はじめに
問題です✅
以下の文章について、それぞれ〇か×か考えてみてください。
【1】心理的安全性は、感じのよさ、気楽さ、心地よさを指す言葉である。
答え
×答え
×答え
×答え
×全問正解できなかった方は、本記事が心理的安全性の正しい理解の一助になるかもしれません。
参考文献
近年話題の心理的安全性について、今一度ゼロから学ぶために、エイミー・C・エドモンドソン教授の著書『恐れのない組織』という本を読んでみました。この本は、心理的安全性について多くの誤解に気づくきっかけをくれて、とても勉強になったので、非常におすすめです。
恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす

また、下記の記事も大変参考にさせていただきました。
心理的安全性とは
心理的安全性は、率直であるということであり、建設的に反対したり気兼ねなく考えを交換し合ったりできるということなのだ。
心理的安全性の提唱者である、エイミー・C・エドモンドソン教授は、上記のように述べています。
心理的安全性とは、みんなが気兼ねなく率直に意見を言い合える文化のこと
心理的安全性が低いとき、会議中に以下のような場面がみられます。
一方で、心理的安全性が高いときは、以下のような場面がみられます。
よくある誤解
誤解(1)
心理的安全性は、感じよく振る舞うこととは関係がない
心理的に安全な環境で仕事をすることは、感じよくあるために、誰もがいつも相手の意見に対して賛成することではない。
上記は、参考文献の『恐れのない組織』より抜粋しています。
これは、周囲に良く思われるために、相手の意見に迎合しているだけの状態は、心理的安全性が高い状態ではないと述べています。注意すべき点として、相手の発言に対して発言してくれたこと自体に感謝したり、傾聴することは心理的安全性を高めるアクションであり、『恐れのない組織』でも推奨されています。

誤解(2)
心理的安全性は、性格の問題ではない
心理的に安全な職場風土であれば、人は内向的か外向的かにかかわらず、アイデアを提供し、懸念を述べる
上記は、参考文献の『恐れのない組織』より抜粋しています。
一見、性格は心理的安全性と関係があるように思われますが、外向的な人は、心理的不安を抱えながらも勇気を出して発言できるというだけで、職場が心理的に安全だと感じるかは、また別の問題であると理解できます。

誤解(3)
心理的安全性は、信頼の別名ではない
信頼と心理的安全性には多くの共通点があるが、その概念を置き換えることはできない。最大の違いは、心理的安全性がグループレベルで経験される点だ。職場環境が心理的に安全かどうかについて、ともに仕事をする人々は似た印象を持つ傾向があるのだ。
上記は、参考文献の『恐れのない組織』より抜粋しています。
これをもとに、信頼と心理的安全性の違いは以下のように整理できます。
信頼 | 心理的安全性 | |
---|---|---|
範囲 | 二人の個人 / 二つの組織の間 | グループレベルでの経験 |
期待 | 相手が約束を守るという期待 | 相手との間に現れる結果への期待 |
時間 | 即座に感じられるとは限らない | 即座に感じられる |
エイミー・C・エドモンドソン教授も述べている通り、最もわかりやすい違いは、その範囲です。信頼はある人が特定の相手に対して感じるもので、同僚も同じ相手を信頼するとは限りません。一方で、心理的安全性は、グループレベルでの経験であるため、同じグループに属する人であれば、全員が同じように心理的安全性を感じます。# 心理的安全性とは で、心理的安全性のことを「文化」と表現しているのは、上記の通り集団特性であるということを示しています。

誤解(4)
心理的安全性は、目標達成基準を下げることではない
心理的安全性とは、高い基準も納期も守る必要のない「勝手気ままな」環境のことではない。職場で「気楽に過ごす」という意味では、決してないのだ。
上記は、参考文献の『恐れのない組織』より抜粋しています。
心理的安全性と業績基準は、異なる側面で、以下の図(『恐れのない組織』より抜粋)のように整理されます。心理的安全性は、高い業績基準・目標を設定し、それに向かって協働するための職場環境の土台です。

おわりに
『恐れのない組織』を読んで、自身の理解をできるだけ絵をかきながらアウトプットしてみました。心理的安全性は、Googleのプロジェクトアリストテレスで示されているように、チーム開発の根幹ともいえる概念です。正しく理解して、業務に活かしていきたいと思います。また、『恐れのない組織』を読んでのアウトプット記事は2部構成として、次回は、心理的安全性を高める方法について記載する予定です。
本記事が誰かのお役に立てれば幸いです。