はじめに
2025年2月13~14日に開催された、dvelopers summit2025に参加してきました。
開催地は東京目黒にある、ホテル雅叙園。
デブサミとしては、なんと5年ぶりの雅叙園開催です。
初めてデブサミに参加したのも、雅叙園でした。
コロナ禍がまさにくるぞ、の瀬戸際に開催された5年前の雅叙園デブサミ。
会場で消毒やマスクの配布などされていたのを覚えています。
その翌年からはオンライン開催が続き、そして去年羽田空港で久しぶりのオフラインでの開催となりました。
その時は残念ながら参加できなかったのですが、
今回、満を辞して、雅叙園に帰ってきたデブサミに参加することが出来たのです。
僕自身5年ぶりの参加ということで、懐かしの雅叙園、懐かしのデブサミです。
とても楽しみにしていました。
毎回の事ながら、快く参加を承諾してくれた会社に感謝です。(懇親会までOKしてもらい、感謝感謝・・)
さて、そんなこんなで、ITエンジニアのための祭典デブサミの参加レポートを書いていこうと思います。
イベント概要
デブサミは毎回テーマを持って開催されていますが、今回のテーマは、
「ひろがるエンジニアリング」
です。
参加登録は3000人以上、
87のセッションと、140人以上のスピーカーが集まりました。
生成AIの登場でエンジニアの現場も大きく変化した、変化していく中、エンジニアの力はどのような広がりを見せるのか。
診ていけたらと思います。
AI時代におけるエンジニア
今の時代、やはり避けて通れないテーマとしてAIがあります。
今回16のセッションを受講したのですが、その中でもAIが全く登場しないセッション、はあまりなかった気がします。
特にコーディングにおいてAIアシスタントの力は強力です。
内容によっては、ほとんどAIにコードを書いてもらう、という事も起こっています。
そんな中で我々エンジニアはどう生きていくのか。
プログラミングの進化
そもそも数あるプログラミング言語たちは、マシン語から人にわかる言葉への進化の過程で登場してきました。
生成AIも、その延長として登場した、と考えると、
その本質はCPUへの命令を与える点で従来のプログラミングと同様だと考えられます。
つまり生成AIを活用する事は、「開発」の一環であり、エンジニアは言語を扱うかの如く、生成AIを扱ってプログラミングを行うのです。
対話と協働の重要性
開発はチームプレイで、対話が不可欠であり、決してエンジニアの個人プレーではありません。
それは対AIでも同じことが言えて、AIと適切な対話を行う必要があります。
そしてエンジニアは、AIを通じた「出力の調整」が求められます。
開発人材の二極化
- AIを活用して直接指示を出す層(ex.シニアエンジニア)
- AIに依頼し抽象度の高い判断を行う層(ex.新人エンジニア)
これがいわゆる、AIを使う側と使われる側、という話。
AIにより単純なコーディングは非エンジニアでも可能になりました。
一方で、「何を」「何のために」作るのか、を考える事は人間です。
逆にいうとこれが決まると、あとはAIに任せて出力を調整していけばいいです。
開発人材は、指示を出せる人材にこそ価値があり、そうでない場合はAIに取って代わられてしまいます。
しかし、シニアエンジニアに生まれていきなりなれるわけではなく、新人エンジニアから初めてシニアエンジニアに到達するものであり、育てる必要はあります。
AIに変えられるから変えよう、ではいずれ指示役がいなくなってしまう、というわけですね。
AIとの協働を意識したコーディング
- 小さなコードチャンクに分割することで協働しやすくする
- 具体的で説明的な命名により文脈を明確化する
リーダブルコード、はエンジニアの間でも基本マインドとされている事かと思いますが、
まさにこの考え方が対AIにも活きます。
AIが理解しやすいように、変数や関数への命名は、意味あるものである方がいい。
これらに関しては、AIでも人間でも変わらない話ですね。
それにしてもAIが処理内容から判断するのではなく、名前の意味から推測して判断する、というのはなんだか面白い。
AI時代に開発知識を学ぶ意義
今回の話の中で、印象に残った話の一つに、エンジニアは知識を深ぼっていく必要があるのか、というのがありました。
数数学をなぜ学ぶのか、という話を例に話されていた事なんですが、これに関しては妙に納得。
(電卓や表計算ソフトがあるなかで、算数とかいる?という話)
これに対するアンサーとしては、
- 間違いがあった時に、それに気づけないといけない
- 結果のアタリをつけなきゃいけない
ほんと、これは腹落ちが深かった。
結果のあたりをつける事で、早い段階で話ができるし、結果に対して納得感や違和感を感じることができる。
AIも全然間違うので、それに気付けないと間違ったコードを採用しちゃう。
なのでエンジニアの皆さん!このAI時代に技術を学ぶ事は、決して間違っていないぞっ!
