この記事はLITALICO Engineers Advent Calendar 2024 カレンダー1 の 2日目の記事です
こんにちは、コーポレートエンジニアリング部部長の藤田です。
今年10月から、ITサービス部ITサポートグループのマネージャを兼務することになりました。
今回の記事では、マネージャを引き継ぐときにやったことについて、目的と意識したことを中心に書き出してみたいと思います。
はじめてリーダーや管理職になるかたの参考になれば嬉しいです。
意識していた事や心情・感情などの気持ち的なこと
メンバーの皆さんにとって、自分の上司が変わることは結構大きなイベントだと思います。
今回の私のケースではよくやり取りのあるお隣のグループを兼務することになりましたので、初対面の方は少ない状況でした。
それでも双方に知らないことはたくさんある状況でしたので、スムーズな連携や意思疎通には相互の理解や共通認識が大事だと考え、知ること/知ってもらうことに意識を向けて、引き継ぎ(引き継がれ)を始めました。
ざっくり進め方(心構え)
ざっくりと下記の3段の構成で組織運営する方針を仮決めしつつ、情報収集と構成検討を進めました
- グループ全体として取り組むべきことの明確化
- 大玉課題の進め方の明確化(分科会設置とそのメンバー構成)
- 個人の目標・将来像の明確化(半年かけて取り組みたいことと、その期待値の明確化)
やったこととその目的
前任者からの引き継ぎ
目的
- 言語化しにくいニュアンスや雰囲気的なことを把握する
- 忘れると後続の業務に迷惑をかけてしまうことを把握する(承認や勤務シフト設定など)
意識したこと
- 前任者の方とはとても仲良くて、私がLITALICOに入社したときから頻繁に壁打ちしてもらっていたこともあり、組織運営についてもざっくばらんに発散&脱線してサッカーで例えるとこうだよねって、何時間でも話せてしまうのですが、時間もかぎられているので、目的に記載したことを中心に相談させてもらいました。(ちなみに、「藤田さんは自分をCBに置く前提で話してるけど、XXさんとダルブボランチ組んでYYさんのスペース作ってもらったほうがみんなわかりやすいと思うからそうしてみたら?」とか、そういう話がとまらない感じです笑)
- 同時に「藤田さんに必要な情報はこれ」というのもまとめてくれていたので、それらの情報についても教えてもらいつつ、深掘りをして背景の理解に努めました
メンバーとの初回1on1の実施
目的
- 自分自身が担当していると意識があることの把握
- 私への期待値の把握
- 他のメンバーと役割分担やヘルプしている感覚があるタスクの把握
意識したこと
- アサインされている自覚がある範囲
- 暫定的・一時的という感覚があって担当しているタスク
- (サマったら)組織の成果物・生産性の全体像の把握につながるように
1on1のアジェンダ
- 自己紹介
- 担当されている業務について
- 担当業務のトリガーについて
- 窓口になっていること(社内)
- 窓口になっていること(社外)
- 内部とのコミュニケーション手段
- 外部とのコミュニケーション手段
- 部門のタスク管理について
- 個人のタスク管理について
- 勤務形態の認識あわせ
- 等級/ミッションの認識合わせ
- 今後の1on1について
- 分科会について
⇒上から順番通りに大事なのですが、自己紹介がとても大事です。お互いに知らないことがあるねという認識合わせが出来て、かつ、こういう機会じゃないと話さないことを話せるといった点で、貴重なタイミングだと思います。
⇒他のアジェンダについては、盛り上がるポイントが人それぞれですが、「それ話したかった!」というポイントにふれられるようにアジェンダを検討した結果、今回はこのようになりました
グループが担当している業務の把握と整理
目的
- 自部門のタスクとして明確な認識のある業務を把握する
- 経緯不明だけど、ちょっと違和感もあるけど、定期的・定型的に担当することになっている業務の把握(重要なルーチンワークの把握)
意識したこと
- 今回の組織が「社内のあらゆるITサポート」という広範な課題を引き受ける組織であるため、現在の認識において「自分たちの仕事」なのか「誰かの仕事を引き受けている自分たち」なのかを把握したい
