はじめに
私は、心理的安全性って、言葉の意味やそれが素晴らしいことはわかるけど、具体的にどうすればその状態になれるかってちょっと曖昧だなと感じていたので、次の本を手に取りました。
最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55
原田将嗣(著)、石井遼介(監修)
この本を読んで、実践してみたいと思った内容や感想を共有したいと思います。
改めて「心理的安全性」って
心理的安全性が高いチームとは、仲が「悪すぎる」でも「良すぎる」でもなく、目指すべきゴールや成果のために「健全な意見の衝突」が起こせるチーム
本書では、上記のように述べられた上で心理的安全性をつくる4つの因子が定義されています。
因子 | 説明 |
---|---|
話しやすさ | 不都合や反対意見が共有され歓迎される雰囲気かどうか |
助け合い | お互いにフラットに助け合えるかどうか |
挑戦 | 成功/失敗以前に挑戦したことが歓迎されるかどうか |
新奇歓迎 | 「まとはずれ」が歓迎されるかどうか |
以降では、本書のタイトルの通り、心理的安全性をつくる言葉が55個紹介されていますが、それぞれの言葉が、どの因子にフォーカスしたものなのかも踏まえてまとめられています。ここでは私が印象に残ったものを取り上げていこうと思います。
第1章 毎日使いたい!チームの土俵をつくる言葉
「今日は○時〜○時の間が相談タイムです!」
この「相談タイム」、上司などがスケジュールに設定してくれていると、格段に相談しやすくなるなと思いましたが、一方で上司などってやっぱり物凄く忙しいので、こういった予定を入れること自体がすごく手間で現実難しいんじゃないかなとも思いました。
それでもここで取り上げたのは、このような 共通言語を作るところはぜひやってみたいと思ったからです。
本書では、他に共通言語の例として「やっちまった会」「ぴえん玉🥺」が挙げられていました。
事件や失敗が起きたことそのものより、それが報告されず、だから対応もできない方が深刻な課題
なので、ネーミングを工夫して、ネガティブなことも積極的に報告しやすい環境を作ることはぜひ実践したいなと思います!
「まずはやってみよう!やればわかる」
会議室で検討をし続けるよりも、実際にやってみたほうがいいこともあります。特に「失敗しても、ダメージが少なく、すぐ元に戻せる」タイプのアイデアは、まずは試してみましょう。そんな時に使いたいのがこの言葉です。
つい、「検討しよう」となって先送りにすること、本当に「あるある」ですね。
「やればできる」は使いがちですが、本書で以下のように解説されている通り、発見・学習に主眼を置いている「やればわかる」を積極的に使っていきたいと思います。
「やればできる」 → 「できる=結果・成果」に主眼
「やればわかる」 → 「わかる=発見・学習」に主眼
「〜してくれてありがとう」
「この間の議事録、参加できなかった僕にも、箇条書きがわかりやすくて助かった。うまくまとめてくれて、ありがとう!」
こんな風に感謝を伝えてもらったメンバーは、例えば次に議事録をつくるタイミングで、「今回も箇条書きでまとめてみようかな」と思うのはもちろん、もっと読み手にとってわかりやすいまとめ方を模索するかもしれません。
いつもの「ありがとう」を理由付きで言うだけで、感謝を伝えた行動が、次回はより高い質・精度でやってもらえるようになり、成長につながるのでぜひ実践していきたいと思います。
理由つきの感謝 → 次はもっとよくしよう → メンバーの成長
「自分で考えてから相談してね」は呪いの言葉!?
本書では、上記のように説かれており、『人材育成にはまず相談の「量」。徐々に「質」の向上を目指す』べきだと主張されています。
私自身、自分で考える機会は大事かなという考えでしたので、少々驚きました。
でも確かに、この言葉を言われると、話しやすさの因子はガクッと落ち込みますね。
相談してくれたことを歓迎し、「一緒に考える」というプロセスを大事にすれば、話しやすさを損なわずに、自分で考える力も身についていくのかなと思いました。
「それはちょうどよかった!」
ミスを伝えやすくなる(話しやすさ)、トラブルにみんなで対処する(助け合い)、どんな状況も好転させる(挑戦と新奇歓迎)ー「それちょ」は3拍子ならぬ、4因子揃ったパワーワードなのです。
突然のトラブル、アクシデント、ミスでも、「それはちょうどよかった!」(本書では略して「それちょ」)と唱えることで、建設的に解決に向けて気持ちを切り替えることができるとのこと。ぜひチームの共通言語にできたらなと思いました。
第2章 会議を活性化させる言葉
「〇〇の観点では、こう思います」
ついつい私たちは「相手の意見=相手そのもの」ととらえ「あの人は話が通じない」「あいつはわかっていない!」「嫌い」など、人そのものの評価をしてしまいがち
立場が違う相手と議論をするときに、「あるある」ですね。「私は〜」を「〇〇の観点では」に置き換えるだけでいいので、ぜひ取り入れていきたいと思います。
「個人 vs 個人」 → 「課題やゴール vs 〇〇の立場」へのスライドが効果的
第3章 1on1が楽しみになる言葉
そもそも良い1on1って?
