuscript pagesで20ページ以内、など重要な内容が書かれています。

生成AI

最近の生成AIの普及により、Declaration of generative AI in scientific writingという章に生成AIの使用に対するガイドラインや、使用した場合原稿に章として記載する必要があるなどルールがあります。

ザックリと重要な点をまとめると以下のようです。

  • 画像を作るのにAIは使ってはいけない、ただし生成AI自身の研究は例外
  • 本文を読みやすくするのに使っていいが、著者が責任をもって確認すること
  • AIを使ったら原稿の末尾の参考文献のすぐ上にそれを宣言する章Declaration of Generative AI and AI-assisted technologies in the writing processを追加すること

AI使用の宣言の章と例文は以下のようになっています。

We ask authors who have used AI or AI-assisted tools to insert a statement at the end of their manuscript, immediately above the references, entitled ‘Declaration of Generative AI and AI-assisted technologies in the writing process’. In that statement, we ask authors to specify the tool that was used and the reason for using the tool. We suggest that authors follow this format when preparing their statement:
During the preparation of this work the author(s) used [NAME TOOL / SERVICE] in order to [REASON]. After using this tool/service, the author(s) reviewed and edited the content as needed and take(s) full responsibility for the content of the publication.
https://www.elsevier.com/about/policies-and-standards/generative-ai-policies-for-journals

資金源

研究がどこから資金をもらって行われたのかを書く必要があります。
だいたいAcknowledgeの章に書く必要があるようです。
例文は、以下の通りです。

This work was supported by the National Institutes of Health [grant numbers xxxx, yyyy]; the Bill & Melinda Gates Foundation, Seattle, WA [grant number zzzz]; and the United States Institutes of Peace [grant number aaaa].
https://www.sciencedirect.com/journal/composites-part-a-applied-science-and-manufacturing/publish/guide-for-authors#toc-12

リポジトリ

最近では研究に使用したデータをリポジトリに保存し、それを論文中で引用する必要があるようです。

しかし、実際には提出時に以下の選択肢から選ぶ必要があるようで、機密であったり要請があれば利用可能にすればデータをリポジトリに保存して公開する必要はないようです。

  • No data was used for the research described in the article.
  • The data that has been used is confidential.
  • The authors do not have permission to share data.
  • Data will be made available on request.
  • The authors are unable or have chosen not to specify which data has been used.
  • Other (please explain: e.g. 'I have shared the link to my data/code at the Attach File step').

また、ジャーナルによっては提出時にData availabilityという章を入れる必要があるようです。

\section*{Data availability}

The data that has been used is confidential.

原稿作成

ジャーナルのルールがわかったら次は原稿の執筆です。
基本的にwordもしくはtexで原稿の作成する必要があり、
多くの人はtexで作成すると思います。
基本的な流れは、以下の公式の動画にあります。

tex テンプレート

Elsevierが公式で配布しているtex テンプレートは、このページにあります。

Download the journal article template packageというところから一般的な提出用のelsarticle.zipというものがダウンロードできます。

また、より実際の論文のフォーマットに近い2段組などのフォーマットは
Two additional class files and templates are available for single and double column. These can be downloaded from here.というところからダウンロードでき、elsarticle-template.zipという名前です。

基本的に、どれを使えばいいかはジャーナルのページのGuide for authorsというページ内のWriting and formattingというところに書いています。

例えば、Composites Part Bというジャーナルでは、

We encourage you use our LaTeX template when preparing a LaTeX submission.
https://www.sciencedirect.com/journal/composites-part-b-engineering/publish/guide-for-authors#toc-19

と書いており、elsarticleのリンクも貼られているのでそのまま使います。

wordファイルのテンプレートはおそらく以下のファイルです。
クリックしたらダウンロードされるので注意してください。
https://legacyfileshare.elsevier.com/promis_misc/Research%20Article%20template%20and%20guidance.docx

elsarticleの中身

elsarticle-template-harv.texelsarticle-template-num.texelsarticle-template-num-names.texが入っており、それぞれ引用の仕方が違うので、ジャーナルごとに使うのを決めてください。

manifest.txtREADMEに詳しい説明が書いてあります。

docフォルダーにはそれぞれのフォーマットでコンパイルしたpdfが入っており、
elsdoc.pdfに詳しい説明があるドキュメントがあります。

コンパイル方法は、texworksの場合、pdfLaTeXBibTexを使えばコンパイルできます。

行間隔の変更

例えばComposites Part Aというジャーナルでは、double line spaced manuscript pages、つまり行間を文字1個分あけてレイアウトしろという指定もあります。この場合、Use the option review to obtain double line spacingと書いてあるように、reviewという引数をドキュメントクラスで追加すればできます。

