0.はじめに
NeurIPSは世界最大のAI系の学会です(諸説ある)。
2022年11月の終わりに行われたNeurIPSに参加してきましたので、その体験記をゆるく書いていこうかと思います。
なお、AI系の国際会議は初体験なので、素人目線の話になります。
注:研究内容については、ここでは触れません。
後日、時間があれば興味深かった論文をまとめようと思います。
1.概要
2022年のNeurIPSはアメリカ、ルイジアナ州のニューオリンズで行われました。(ここ↓)
See the Pen mapNewOrleans by 岡本 有司 (@YujiOkamoto0001) on CodePen.
スケジュールは(見切れてますが...)以下のように、二週間に渡りました。詳細
今年のNeurIPSのスケジュールは前後半に別れており、前半はオフラインとバーチャルのハイブリット開催、後半はバーチャルのみの開催でした。
前半のハイブリット開催は以下のようなスケジュールで行われました。
- 11/28の企業研究の展示(Expo)、Affinityワークショップとウェルカムパーティー
- 11/29-12/1のメイン会議
- 12/2-12/3のワークショップ
メイン会議において、NeurIPSとして出版される論文のポスターセッションが行われます。
一方で、後半のオンライン会議のスケジュールは以下の様になりました。
- 12/5のチュートリアルセッション
- 12/6-12/8のコンペとスポットライト論文の紹介
- 12/9のバーチャルワークショップ
以下では、特に印象に残ったものについて紹介していきます。
紹介した内容以外に、聞きたい話がありましたらご質問ください。
2.メイン会議のポスターセッション
NeurIPSのメインであるポスターセッションでは、約2500件のポスターを6回のセッションに分けて発表されます。
発表時間は2時間、ポスターのスペースとして8feet*4feet(約2.4m *1.2m)が与えられます。
このポスターセッションで発表される研究が、"Advances in Neural Information Processing Systems"という名称の論文として世に出回っています。
以下は準備中の会場の様子です(Goodポーズしているのは共同研究者)。A0で作ったのですが、だいぶ小さかったです。
会場では、タブレットを六個配置する気合の入った発表もあれば、縦に印刷してしまった発表等もありました。
一般的に、大きいポスターのほうが活発に議論が行われており、小さく見にくいポスターのほうが人がまばらでした。(当然、内容にも依存しますが…)
我々の研究のポスターは、会場の入口に近いこともあり積極的に聞きに来る人が多くて、セッション時間を超えた3時間話しっぱなしでした。
今後参加する方には、テンプレート通りの文字サイズ(21pt)を守らないことと、大きいサイズでポスターを印刷するという二点をおすすめいたします。
3. ワークショップ
学会ごとにワークショプの進め方は違っていますが、NeurIPSにおいては、それぞれのワークショップは独立した学会の様になっています。
それぞれのワークショップで講演とポスターセッションが設定されています。
玉石混交でしたが、個人的には、"Machine Learning and the Physical Sciences
"というセッションが興味深かったです。
4. Affinityワークショップ(初日)
このワークショップは、社会情勢を踏まえたAIの研究発表が行われました。
例えば、
- "Women in Machine Learning":女性による機械学習の研究および、機械学習における女性問題の克服等の研究発表
- "Black in Machine Learning":黒人による機械学習の研究および、機械学習における人種差別問題の克服等の研究発表
などがあります。(Tips参照)
今まで、学会でこのような人権配慮のようなセッションを見たことがなかったので、とても新鮮でした。開催地であるニューオリンズは、人種問題などについて積極的に行っていることも影響すると考えられます。
(なお、わからずに”Black in Machine Learningのセッションに参加し、すぐに外に出ました。)
↓会場のトイレのの写真。(左)ジェンダーナチュラル、(右)女性用。男性トイレどこ…
Tips:人権問題と機械学習
現在、説明可能AIの研究の発展に伴い、予測の重要度の推定ができるようになっています。一方で、予測の重要度の推定において見たくないことが見える場合があります。
例えば、アメリカで出身校、地域や成績など様々なデータを説明変数とした所得の予測問題を考えます。このとき、単純に説明可能AIを用いると重要度が高い説明変数が性別や人種という結果がでます。説明変数の従属関係を用いると、性別や人種に依存しない予測モデルの設計が可能になります。(つまりごまかせる)
5. 企業展示
AI系の錚々たる有名企業が来ていました: Deep mind, Microsoft, meta AI, Amazon research,...
日本企業はSony、NEC、横川電気のみでした。
ただ、リクルートが主体で、研究が聞けず残念でした。
6. 最後に
自分の所属分野の学会と異なり、AI系の国際会議はとても新鮮でした。
なんというか…自分が行く制御系の学会と違ってお金がありそうでした…
残念なこととしては、いくつかの聞きたかった研究がバーチャルのみで研究の詳細を聞けなかったことと、日本人が少なかった点です。
(日本人が少なかったので、こんな記事を書きました。)
最後に、学会中に様々な人と技術交流ができ、大変勉強になりました。
皆様ありがとうございました。