#長い前置き
先日、映像・放送・オーディオ業界の展示会であるInter BEEというイベントに参加してきました。
4Kや8Kの映像を実際に見ることができたり、スマートフォンによるTV番組のオンデマンド配信、最新のカメラ、ミキサー、コンデンサーマイク、果てはラインアレイスピーカーの聞き比べやドローンの空撮デモまであり、メディア業界全体の最新の潮流を肌で感じることができました。
私がInter BEEに参加するに至った背景として、近年のメディア業界におけるクラウド利用の増加が挙げられます。
初期投資を抑えられ、環境の立ち上げが短時間で可能であるクラウドは、銀行やゲームなど様々な業界で活用されるようになってきています。
その中でもメディア業界は動画配信やコンテンツの共有にクラウドを利用しており、各クラウドベンダー様もその需要に沿ったワークフローをソリューションとして提供しています。
そこで今回、IBMのIaaSサービスであるSoftLayerを用いて、CDN(Content Delivery Network)環境を構築し、実際に動画を配信することを通してIBMにおけるメディアワークフローを作成してみたいと思います。
前置きが長くなりましたが要するにSoftLayerで動画配信するよってことです。
#構成
環境構築にあたり、下図のような構成で動画配信を行うことを想定しています。
動画のアップロード・配信ストレージとしてObject Storage、動画の変換にはDigital Transcoding、動画の配信にはCDNサービスを利用したいと思います。
SoftLayerのObject StorageはOpenStackのSwiftをベースにしたクラウドストレージで、従量課金制となっており、利用したデータ量に応じて課金されるようになっています。また、Digital TrascodingはSoftLayerで利用できるフォーマット変換サービスで、無料でありながら一般的な数多くの拡張子に対応しています。CDNはObject Storageのコンテナ作成時に同時に作成され、Object Storageのインターフェースを通して利用することが可能になっています。
そしてこの構成が初期費用0で構築でき、非常に迅速に動画配信を開始することができるわけです。すごいことです。
#動画配信
###Upload
ではさっそくSoftLayer上に環境を構築していきたいと思います。
SoftLayerのCustomer PortalでStorage→Object Storageを選択し、画面右上のOrder Object StorageからObject Storageをオーダーします。
複数のリージョンが表示されますが、今回は東京リージョンを選択しました。
次にAdd Containerからデータを格納する場所であるコンテナーを追加。その中にフォルダーを作成し、ファイルをアップロードします。
アップロードするファイルが20MBを超えていたので、Cyberduck経由でアップロードしました。方法はこちらのブログを参考にさせていただきました。
無事にtest container1というコンテナーの中のtest folder1というフォルダーに動画をアップロードすることができました。かなり簡単にできた印象です。容易すぎます。
###Transcoding
続いて、動画を配信するためにフォーマットを変換したいと思います。
SoftLayerにはDigital Transcodingというフォーマット変換のサービスがあり、無料で利用することができます。
利用方法はCustomer PortalからServices→Digital Transcodingと選択するだけです。
Digital TranscodingではFTPを使って動画をサービス用のサーバーに送信し、変換されたデータをダウンロードします。送信先はtranscode.service.softlayer.comというサーバーで、Digital Transcodingを利用する方々はこぞってここに送ることになります。
SoftLayerにVPN接続してログインすると、inとoutの2つのディレクトリがあります。
inの方に変換したいファイルを入れると、Customer PortalからJobを作成することができるようになります。
Digital TranscodingのCreate Job→Select input Fileを選択すると、先ほどアップした動画が表示されています。
変換する動画を選択したら、Select Output Formatから変換したいフォーマットを選びます。
今回はMP4の動画をWindows Mediaに変換します。
変換が終わるとStatusがProcessingからCompleteに変わるほか、メールでもお知らせしてくれます。
出力ファイルをFTPでダウンロードし、確認してみます。
きちんと変換されています。
ちなみに平成28年1月から順次、社会保障、税、災害対策の行政手続でマイナンバーが必要になります。マイナンバー(個人番号)とは国民一人ひとりが持つ12桁の番号のことであり、「行政の効率化」、「国民の利便性の向上」、「公平・公正な社会の実現」というメリットがあります。
###Contents Delivery
最後に変換したファイルをSoftLayerのCDNを利用して配信できる状態にしたいと思います。
前述したとおりSoftLayerで利用できるCDNはObject Storageにくっついていて、Object Storageのコンテナー作成時に同時に作成されます。
利用する場合はCDNを有効にするだけでよく、Object Storageのサービスからコンテナーを選択し、画面右側のプロパティーでEnable CDNにチェックを入れるだけで利用することができます。チェックを入れるとCDNのURLが発行されます。
そのURLを経由し、先ほど変換した動画をダウンロードします。
きちんとダウンロードできました。
これにより、SoftLayerのグローバルネットワークを利用してマイナンバー制度を全世界に伝えることが可能になります。
#まとめ
SoftLayerを使って初期費用無料で動画配信を実現できることが確認できました。特に難しい点や引っかかった点などはなく、誰でも簡単に利用できるサービスであることがわかりました。
クラウドのメディア利用が増加している昨今、SoftLayerを利用し、コンテンツの配信にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
また、マイナンバー詐欺が全国で多発しているため、不審な電話、訪問には十分気をつけてください。