%% Use the option review to obtain double line spacing
%% \documentclass[authoryear,preprint,review,12pt]{elsarticle}

%\documentclass[preprint,12pt]{elsarticle}
\documentclass[preprint,review,12pt]{elsarticle}

引用スタイル

さらに、[1][2][3]というような引用ではなく[1-3]といったような引用方法に変えるには、以下のようにdocumentclasssort&compressを追加します。

% \documentclass[preprint,12pt]{elsarticle}
\documentclass[preprint,12pt,sort&compress]{elsarticle} 

もしels-cas-templatesを使用している場合は、以下のnatbibパッケージを読み込む部分を変えます。

%\usepackage[numbers]{natbib}
\usepackage[numbers,sort&compress]{natbib} 

テンプレートにないスタイルは以下で配布されています。

具体的な中身の執筆

こちらの動画を見るのが一番です。

\journal

\journal{ジャーナル名}に変更

\title

\title{タイトル}に変更

著者

著者の情報を順番に書く必要があります。
詳しくは、elsarticle-template.zipの中のものを参照するといいと思います。
参考までに、下に書きますが、

  • 同じ所属の人間には同じラベル(下ではlabel1)を使用
  • コレスポンディングオウサーには\corref{cor1}をつけたうえで\cortext[cor1]{Corresponding author}などと論文内の説明文を記述
  • \ead{}にメールアドレスを記述
  • \affiliation[label1]{}に著者の対応するラベルと、所在地を記述
    が基本です。
\author[label1]{Taro Yamada\corref{cor1}}
\ead{yamada@test.mail}
\cortext[cor1]{Corresponding author}

\author[label1]{Ichiro Suzuki}
\ead{ich@test.mail}

\affiliation[label1]{organization={Department of something, Test University},
            addressline={1 foo-cho, foo-ku, foo-city, Tokyo},
            postcode={000-0000},
            country={Japan}}