エンジニアのキャリアや成長について考えてみる
エンジニアの成長やキャリアに関するセッションも多くありました。
こういったテーマにフォーカスがあたるのも、デブサミのいいとろこ。
ここで感じた事として、個人の成長にフィーチャーされているとはいえ、
組織の力は無縁ではないな、ということ。
ロールモデルとなる先輩・上司の存在や、
そういった人がどう関わってくれたのか、も非常に大きく影響していると思いました。
逆にいうと、そういった人たち次第とも言えなくもない。
エンジニア個人の成長支援
- スキルツリー
- キャリアプラン
結構身に覚えもある話なのですが、個人の成長が、案件依存になってしまっている、という話。
案件依存で知識が入ってくるから、知識が体系化されずに習得されてしまう、という問題です。
また、案件依存という事は、メンバーの知識格差も起こってしまう、ということ。
これらを解決する手段として、スキルツリーを明確に設定し、きちんと体系的に習得していく事。
大体スキルは、別のスキルに関連しているので、関連したものを覚えていき、体系化することが大事。
また、キャリアプランを設定して、どうなればいいのか、を明確にしておくことも大事です。
それに紐づいてきちんと評価精度があれば言うことなしです。
(というか多分ないと成立しない気もします)
若手エンジニアのキャリアから学ぶ
プロ意識や視座の話があったのですが、とても参考になりました。
自分はもう20年近く社会人していて、その半分ぐらいをエンジニアとして歩んできました。
どちらかというとFBすることの方が多くなってきたのですが、
独学で進んできた事もあって、難しく思う場面も少なくありません。
今後、どういう視点で何を伝えてあげるべきなのか。
それが見えた気がして、とても参考になりました。
目の前の仕事と向き合うことで成長する方法
スキルを伸ばす
- 知識*経験=知恵
- 知識=引き出し
- 経験=引き出しにものをいれる
- 知恵=スキル
実行と習慣の積み重ね
- 知らない→知る→やる→わかる→できる→している、というステップで能力が向上する
- 順番が大事、いきなり高いステップをやっても挫折する
- 労力は代替できても、能力は自らの成長に依存する
- 内省と振り返りの活用
結局のところやるしかない、わけではありますが、
努力の方向性を間違えないようしないといけない。
そのために必要なのが、内省と振り返り。
日報や週報を用いて計画と結果を振り返る
- 内省を通じて自己の経験と知識を整理し、知恵に変える
主体的な姿勢の重要性
- 目の前の仕事に真摯に向き合い、課題解決や問題発見に努める
- 計画実行力、言語化力、問題解決力などのスキル向上が求められる
成長するって、とても大変ですね。
印象に残った言葉として、「遅くてもやらないよりはいい」。
頑張りましょう。
まとめ
さて、ここまでセッション受講メモを元にざっくりですがまとめてきました。
紹介しきれていない事もたくさんあるのですが、
終わってみた思う事は、参加者や登壇者、みんな楽しそう!という事です。
(もちろん僕も楽かった!)
「小さなDX」というテーマで非エンジニアの方達によるセッションリレーがあったのですが、
独学とAI活用で、今まで不便だった事を解決するソリューションを作った、という話で、
どれも素晴らしく、登壇者さんも楽しそうでした。
課題解決するって、楽しいんですよね。
技術はその手段にすぎません。
AIの登場により、エンジニアの立ち位置なんて事も考えさせられますが、
エンジニアはより作る物の目的や意味を考える必要があります。
そしてもう一つ感じた事として、エンジニア組織、組織の力(チームの力)です。
僕がどんなに優れたエンジニアに成長したところで、出来る事はしれていて、
組織として成長しないと、出来る事は大きくならない。
そのために、エンジニアが育っていく環境や、
プロダクト開発が(高いレベルで)スムーズに進む方法など、
もっともっと組織力も高めないと、と思いました。
最後に、参加された皆さん、懇親会や出典ブースでお話し頂いた皆様、イベントを企画・運営された皆様、
ありがとうございました!
とてもいい時間になったと思います。
参加セッション一覧
- 技術と情熱で創る未来
- 「ユーザー体験」を分析するAIで変わる「世界の当たり前」
- Gemini in BigQueryが導く、データ分析の次のステップ:rawデータからインサイト獲得までのAI活用法
- エンジニアキャリア図鑑 ~エンジニアリングマネージャー VS テックリード~
- 現場の種を事業の芽にする - エンジニア主導のイノベーションを事業戦略に装着する方法 -
- 「Apple Vision Pro」の登場で何が変わるのか? ITエンジニアとXRの可能性を語ろう
- 変わるモデルと変わらぬ本質 - 実践知の深掘りと次世代開発アプローチの探求
- 急成長する企業で作った、エンジニアが輝ける制度
- 技術の「幅」から広げるエンジニアリング — 創業ベンチャーCTOから大企業レガシー刷新へ
- 私が新卒からプロへと変わる3年間~「エンジニア基礎」研修資料で伝えたエンジニアになるまでの道のり~
- ソフトウェア開発プロセス全体で、AIがモチベーション高く働くために必要なものは「バレンタインデーのチョコ」ではなく「GitLabによる一貫したコンテクスト」だったという話
- 目の前の仕事と向き合うことで成長できる - 仕事とスキルを広げる
- SaaSの次なる潮流BPaaS ゼロイチの事業づくりと伴走するプロダクト開発の裏側
- エンジニアリングで目の前の人を幸せに!「ちいさなDX」リレーセッション!