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Windows Terminalの総合ガイド: 歴史、機能、そしてLinuxTerminalとの比較

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はじめに

Windows Terminalは、Microsoftが開発した最新のコマンドラインインターフェイスです。本記事では、Windows Terminalの歴史から始まり、その特徴、コマンド、そしてLinuxターミナルとの比較まで、幅広くカバーします。開発者やITエンジニアの方々に、Windows Terminalの魅力と実用性をお伝えできれば幸いです。

Windows Terminalの歴史

Windows Terminalの歴史は、Windowsのコマンドラインインターフェイスの進化と密接に関連しています。

  • 1985年: MS-DOSのコマンドラインインターフェイス
  • 1990年代: Windows NT時代のコマンドプロンプト(CMD.EXE)
  • 2006年: PowerShellの登場
  • 2016年: Windows Subsystem for Linux (WSL)の導入
  • 2019年5月: Windows Terminal Preview版のリリース
  • 2020年5月: Windows Terminal 1.0の一般公開
  • 2021年4月: Windows Terminal Preview 1.8のリリース(クォーターリーアップデートの開始)
  • 2022年10月: Windows 11 2022 Update以降、標準のターミナルアプリケーションに

Windows Terminalは、長年のWindows OSのコマンドライン環境の課題を解決するために開発されました。マルチタブ対応、GPU加速によるレンダリング、Unicode・UTF-8対応など、現代の開発者のニーズに応える機能を備えています。

Windows Terminalの主要コマンド

Windows Terminalは、GUIベースの操作とキーボードショートカットを組み合わせて使用します。以下は主要なコマンドとショートカットです。

操作 コマンド/ショートカット
新しいタブを開く Ctrl + Shift + T
新しいペインを開く(垂直分割) Alt + Shift + +
新しいペインを開く(水平分割) Alt + Shift + -
タブを切り替える Ctrl + Tab / Ctrl + Shift + Tab
タブを閉じる Ctrl + Shift + W
タブの名前を変更する Ctrl + Shift + P → "Rename Tab"
コマンドパレットを開く Ctrl + Shift + P
フルスクリーン切替 F11
検索 Ctrl + Shift + F

また、Windows Terminal内でPowerShellやWSLを使用する際は、それぞれのシェル固有のコマンドも使用できます。

LinuxコマンドとWindows Terminalの共通コマンド

Windows TerminalでWSLを使用する場合、多くのLinuxコマンドがそのまま使用できます。以下は、LinuxとWindows Terminal(PowerShell)で共通して使用できるコマンドの例です:

操作 Linuxコマンド PowerShellコマンド
ディレクトリ一覧表示 ls Get-ChildItem (lsのエイリアス)
カレントディレクトリ表示 pwd Get-Location (pwdのエイリアス)
ディレクトリ変更 cd Set-Location (cdのエイリアス)
ファイルコピー cp Copy-Item (cpのエイリアス)
ファイル移動/名前変更 mv Move-Item (mvのエイリアス)
ファイル削除 rm Remove-Item (rmのエイリアス)
ファイル内容表示 cat Get-Content (catのエイリアス)
ディレクトリ作成 mkdir New-Item -ItemType Directory (mkdirのエイリアス)

注意: PowerShellでは、多くのUnixコマンドがエイリアスとして定義されているため、Linuxユーザーも違和感なく使用できます。

Windows Terminalのメリットとコマンドプロンプトとの違い

Windows TerminalはCMD(コマンドプロンプト)と比較して、多くの優位点があります:

  1. マルチタブ・マルチペイン機能:

    • Terminal: 複数のシェルを1つのウィンドウで管理可能
    • CMD: 単一ウィンドウのみ
  2. カスタマイズ性:

    • Terminal: テーマ、フォント、背景画像などを詳細にカスタマイズ可能
    • CMD: 限定的なカスタマイズのみ
  3. Unicode・UTF-8サポート:

    • Terminal: 完全なUnicode対応
    • CMD: 限定的なUnicodeサポート
  4. GPU加速レンダリング:

    • Terminal: スムーズなスクロールと高速な描画
    • CMD: CPU依存の描画処理
  5. キーバインドのカスタマイズ:

    • Terminal: ほぼすべてのキーバインドをカスタマイズ可能
    • CMD: 限定的なキーバインドのみ
  6. 複数シェルの統合:

    • Terminal: CMD、PowerShell、WSL、Azureシェルなどを統合
    • CMD: 単一のシェル環境のみ
  7. 検索機能:

    • Terminal: 高度な検索機能を内蔵
    • CMD: 検索機能なし
  8. 分割ビュー:

    • Terminal: 画面を分割して複数のシェルを同時表示
    • CMD: 分割ビュー機能なし
  9. コマンドパレット:

    • Terminal: GUIベースのコマンド実行機能
    • CMD: コマンドラインのみ
  10. オープンソース:

    • Terminal: GitHubで開発が公開され、コミュニティからの貢献が可能
    • CMD: クローズドソース

これらの特徴により、Windows Terminalは現代の開発者やITプロフェッショナルのニーズにより適した環境を提供しています。

Windows TerminalとPowerShellの違い

Windows TerminalとPowerShellは密接に関連していますが、異なる目的と機能を持っています。以下にその主な違いをまとめます

  1. 基本的な性質:

    • Windows Terminal: コマンドラインインターフェース(CLI)を提供するアプリケーション
    • PowerShell: スクリプト言語およびコマンドラインシェル
  2. 目的

    • Windows Terminal: 複数のCLIを1つのアプリケーションで管理し、統一されたユーザーエクスペリエンスを提供
    • PowerShell: システム管理タスクの自動化とコマンドライン操作のための強力なスクリプト環境を提供
  3. 機能

    • Windows Terminal: タブ管理、ペイン分割、GPUアクセラレーション、カスタマイズ可能なテーマなど
    • PowerShell: オブジェクト指向のパイプライン、.NET Frameworkとの統合、高度なスクリプト機能など
  4. 対応シェル

    • Windows Terminal: PowerShell、CMD、WSL、Azure Cloud Shellなど複数のシェルをサポート
    • PowerShell: PowerShell固有の環境
  5. クロスプラットフォーム対応:

    • Windows Terminal: 主にWindows向けだが、WSLを通じてLinuxコマンドも実行可能
    • PowerShell: PowerShell CoreはWindows、Linux、macOSで動作
  6. カスタマイズ性

    • Windows Terminal: GUIベースの設定、JSONファイルによる詳細なカスタマイズが可能
    • PowerShell: プロファイルスクリプトによるカスタマイズが中心

PowerShellの将来性

PowerShellが廃止される予定はありません。むしろ、MicrosoftはPowerShellの開発を積極的に続けています。

  1. PowerShell Core: クロスプラットフォーム対応のオープンソース版PowerShellが開発されており、継続的にアップデートされています。

  2. Windows PowerShell: Windows専用のPowerShellも引き続きサポートされています。

  3. Azure統合: クラウドサービスの管理にPowerShellが広く使用されており、Azureとの統合が強化されています。

  4. コミュニティサポート: オープンソース化により、コミュニティからの貢献が活発化しています。

  5. 自動化とDevOps: ITインフラの自動化やDevOpsプラクティスにおいて、PowerShellは重要な役割を果たしています。

Windows TerminalとPowerShellの関係

Windows TerminalとPowerShellは相互補完的な関係にあります。

  1. Windows TerminalはPowerShellを含む複数のシェルを1つのインターフェースで管理できます。
  2. PowerShellはWindows Terminalの中で動作し、その高度なスクリプト機能や自動化能力を提供します。
  3. ユーザーはWindows Terminalの現代的なUIとPowerShellの強力な機能を同時に活用できます。

まとめ

Windows Terminalは、Windowsのコマンドライン環境に革命をもたらしました。
その特徴は以下のとおりです。

  1. 統合環境: CMD、PowerShell、WSLなど複数のシェルを1つのアプリケーションで管理
  2. 高度なカスタマイズ性: テーマ、フォント、キーバインドなど、ユーザーの好みに合わせて調整可能
  3. パフォーマンス: GPU加速によるスムーズな描画と高速なレンダリング
  4. 開発者フレンドリー: Unicode対応、分割ビュー、検索機能など、開発作業を効率化する機能を搭載
  5. クロスプラットフォーム互換性: WSLを通じてLinuxコマンドを実行可能

Windows TerminalとPowerShellは、それぞれ異なる目的と機能を持ちながら、相互に補完し合う関係にあります。Windows Terminalが現代的なUIと統合環境を提供する一方、PowerShellは強力なスクリプティング機能と自動化能力を提供します。

どちらのツールも積極的に開発が続けられており、廃止の予定はありません。むしろ、クラウドコンピューティングやDevOpsの普及に伴い、これらのツールの重要性は増しています。

Windows環境で開発や管理業務を行う方々にとって、Windows TerminalとPowerShellの組み合わせは、生産性を大きく向上させる強力なツールセットとなるでしょう。今後も両者の進化と統合が進み、さらなる機能拡張や性能向上が期待されます。

今後PowerShellについてもまとめたいと思います!

参考資料

  1. Windows Terminal Documentation
  2. Windows Terminal GitHub Repository
  3. PowerShell Documentation
  4. Windows Subsystem for Linux Documentation
  5. PowerShell GitHub Repository
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