はじめに
幼稚園児が最強
あるコンテスト(実験)が開催されました。
課題:以下の材料を使って、できるだけ高い構造物をつくること
・茹でていないスパゲティ20本
・1ヤードのセロテープ
・1ヤードの糸
・普通の大きさのマシュマロ
ただし、てっぺんにマシュマロを置くこと
このコンテストには、幼稚園児のチーム、ビジネススクールの学生たちのチーム、弁護士のチーム、CEOのチームなど、さまざまなチームが参加しました。
結果は以下の通りでした。
作った構造物の高さ | |
---|---|
幼稚園児チーム | 平均 66cm |
ビジネススクール学生チーム | 平均 25cm |
弁護士チーム | 平均 38cm |
CEOチーム | 平均 56cm |
大方の予想に反して、優勝したのは幼稚園児のチームでした。

※画像はAIで作成してみたイメージです。(使ってるスパゲッティ、絶対20本より多い…)
幼稚園児はなぜ勝てたのか
ビジネススクールの学生は、戦略を話し合い、材料を吟味する。お互いにアイデアを出し、鋭い質問をする。候補をいくつかあげ、最もうまくいきそうな戦略を1つに絞る。戦略に沿って、粛々と塔を建設しました。
これは、一見協力しているようだが、実際は以下のようなことをぐるぐる考えていて、目の前の課題に集中できていません。
「リーダーは誰だ?」
「ほかのメンバーのアイデアを批判しても大丈夫かな?」
「この場のルールを解読しないと」
幼稚園児たちは、戦略を立てない。無言で材料をいきなりつかみ、何の計画や戦略もないままに組み立て始めます。口を開くときは、「こっち!違う、こっちだってば!」と短い言葉を発するだけ。彼らは以下のように行動しています。
- 「チーム内の立ち位置」のことなど気にしない
- お互いに同等の立場で、ただ目の前の作業に没頭している
- 問題を見つけるとすぐに手助けする
- リスクを取って挑戦し、失敗から学び、効果的な解決策を見つけ出す
この実験からわかるのは、
個々の能力は低くても、賢く協力することで最高の結果を出すことができる
ということです。
参考文献
はじめにで記載した内容は、下記書籍の導入から引用しています。
本記事では、この書籍を読んで得た学びをアウトプットします。
また、本記事で紹介している内容は、書籍のほんの一部であり、内容に共感していただけたら購入を強く勧めます。
※解釈が誤っている箇所がありましたら、教えていただければ幸いです。
『THE CULTURE CODE ―カルチャーコード― 最強チームをつくる方法』
ダニエル・コイル (著)、楠木 建 (監訳)、桜田直美 (訳)
結論:最強のチームをつくる方法
最強のチーム、すなわち、幼稚園児のように協力するためには以下が重要である。
最強のチームをつくるカギは、以下の3つのスキルである
- スキル1: 安全な環境をつくる
- スキル2: 弱さを共有する
- スキル3: 共通の目標を持つ
スキル1: 安全な環境をつくる
- 安全な環境とは
- 『自分の意見が求められていると、すべてのメンバーが確信できるような環境』
- なぜ安全な環境が大切なのか
- 自由に意見交換できるようになり、協力関係が構築されるから
- 安全な環境を構築するにはどうしたらいいか
- 帰属のシグナル(後述)をくり返し継続して出すことが必要
帰属のシグナル
- 帰属のシグナルとは
- 『集団の中で「安全なつながり」を構築するような態度』
- 特徴
- 目の前で起こっている他のメンバーとの交流を大切にしている
- メンバーを独自の存在と認め、尊重している
- 関係はこの先も続くというシグナルを出す
- 具体例
- 人類の進化と帰属のシグナル
- 人類の本能的な問い:「私たちはここにいて安全か?」
⇒ 帰属意識を築くには、くり返し何度も帰属のシグナルを送ることが重要 - しぐさや視線などのシグナルは、言語よりも早く生まれた