abstract

ワード数の制限があるので注意。

\begin{abstract}
~~~~
\end{abstract}

Graphical abstract

ジャーナルによっては、画像1枚で論文内容を説明するGraphical abstractが求められます。

\begin{graphicalabstract}
\includegraphics[width=\textwidth]{graphicalabstract.pdf}
\end{graphicalabstract}

Highlights / ハイライト

スペース含めた文字数制限があるので注意

word数でない!!

ジャーナルにより文字数指定があり、さらにジャーナルによっては別の編集可能ファイル(wordなど)で提出するよう指定があることがあります。

keyword

以下のように、\sepで区切って書きます。
個数がジャーナルによって決まっているので注意

\begin{keyword}
keyword1 \sep 
keyword2 \sep 
keyword3
\end{keyword}

Figure / Table

画像はきれいなものを使用する必要があります。(最低300dpiなど)
詳しくは以下のElsevier公式の指示に従えばいいです。

私はとりあえずInkscapeで作成した画像をpdfで出力していました。
そうするとベクターはベクターのまま、dpiも元の画像のまま出力されます。

さらに、ファイル名はジャーナルのGuide for authors
ファイルの論理的な命名規則 (たとえば、Figure_1、Figure_2 など) を使用するよう指定されていることがあるので注意してください。

また、図表の表示場所ですが、Guide for authorsによっては、
関連するテキストの横に配置するか、記事の最後にある別のページに配置することができます。
レイアウトなど面倒くさいことを考えたくない際は、順番に最後のページに載せるという方法があります。

引用スタイル

ジャーナルごとに引用スタイルは違うと思いますが、例えば、Composites Part Aでは以下のようになっています。

[1] J. van der Geer, T. Handgraaf, R.A. Lupton, The art of writing a scientific article, J. Sci. Commun. 163 (2020) 51 – 59. https://doi.org/10.1016/j.sc.2020.00372.

すなわち、

  • イニシャル + 名字
  • 論文のタイトル
  • 省略形のジャーナル名
  • 巻や年やページ
  • doi
    が必要となります。

たくさん引用する場合は手打ちではとても大変なので、ZoteroとBibTeXを組み合わせることを強くお勧めします。
省略形のジャーナル名は以下の記事を参考にすると自動で作れます。

英文校正

提出前に一度英文校正に出すと、英語ネイティブによる添削が有料で受けられます。
私が利用したサービスでは、texファイルを送ったら、修正されてすぐコンパイルできるtexファイルと、変更箇所と説明が書かれたwordファイルが送られてきたので便利でした。
ただし、勘違いして直してくる場所もあるので、すべて修正箇所をチェックすることをお勧めします。

原稿提出時に必要なファイルや情報

Cover letter

論文を提出するジャーナルの編集長に対して、自分の研究の概要や、そのジャーナルのスコープに合っている、利益相反や未出版内容だといった内容を書いたもののようです。
以下に例文がありますが、明確なルールはなさそうです。
大体wordなど編集可能なファイルで提出します。

wordファイルがダウンロードされます

サインインしないと見れないようです

CRediT / 貢献者役割分類法

最近はそれぞれの著者が研究にどう貢献をしたのかを入力する必要があるようです。
実験をしたのか、監督をしたのか、論文を書いたのか、資金を提供したのかなどです。
具体的な役割は以下の指定されたものから選ばなければならないようです。
Elsevierでは論文投稿時にチェックボックスにチェックを入れていくことになります。

そもそもCRediTというものが何かは以下に書いているようです。

Author statement / 著者宣言

CRediTの内容を文章にしたファイルで、ジャーナルによっては別の編集可能なファイル(word)として提出する必要があるようです。
書く内容は以下のようです。

Zhang San: Conceptualization, Methodology, Software Priya Singh.: Data curation, Writing- Original draft preparation. Wang Wu: Visualization, Investigation. Jan Jansen: Supervision.: Ajay Kumar: Software, Validation.: Sun Qi: Writing- Reviewing and Editing,
https://www.elsevier.com/researcher/author/policies-and-guidelines/credit-author-statement

実際のwordファイルはこちらの最後の方のページにあります。

利益相反の宣言

著者の客観性に影響を与える可能性のある金銭的/個人的な利益や信念がないこと、またはある場合はその潜在的な利益相反の原因と性質を述べる文章を編集可能なファイルで作成する必要があります。

これについてはElsevierが答えていくだけでwordファイルを作ってくれるサイトを公開しています。

ORCID

最近は著者を一意に識別するために、ORCIDという16桁の番号を取得して論文提出時に入力しなければいけないようです。
取得自体は無料で簡単にでき、ジャーナルによってはこの番号でサインインできるようになります。

メールアドレス

特にコレスポンディングオウサーは、論文投稿のやり取りにメールアドレスを使用したり、投稿後に論文に記載されたものを見て誰かがメールをしてくる可能性があります。
そのため、学生で投稿する方は大学卒業後も使用可能なアドレスを使うことをお勧めします。

ポテンシャルレビュアー / リクエストレビュアー

論文投稿時に、参考として査読に回してほしい人を何人か上げる必要があります。
その際入力しなければいけない内容としては、以下の通りです。

  • 名前
  • 学位
  • 職業
  • 機関名
  • 部門
  • メールアドレス
  • 推薦理由

原稿の投稿プロセス

Elsevierで論文を提出する際は、ログインをして、submit New Manuscriptというところから専用のEditorial Managerというものを使って原稿を提出します。

ここでは、pdfではなくtexのコンパイルに必要なファイルをすべて提出し、Editorial Manager側でコンパイルしてもらい、pdfを確認して提出、という流れになっています。
なお、コンパイルに失敗すると以下の画像のようにエラーログのPDFが生成されます。

image.png

