ご挨拶
皆さん、こんにちは あるいは こんばんは。
この記事は Microsoft Power BI Advent Calendar 2024 の3日目の記事です。
今年実際にあった話(つまり実話です
私はお客様(主に企業さん)にたいして、Power BI の研修やレクチャー、コンサルティングを仕事でやっております。今年、とあるユーザーさんから依頼があって、研修内容について MTG を行い、その後、追加でチャットにてご質問をいただきました。
それは私が研修内容について、箇条書きでお伝えした後のこと。
「このタイムインテリジェンスというのは、なぜ必要なのですか?」
これを質問されて、最初私が思ったのは、
"え、だからそれを研修の中で説明するんだよ"
ということです。
が、ふと、そこで立ち止まりました。
なぜ私がタイムインテリジェンスを当たり前に必要だと思っているのか。
"そうか...BI とはどういったものかという一般的な知識がない人には、当然の疑問なのかもしれない"
と気付かされました。
Power BI でまず知るべき3つのこと
私は、Power BI を初学者が学ぶなら、まずは以下の3つがわからないと先に進めないと考えています。
- スタースキーマ
- 日付テーブル
- タイムインテリジェンス
先に進めないというのは、Power BI を使用するスタートラインに立っていないということを意味します。逆に言えば、上記の3つを知っていて、かつ理解していて初めて、Power BI をこれから使うことができるスタートラインに立っているということです。特に組織においては、これらを理解している人が中心人物になって、導入と普及活動をしていかなければなりません。
お客様と研修内容を詰める際、必ずこれら3つが必要なんだよと伝えます。そして、研修の項目を箇条書きにして渡します。
なので、冒頭の質問はなかなかに新鮮でした。
BI は難しく、説明も簡単にはできない
BI とは何なのかを説明しようとすると、説明する人によって、言葉は異なることでしょう。世の中には実に様々な説明があるものです。それは 「BI とは何なのか?」 を一言で説明できないということを表しています。
もしあなたが誰かから BI とはこういうものだという説明を受けた時、
「なんだか長い説明で、よくわからんかった。この人は説明が上手くないんだな」
と感じたら、それは許してあげてください。それくらい、説明がしにくいものですし、簡単ではないのです。そして、簡単ではないからこそ、あなたもわかってないんですよね?
もし簡単だと思うのであれば、あなたが簡単な説明を考えて広く広めていただきたいと願うばかりです。
BI の基本は集計
さて、そろそろ本題に入っていきましょう。
まず、知っておいて欲しいのは BI の基本は集計だということです。BI ではすべての値が必ず集計されて表示されています。データが1万件だろうと、100万件だろうと、10億件あろうと、特定の列を集計することによって、ひとつの値にして、表示する。場合によっては集計値同士を計算して、割合を求めるわけです。
👇このあたりは昨年の Advent Calendar 6日目の記事にて説明しております👇
では集計すればそれで終わりなのか?というと、そうではありません。集計値を見たところで、実は全く何もわからないということが多々あります。つまり無意味です。無意味な値が並んでいる BI レポートは、レポート自体が無意味になります。これはもったいないことです。
集計した値はそれだけでは意味がない
では例を挙げましょう。
みなさんも想像しながら、読み進めてください。
とある小売店があります。何を売っているかは、皆さんの好きなものでよいです。このお店の 2024年10月 の売上が 1,000万円 でした。さて、この売上は良いでしょうか?悪いでしょうか?
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はい、「んなもん、これだけじゃわかんねーよ」と思われた方。正解です。その感想はとても重要な意味を持ちます。では、他に何が知れればわかりますか?
え、何を売っているか?
うん、それは関係ないですね。先ほど申し上げた通り、皆さんの好きなものでよいです。
分からないという方へ、ヒントです。
この記事のタイトルをもう一度ご覧ください。一番上👆に戻ると、確認できますね。
そう、この記事のタイトルは 「タイムインテリジェンスはなぜ必要なのか?」 でした。
はい、勘のいい方はもうお分かりですね。
2024年10月 の売上が 1,000 万円だったということだけを聞いても、誰も判断が付かない。それは何の商売か?がわからないからではなく、その単月の数値が相対的にどの位置にあるのかがわからないからです。
もっと端的に言うと、
- 先月と比較すると増えたの?減ったの?どのくらい?
- 昨年と比較したら?
- 今年の目標値に対しては?
- このままいくと、目標値に届きそうなの?
ってことです。
そして同時に、売上だけでなく、利益に対しても同じように見る必要があります。むしろ昨今のビジネスにおいては、利益の方がはるかに重要視される傾向にあります。突き詰めるとそれは純利益ですよね。いくら稼いだのか?
昨年と比べて、
売上は大して変わらないけど、利益率は2倍になってます
なんて言ったら、花火🎆が上がるくらい、素晴らしいわけです。
でも、
売上が2倍になりました!利益率は半分です
だったら、「お、おぅ」って微妙な反応になる。もちろん、それを狙って行動したのであれば、🆗ですが、普通そんなことは狙わないでしょう。
BI において集計値は比較することから始まる
数値って不思議なもので、絶対値の魅力ってありますよね。お金で言えば、1,000万円って聞くと、大金であることは間違いない。でもそれが新築マンションの値段って言われると、「安っ」ってなるわけです。そして車の新車価格って言われたら、「高っ」ってなるし、退職金ですって言われたら、「少なっ」ってなる。
つまり絶対値だけでは意味がないのです。付加情報があって、初めて意味を成す。それには過去のデータと比較する必要が出てくる。先月、前四半期、昨年同月、2年前、コロナ禍前の2019年、など、ビジネス上、比較して意味を成す時と比較して、初めて評価できるのです。
Power BI が用意しているタイムインテリジェンスは、それを実現する機能です。タイムインテリジェンスの機能としての詳細は、長くなるので、この記事では説明しません。過去に Power BI 勉強会で説明した動画ありますので、興味があれば2倍速くらいでご覧になってみてください。
✅【Power BI 勉強会 #23】Time intelligence - その概念と機能について
そうして、比較をした結果、現在地がわかるわけで、今いるところがわかれば、次に取るべき行動(ネクストアクション)も決められるということです。
まとめ
データは業務における行動の結果です。現在の行動の結果を正しく評価できるようにするために、過去と比較をし、次に取るべき行動を決めましょう。願わくば、そこから未来を推測できるといいですよね。可能性として、3パターンくらいに絞られれば、経営にも生かせるというものです。
そう、当たり前ですが、BI は ビジネス インテリジェンス ですからね。ビジネスの経験を未来に生かすのが知恵・知見というものです。
引き続き、頑張っていきまっしょい。