⇒ 人類の脳はこのシグナルを敏感に感じ取るように発達している
- 人類の本能的な問い:「私たちはここにいて安全か?」
物理的な距離の重要性
- 成功したチームの化学反応にもっとも大切な要素は、『メンバーの机の距離』だという研究結果がある
- 他のメンバーの姿が見える、他のメンバーが働いている場所が見えるといったことが、彼らの存在を思い出させるきっかけになってくれる
- コミュニケーションの頻度とお互いの距離には、アレン曲線と呼ばれる関係がある
- 距離が8mより近くなるとコミュニケーション頻度が急激に高くなる
- 距離を50mまで話すと、コミュニケーションはほとんど起こらなくなる
- デジタルなコミュニケーション(メールやSNS)もこの曲線に従う
出典:『THE CULTURE CODE ―カルチャーコード― 最強チームをつくる方法』
感謝の本質
- 誰かから感謝された人は、まったく関係ない第三者に対しても親切になれるという研究結果がある
-
「ありがとう」という言葉は、帰属のシグナルの役割も果たしている
⇒ 安心、つながり、モチベーションを高める効果がある - 成功しているチームほど感謝の言葉が多い
- トップのメンバーが、いちばん下のメンバーに積極的に感謝の言葉をかけている
スキル2: 弱さを共有する
- 弱さを見せるとは
- 自分の限界を認め、メンバーの助けを求めること
- 自分の行動を厳しく振り返り、失敗を認めること
- 仮面を捨てて、本当の自分を見せること
- 弱さを共有するとは
- 弱さのループ(後述)をつくり、恥ずかしさや苦痛を共有すること
- なぜ弱さを共有することが大切なのか
- 誰もが『このチームでは強がらなくてもいいんだ』と安心する
⇒ 自分は弱い、他の人の助けが必要だと感じる
⇒ 信頼関係・協力関係につながる
- 誰もが『このチームでは強がらなくてもいいんだ』と安心する
- 弱さを共有するにはどうしたらいいか
- リーダーが何度も弱さを見せる
- 率直な意見交換のできる場を確立する
- トランポリンのように聞く(後述)
弱さのループ
- 弱さのループとは
- ステップ1: 人物Aが弱さのシグナルを送る
- ステップ2: 人物Bがそのシグナルを受け取る
- ステップ3: 人物Bが自分の弱さも開示する
- ステップ4: 人物Aが人物Bからの弱さのシグナルを受け取る
- ステップ5: 「弱さのループ」が確立され、親密さと信頼が深まる
- 弱さのループが送り出すメッセージ:
「あなたには役割がある。あなたの力が必要だ」 - 具体例
- 監督がシーズン最初のスピーチで「久しぶりなのでとても緊張している」と言う
⇒ 選手たちも監督に共感するように笑顔になる - ある企業では「失敗の壁」と呼ばれるホワイトボードが設置され、社員たちが自分の失敗した経験を書き込んでいる
- スティーブ・ジョブズは自分のアイデアを提案するときは、「バカなアイデアだと思うが」という言葉を頭につけていた
- 監督がシーズン最初のスピーチで「久しぶりなのでとても緊張している」と言う
トランポリンのように聞く
- もっとも効果的な聞き手には次の4つの特徴がある
- 相手が「ここは安全だ」「私はサポートされている」と感じられるような対応をする
- 相手を助けたい、協力したいという姿勢を見せる
- ときおり優しく質問し、相手の思い込みを変えさせる
- ときおり提案をはさみ、別の可能性に目を向けさせる
- 『トランポリンのように聞く』とは
- 相手の話を吸い込むだけの『スポンジ』ではない
- 相手の話を吸収し、理解を示すが、自分からも積極的に反応する
- 相手がさらに高く跳び上がれるように、エネルギーを与えることができる
- 話せば話すほど、高く跳べるようになる
⇒ さまざまな可能性を探りながら本当の問題を洗い出す
⇒ 見たくない真実(弱さ)にも目を向けさせる
スキル3: 共通の目標を持つ
- 共通の目標とは