具体的な流れは以下の動画にありますが、いろいろと落とし穴があるので説明をしていきます。

ファイルの階層構造

サブフォルダは使えない、
つまり、よくあるfigというフォルダの中に画像をすべて入れる
.
├── a.tex
├── fig/
│ ├── b.png
│ └── c.pdf

このような形ではなく、
.texファイルと同じディレクトリに画像をすべて置かなければならない

.
├── a.tex
├── b.png
└── c.pdf

ファイルタイプ

Manuscript.tex, .bbl, .bst, .sty, .bib, .nls, .ilg, .nloファイルに、
Figureまたはotherは画像ファイルに使用。
ファイル名はすべて拡張性によらず別にする必要がある。

また、zipにまとめて一気に提出することもできます。

オープンアクセス

大学によっては、Elsevierと契約してオープンアクセスの料金をすべて大学が負担してくれることがあります。
論文掲載決定が卒業後の場合も適用されるのかElsevierに聞いてみたところ、ELsevier側はOKだが大学側はわからないから確認するよう返信がありました。

提出後

提出後はまず編集者によってジャーナルにふさわしいか判断され、査読者に回されるようです。

転送サービス

編集者によってジャーナルにふさわしくないと判断されたり、査読者によって他にElsevier内により適切なジャーナルがあると判断された場合、転送サービスというものを使用できます。
これを使用するとEditorial Managerで入力した内容をそのまま提案されたジャーナルに移すことができ、もう一度入力したりアップロードする必要がなくなります。
そして再度Editorial Managerで修正できるので、論文の体裁を変えたり、そのジャーナル独自のルールに合わせたりすることができます。

受理後

私もまだ未経験なので、受理されたら書こうと思います。

おまけ

ハゲタカジャーナル

最近では碌に査読もしないで論文を掲載し、出版料を稼ぐハゲタカジャーナルというものがあるようです。

AI

私が英語論文の執筆に使用したAIを紹介します。

DeepL Write

DeepL翻訳と組み合わせてものすごい便利でした。

このようにDeepL翻訳をした後に、右下のペンマークを押すと、

image.png

このようにAIで添削したものが出てきます。
緑色の部分をクリックして別の表現に変えたりもでき、とても便利でした。

image.png

Llama3.2

最近は無料で自由にローカルで使用できる生成AIのモデルが公開されており、外に出したくない部分や、評価してもらう時はOllamaを使用してLlamaを使用していました。
DeepLでは、入力した内容がDeepLのサーバーに送られてしまうので、それが気になるという人はローカルで言語モデルを使用するという手があります。

論文執筆当時に最新だったLlama3、中でもトークン数がとても多く長文が処理できるLlama3.2を使用しました。
商用利用ではないので使用に問題ないと考えています。

私が使用したプロンプトを公開しておきます。
最初は使っていましたが、結局最後はDeepLを使用していました。

1文ずつ修正.text
"""Question: You are a great proofreader of mechanical engineering. 
I wrote a paper but I am not good at English and academic writing, so please revise the following paragraph before submiting the paper.
please correct in terms of grammar, word choice, sentence proofreading, clarity, appropriate vocabulary, and etc.  to make it appropriate for a top journal article.
first, please show revised whole paragraph.
second,show each original sentence, revised sentencese(Please enclose only the changed word or phrase with "") and specific reason for the elaboration, one sentences by one sentences.
At last, please review my article and answer whether you accept this or not with reasons. 
please revise original paragraph below 

内容

Answer:"""
全体を修正.text
"""Question: You are a great proofreader of mechanical engineering. 
I wrote a paper but I am not good at English and academic writing, so please revise the following paragraph to make it appropriate for a top journal article.

内容

Answer:"""
全体レビュー.text
"""Question: You are a great proofreader of mechanical engineering. 
I wrote a paper but I am not good at English and academic writing, so please review the following paragraph and answer whether you accept this for a top journal article or with reasons.

内容

Answer:"""
全体の分量を減らす.text
"""Question: You are a great proofreader of mechanical engineering. 
I wrote a paper but I am not good at English and academic writing.
so please Condense or rephrase technical details to improve flow and readability and Reduce the amount of sentences..
sentences are below.

内容

Answer:"""

最後に

今回はElsevierで論文投稿をする流れと、参考サイトをまとめました。
一度経験したらやり方はわかりますが、初めてだとわからないことだらけで情報も散らばっていてとても大変でした。
皆様もぜひこれらを参考にして日本から世界へ重要な研究論文を投稿してください。

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