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シビック・テックの観点からみたデータ・ジャーナリズムについて

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データ・ジャーナリズムって何?

データ・ジャーナリズム…言葉の意味はなんとなくわかるけど、既存のジャーナリズムとどう違うのか?「データ・ジャーナリズム・アワード」というものがあるのですがそこでの賞の定義をみると姿が浮かび上がってきます。

Data-driven investigative journalism

データを分析・調査して新たな事実を見つけ出す調査報道

Data storytelling (text, visualisation, video…)

データを可視化しそれを活用することで読者の理解を深める

Data-driven applications (mobile or web)

公共データを提供するアプリケーション

Data journalism website or section

データ・ジャーナリズムのウェブや記事

みていくと、データ・ジャーナリズムで注目される側面は2つあるといえそうです。

「データ分析」と「テクノロジーを活用した表現手法」です。これらをうまく活用し、ジャーナリズムとしての価値を向上させることが求められます。

「オープンデータ」「データ・ビジュアライゼーション」という別の潮流とのかかわり合いがあり、相互作用しあいそうですね。おっ。シビック・テックに少し近づいてきました。


アメリカのメディア業界再編

大治朋子さんという毎日新聞社の記者さんが2006年〜2010年にワシントン特派員時代に「日本のメディア界では考えられないようなダイナミックな動きを日々目の当たりに」し、新書のかたちでルポをまとめています。「アメリカ・メディア・ウォーズ ジャーナリズムの現在地」です。

業界再編は二つ大きなキーがあって、一つは収入源の複相化、もう一つは調査報道の役割の見直しや拡充といいます。

そこでキーになるのがメディアのNPO化です。

新聞が経済的な危機を向かえているなか、注目されているのが、調査報道の役割の維持と拡大です。調査報道というのは「社会で隠蔽されている、あるいは気付かれずにいる重要な問題や課題について、深く掘り下げて調べ、これまで知られていなかった事実を暴露したり改善の必要性を提唱する報道」というものです。

公的な情報を丹念に集め、それを精査分析して再提示する。ウォーターゲット事件などの秘密の情報源から情報を取得し足で稼ぐタイプのハイリスク・ハイリターンな調査報道とは対照的なもので、歩どまりがよく、一定の労力とコストでそれなりの成果をひねり出せるローリスク、ローリターン/ハイリターンなデータ集積型の調査報道として注目されています。

経済的な危機から支局を絞り込んでいっている大手メディアにかわり、既存メディアと比べられないほどの少人数で確実な成果を出さなければならない手段としてデータ集積型の調査報道を指向し、大手メディアが撤退したワシントンにローカルな支局を置くという攻めの手段に出て、ニッチな需要に切り込み、その複合作用で存在感をしめしているNPOもあります。


それでは日本ではどうなのか

日本では試みが始まったばかりですが、模索する動きが今年になってから活発化しています。

ジャーナリズムに求められる職域が多様化していくことに対応することを念頭に、先日「データジャーナリズム・キャンプ&アワード2013」が開かれました。

・自分の専門分野とは異なる2つの分野の講義を受け、互いのスキル理解を深める

・エンジニア、アナリスト、デザイナー、ジャーナリストで4人1組のチームになり、アイデアを出し合い方向性を決定する

というところにポイントがおかれ、旧来的なジャーナリストの定義を超えたスキルを持つ人達が集まりました。大手メディアの現役ジャーナリストと、それ以外の職業のひとたちが一緒になって、社会的問題をデータで可視化しようという試みが始まりました。私はデザイナーとして参加しています。


溶けて広がるジャーナリズムの定義

ジャーナリズムを構成する要素が多様化して溶け出すといいますか、すべてを旧来的の定義のジャーナリストがやるのではなく、多様なスキルや役割をチームで受け持つやり方が模索されています。社会的な問題意識にもとづき、オープンに公開されたデータを利用して、ウェブサービスやアプリを作って世の中に広く訴えること…というと自分でもできることがあるかも、と思えてきませんか?