- その上で、「業務効率化に向けた主役を誰にするのか」「なにか整理されると腑に落ちるのか」を明確にしたい
グループの将来像(中長期目標)の検討
目的
- 組織の枠組み(役割分担)を言語化・可視化して、個人目標としての成長イメージにつなげる
⇒「あなたの経験とスキルは半年後、1年後、3年後にこうなるようなアサインをしていきたいけどどうかな?」という相談がしたい
⇒会社や他の組織の成長と連動して先手を打てている(後手にまわらない)組織運営をしたい
意識したこと
- 社内ITを担当する部門間での役割分担(選択肢の相談、足元・将来像の意見交換)の実施
- 社内各所の見通しの把握
グループの半期目標とアサインの検討
目的
- 半年後の状態の明確化
- 個人目標を設定するための固い指針作り
意識したこと
- わかりやすさ
- 個人目標とのつなげやすさ
⇒このタイミングでは、ある程度、個人個人の課題やテーマについては把握出来ている状態でもあるので、具体的にお願いしたいこと、学んでほしいこと、組織(各メンバー)に対しフォローしてほしいことをイメージしながら、具体的な手段とセットで相談出来るように1on1のアジェンダを準備したりしました
ミニ相談という名にした週次・隔週1on1の実施
目的
- 知らないことを教えあえる関係性づくり(指摘される・指導される時間ではなく、ふわっとした近況報告&お困り相談だけでもなく、「相互に知識を共有しあう時間」であることの実践)
- 私が出来ること、知っていることを伝える(自分を知ってもらうための取り組み・自分を通して会社や他の組織を知ってもらうための取り組み)
意識したこと
- 相互に教えあえる関係性づくり
- (担当してもらっている業務の情報を)解像度高く把握している状態を活かせる環境が社内にたくさんあるよ、の具体例の提示
- 他の人や他の組織の情報と組み合わせることでの価値観や有用性の提示(その情報はこの人が知ったらめっちゃよろこぶよ!の例示)
※1on1はこうすべきみたいな情報が多くてテーマが限定されるように感じてしまう気もしたので、いわゆる1on1以外のことを話してもOKだよという意味を込めて、ミニ相談という名前にしました(「ミニ相談」は、コーポレートエンジニアリング部で一緒に仕事している人が使い始めた言葉なのですが、ITサポートGでもパクらせてもらいました。しっくりくる命名は大事だと思って使わせてもらっています)
グループ目標を実現するためにグループとしてやることの整理
目的
- 各メンバーがチームとして行動するとはどういうことか?を理解している状態をつくる
- 現時点で理解していなくても、半年先には、チームとして行動出来てるじゃん!って状況にするためのルール整備をする
意識したこと
- 報告/連絡/相談の手段に迷わない状態にする
- KPIの明確化をする(定量的な指標で良い悪いを言える状態にする)
- 組織としての課題管理の手段を固定化する
個人課題の共通部分の整理(分科会の検討)
目的
- 個々人の課題を「抽象化」「上流下流の関係性の明確化」をして、複数人で課題に取り組める状況をつくる
- (自分のスコープでの課題ではなく)本質的な課題に意識が向くようにする
意識したこと
- チーム編成
- アウトプットの定義
- 次の案件・次の半期・他の組織へのインプットとしての連続性
この半期の組織運営の周知
目的
- 安心して目標達成に取り組める状態をつくる
意識したこと
- わかりやすく、明確に、目標達成した状態を明確化する
- 期待していない事・欠かしてはいけない意識を明確化する
MBO設定
目的
- 半期・1年先・3年先の目標を言語化する
- 半期目標として設定した文言について、相互の認識を合わせる
意識したこと
- 半年後の評価面談でお互いの満足度が最高になるように
定期的な振り返り(組織・分科会・個人)
目的
- ずれの把握
意識したこと
- いまの状況をお互いに知る(知るために言語化する)
- 言語化した状況を残して、変化を捉えられるようにする(あの時こうだったけど、いまはこう考えてるってことは、こんな感じで成長してるように見えるよ!って言えるようにする)
この記事のまとめ
ざっと書き出してみましたが、現在2ヶ月を経過したところでMBO面談の途中の段階まで来ています。