- 理想の未来
- 自分たちの存在意義・価値観
- なぜ共通の目標を持つことが大切なのか
- 優先順位を明確にする
⇒ 意思決定の速度を向上させる - 目的意識の高い環境をつくる
⇒ 学習効果を高める - 自分が今いる場所を確認し、これから目指す場所を知るきっかけになる
⇒ モチベーションにつながる(後述)
- 優先順位を明確にする
- 共通の目標を持つ(胸に刻み込む)にはどうしたらいいか
- 部屋の装飾で表現する
- 効果的なキャッチフレーズ(後述)を設定する
現実と理想をつなぐ物語
- 成功しているチームは共通の価値観や目標の浸透を徹底している
- 具体例
- ピクサー
- 本社は映画の世界そのもの。レゴで作ったウッディとバズが出迎える
- 「テクノロジーがアートを刺激し、アートがテクノロジーを刺激する」という言葉をよく聞く
- KIPP(チャータースクール)
- トイレの鏡を見ると、「きみはどの大学へ行くのか?」という言葉が目に入る
- 「勉強を頑張り、友だちに優しくする」という言葉をよく聞く
- ピクサー
- モチベーションは個人の気持ちの問題ではなく、自分の今いる場所と理想の未来の両方に目を向けることで生まれるという研究結果がある
- 理想の未来とは、目標や態度ともいえる
- 大切なのは、現実と理想を物語としてつないで、何度も語ること
- 物語はつらい現実を忘れるためのものではない
- 物語は現実を創造する
⇒ 物語に触発されてモチベーションが生まれる
⇒ モチベーションは行動を引き起こす
⇒ やがて理想が実現する
キャッチフレーズの重要性
- キャッチフレーズの効果
- くり返されるキャッチフレーズがシグナルの役割を果たし、チームメンバー全員で目標を深く共有できる
- キャッチフレーズから伝わるメッセージ
- 「自分たちは何者であるか」
- 「私たちはこの仕事を大切にしている」
- 「私たちはチームのメンバーを大切にしている」
- 「あなたには重要な役割がある」
- 効果的なキャッチフレーズの特徴
- シンプル
- 行動志向
- わかりやすい
- 具体例
- ラグビーのニュージーランド代表
- 「よりよい場所にジャージを残せ」
- 「成長していないのなら、どこにも向かっていない」
- 「全力を出さない者は去れ」
- 「これは栄誉だ。仕事ではない」
- KIPP(チャータースクール)
- 「近道はない」
- 「勉強を頑張り、友達に優しくする」
- 「チームと家族」
- 「KIPPの生徒は、誰も見ていないところで正しいことをする」
- 「仲間が困っていたら、私たちは助ける。自分が困ったときは、助けを求める」
- ラグビーのニュージーランド代表
- キャッチフレーズが安っぽいのは仕様だ
⇒ 安っぽい言葉には、わかりやすい、人の耳に届きやすいという長所もある
おわりに
今回は、『THE CULTURE CODE ―カルチャーコード― 最強チームをつくる方法』 を読んで、学びをアウトプットしました。大変多くの学びがあり、様々なことを考えさせられる本でした。
私は普段リモートワークでシステム開発・運用を行っています。チームの方針でメンバー全員常にZoomには接続している状態ですが、基本的にカメラはオフの状態です。そんな中で私は、コミュニケーションにおいて少しはメリットがあるんじゃないかと、何となくずっとカメラオンにして、頷き等のしぐさを見せてきました。本書籍を読んで、これは帰属のシグナルだったと理解し、間違っていなかったと確信することができました。たしかに、Zoom上で私の姿をよく見ているメンバーは、安心して色んなことを相談してくれるし雑談も多い気がします。
本書籍は、コロナ禍前に執筆された本であり、内容は顔を突き合わせて仕事をするシチュエーションを想定したものが多いです。しかし、前述した通りリモートワークの多い昨今の働き方においても、活かせる考え方が詰まっていると感じました。