The Linux Foundation Japan Evangelistの中村です。
The Linux Foundation (LF)は、当初はLinuxを守る活動が主でしたが、現在は数多くのOSSプロジェクトや標準をホストし、主要なベンダ企業やユーザ企業が参画し、グローバルのOSSの中心的な存在となっています。多岐に渡るLFの活動を手分けして効率的に日本において推進するため、Japan Evangelistプログラムが2024年8月にアナウンスされました。
筆者はJapan Evangelistとして、クラウド分野のOSS活動の普及促進を担当しており、クラウド分野のLFプロジェクトであるCloud Native Computing Foundation(CNCF)とFinOps FoundationのJapan chapterの設立に携わりましたので、紹介させて頂きます。
CNCF Japan chapter
背景
CNCFは、Kubernetesなどのクラウドネイティブ技術分野のOSSをホストするLF傘下の団体であり、グローバルでは企業はCNCFのOSS開発にこぞって参加しており、CNCFのイベントであるKubeConには10,000人規模の参加者があり、まさにOSS開発の主戦場となっています。一方で、日本では、2023年の夏ごろの時点では、CNCFの知名度も低く、企業によるCNCFの活動への参画も活発ではなく、クラウドネイティブ技術の普及は黎明期という状態でした。一方で、クラウドネイティブを扱うコミュニティは複数存在し、多くのエンジニアが集まっているという状況がありました。ただし、こういったコミュニティはCNCFとは正式に繋がっていませんでした。
2023年の夏ごろ、LFのExecutive DirectorのJim Zemlinさんと、日本におけるクラウドネイティブ技術の普及について議論をさせて頂く機会があり、クラウドネイティブ技術の中心であるCNCFと、日本の企業とコミュニティを繋げる必要があると気づきました。そこで、日本におけるCNCFの活動の旗印となる、Japan Chapterを設立するアイデアに至りました。国内のクラウドネイティブコミュニティのエンジニアの皆様や関係する企業にお声がけをし、CNCFやLF Japanのご協力の下、コミュニティのエンジニアの皆様と共にCNCFのJapan chapterである「Cloud Native Community Japan (CNCJ)」を2024年11月に立上げて、アナウンスしました。
CNCJの活動
CNCJの目的は、「ベンダ中立な場として、CNCFのアップストリームと日本のコミュニティ・企業・団体を繋ぎ、日本におけるCNCFおよびクラウドネイティブの普及促進を図ると共に、日本からのクラウドネイティブにおけるOSSコントリビューションおよび技術革新を促すこと」です。 この目的に沿う形で、ミートアップを開催しています。クラウドネイティブ分野は幅広いため、特定のトピックに分かれて活動しており、執筆現在3つのSIG(Special Interest Group)と1つのサブグループが形成されており、毎月のようにミートアップが開催されています。
最新の情報については、CNCJのホームページより「Join」ボタンよりCNCJのメンバーに加入すれば、ミートアップの情報が発信されるようになります。
KubeCon Japan開催!
また、CNCJは、日本のCNCFメンバ企業と共にCNCFに対して日本コミュニティの意見を伝えており、一つの例を紹介します。CNCFの主要イベントである「KubeCon」の日本での開催は、長らく日本コミュニティの悲願でした。CNCJからも、KubeCon開催を働きかけ、ついにKubeCon Japanが2025年6月に開催されることになりました。CNCFのブログにも、CNCJの成長がKubeCon Japan開催の一つの要因であることが記されています。
KubeConが継続的に日本で開催されるようにするためにも、筆者もJapan EvangelistとしてKubeCon Japanの成功にも協力していきたいと考えています。そのためにも、スポンサーが集まることが重要なので、企業の皆様は是非スポンサーを検討頂けると幸いです。スポンサーの情報はKubeCon Japanのサイトの「Sponsor」より参照できます。
FinOps Foundation Japan Chapter
背景
クラウドの利用が広がると共に、クラウドのコストの適切な管理が必要になります。クラウドのコストとクラウドが生み出す価値を最適化する方法論である「FinOps」の採用がグローバルでは広がりつつあります。このFinOpsの方法論をとりまとめているのが、LFの傘下団体である「FinOps Foundation」です。
FinOpsは、グローバルでは普及期にあるものの、日本国内では、まだ知名度が低い状態です。CNCFのJapan Chapterと同様に、日本におけるFinOps普及の旗印として、FinOps FoundationのJapan chapterを立ち上げるアイデアを思い立ちました。数は少ないものの日本でもFinOpsを実践されている企業やFinOps Foundationのメンバ企業が存在し、そういった方々を巻き込み、 FinOps FoundationのExecutive DirectorであるJ.R. Stormentさんと議論し、設立に合意頂けました。そして、この11/8に、Japan Chapterの設立がアナウンスされました。また、ホームページも作成されています。
Japan chapterの概要
まだアナウンスされたばかりで活動はこれからですが、普及のためのミートアップの開催や、FinOps Foundationが発行する各種マテリアルの日本語化などの活動を予定しています。
イベント参加者募集中
2024年の12月13日に、設立記念のミートアップを予定しています。こちらから参加登録できますので、ぜひお気軽に参加ください。