- 上司の時間ではなく部下の時間、リーダーの時間ではなくメンバーの時間という「共通認識」があること
- メンバーに気づきが生まれること
- メンバーの行動の選択肢が増えること
楽しいと感じることの分類
分類 | 説明 |
---|---|
達成 | 成果や結果を出したとき、良いものが作れた時に楽しいと感じる |
理解 | 理由や原因、メカニズムや本質的なことがわかった時に楽しいと感じる |
着想 | 自分のオリジナルなことを考え発想できると楽しいと感じる |
貢献 | 人の役に立っている実感が得られた時に楽しいと感じる |
「ここまで話して感じたことを教えてもらえますか?」
1on1の締めとして「他に何かある?」「特にありません」「じゃあ以上で。」としがちですが、上記の言葉を最後に投げかけると、フィードバックが得られ効果的であると紹介されています。
私的に、1on1に限らず「他に何かある?」は本当によく使うフレーズで、投げかけても「何か」が返ってくることはほぼないです(笑)。もちろん、時間的余裕がない時など、「他に何かある?」で終わった方が良い場面もあると思いますが、何か議論を発散させたい時や意見を引き出したい時には、上記の言葉をぜひ使いたいと思います。
第4章 チャレンジフルなチームをつくる言葉
挑戦を増やすためには
以下2点がポイント
- 結果が出る前に「挑戦したこと・試したこと、そのもの」を認め感謝する
- 挑戦開始時に、挑戦者を孤独から守る
挑戦というと、少し大きなアクションに思えますが、ちょっとした課題・問題提起などにおいても、まずは提起してくれたこと自体を受け入れ、感謝することを忘れないようにしたいですね。
「やめたほうがいい仕事ってなんだろう」
業務を増やすなら、今ある業務を減らすことも併せて考える。それが、ほんらい理に叶った考え方だと思います。(中略)メンバーからやめたほうがいいことを指摘するのは難しいもの。(中略)だからこそ「やめる」は、リーダーから切り出し、きっかけを作ることが重要です。
ついつい、もっとこうした方がいいなど、改善活動でタスクは増えていきますが、減らすことってあまり目を向けられていないですね。
「〇〇さんからはどう見えているか、教えてもらえますか?」
- 最も困ること
- わかったようなフリをするメンバー
- わかってくれているはずだと思い込んでいるリーダー
- → 多くのミスのもとになる
- → 上記の言葉で、小さな違和感・心配事も解決・解消していく
チームの中での小さな成功体験のモデル化
プロセス | 説明 |
---|---|
アハ体験 | 違和感に気づいた、閃いた |
イヒ体験 | それをもとに、小さく計画した、企んだ |
ウフ体験 | 仲間ができた、前に進みそう |
エヘ体験 | うまくいった! ほめられた! |
前の部署での経験・スキルを持ってメンバーが異動してきた時、そのメンバーが上記一連のプロセスを1度経験できると、チームの戦力となって活躍する流れに乗れる。
第5章 お客さまと取引先を「パートナー」に変える言葉
「たしかに、たしかに」
あえてくり返して使い、相手の話を促すのがポイントです。(中略)言われた相手は、肯定的に捉えられた印象を受け、そのままアイデアを開示したり、考えを深めていったりします。
たしかに、たしかに...
繰り返しただけで、なぜかもっと話したくなるの不思議ですね。商談の場面に限らず、日々のコミュニケーションの中でも使っていきたいと思います。本書でも注意されていますが、適当に相槌をうっていると思われないようにしないとですが。
本書の終わりに
「沈黙」の重要性
相手が言い淀んでいるとき、(中略)こちらから話を紡いでしまいがちです。けれども、いったんそれを手放して「沈黙」し、しばし待ってみましょう。なぜなら、その時間は相手の「考える時間」だからです。
これ、ものすごくハッとさせられました。私も沈黙すると、つい話をしてしまっていましたが、一度問いを投げかけたら、相手にしっかり考えてもらうために沈黙を楽しみながら待つことを意識していきたいと思います。
おわりに
ここまで、「心理的安全性をつくる言葉55」という本を読んで印象に残った内容をまとめましたが、いかがでしたでしょうか?。私は、すぐに使いたい「言葉」やたくさんの気づきが得られて、とてもタメになる本でした。
また、ここで紹介した「言葉」は、本書で紹介されている内容のほんの一部で、他にも有意義な内容が多く記載されているので、気になった方はぜひ購入をオススメします。
最後に、著者の原田将嗣さん、監修の石井遼介さん、このようなとても良い書籍を出版していただき、本当にありがとうございました!