本当であれば、狙いと結果をセットでお伝えできると、困難や想定通りにいかなかったことなどもお伝えできるのですが、内情に触れることなく誤解なく上手にお伝えすることが難しかったので、目的と意識を中心に書き出してみました。
管理職の引き継ぎは、組織の成長・成果に対し、責任を引き受けて推進するという点で緊張するイベントです。
緊張感は大きいものの、いま起こっていることを教えてもらい、自分がチームに貢献できる出来ることを提案して、いままでに無かった解決策で課題解決する機会が多いという意味では、ポジティブな変化や成長を楽しめるイベントでもあると思います。
また、管理職の交代や引き継ぎ自体に、知識や情報の組み合わせが増えて広がることによる効果が多くあると思います。
前任者が積み重ねてきた仕事やこれまでの組織の歴史をリスペクトをして、組織のパフォーマンスを最大化することから目線を離さずに取り組むことで、1段ギアチェンジした組織に成長していけると考えています。
マネージャなどの管理職を引き継いだ人や、管理職の打診がありそうな方々にとって、チャレンジを後押しする記事になっていれば幸いです。
余談(いちど個人事業主を選んだときの話:唐突な釣り合宿の話)
新規組織の立ち上げだったり、組織の分割だったりで、組織のリーダーになる・引き継がれる・引き継ぐといったイベントはこれまでの人生で何度と無く実施してきました。
割とそこそこのケースで順調に進められたのですが、一度、自分が責任を持つ組織なのに全然しっくりこなくて徒労感ばかりになったことがあり、組織の拡大や売上も、メンバーの成長も年収もQOLについても、自分が頑張ることに意味がないように思えて(人に頼ってないで勝手にやれやって思えて)個人事業主での仕事を選択したこともありました。
個人事業主としての仕事も満足感はあったのですが、ふと一緒に仕事しているプロジェクトメンバーに対して特に責任もないご意見番である状態がさみしくなり、チームとしての成果を求めて一緒に責任と信念を持って仕事してたときのほうが楽しかったな〜と思ったことがあります。(その後に個人事業主をやめて入社した会社のプロジェクトで出会った人たちと、いまもLITALICOで仕事できているのは本当に示唆的でありがたく感謝です)
会社の一員としての仕事を振り返ると、熱中して仕事しているときは、良い悪いだけでは表現出来ないハマったリーダーが必ず存在しており、私はその人達にあこがれているのだと感じました。なんというか、それが仕事に集中できる一番大きい要素っぽいです。なので、私は組織のパフォーマンスを最大化できるハマったリーダーでありたいという憧れを原動力にして、仕事をしていこうと思います。
(今回の記事を書いている途中で、金曜にお休みをいただいて、かれこれ10周年になる6人での釣り合宿に行ってきました。合宿ではコテージに泊まって自炊するのですが、食事の準備・食器の片付け・部屋の掃除・ゴミの片付け・餅つき機のトラブル・運転のナビゲートに対するみんなの手際を見て、誰もリーダーではないけど全員がリーダーシップをとってる状態のパフォーマンスを実感した気がして、この状態こそ最も全員がハマっている状況なんじゃないかと感じました。最強のチームには明確なリーダーがいないのかもしれない。いないというか、全員がリーダーシップをとって全員が各自をリスペクトしてる状態がベストなのかもしれない。そんな組織を作っていきたいと思うので、それに至るまでの間は責任を持ってリーダーでいようと思った次第です。)
最後に
ITサポートGのメンバーは本当に協力的で前向きで、今回ほど協力を得られやすい状況で引き継ぐことは無かったので、とてもありがたい環境で取り組ませてもらっています。
また、コーポレートエンジニアリング部のメンバーには、短期間での引き継ぎ・役割変更などチャレンジングな取り組みを実施してもらいました。おかげでITサポートGの把握・検討の時間をつくることが出来ました。本当に感謝しています。(皆さんにとってもチャレンジするよいきっかけにもなったように感じています。)
市橋さん・亀田さん・福田さんのエンジニアリング統括部としてのフォローも大変心強いです。ありがとうございます。
12月に入ってますます寒い日々が続いておりますが、皆さまにとってよい年末年始になりますように
今年もありがとうございました!来年もよろしくおねがいいたします!
明日は@take_takehiroさん、@t-kontaさんの記事です🙆
お楽しみに!!