はじめに
IBM Cloudでは、バックアップツールとしてR1Soft社のSBM(Server Backup Manager)というソフトウェアを提供しています。
バージョン6.6.1のアップデートで、ついにオブジェクトストレージへアーカイブする機能が追加されました!!
IBM Cloudで提供しているICOS(IBM Cloud Object Storage)へのアーカイブも可能ですので、早速検証してみたいと思います。
SBMについて基本的なバックアップ方法や用語が知りたい方は下記の記事を事前にご覧ください。
SoftLayerのR1Soft Server Backup Manager(Idera)を使って、遠隔2地点におけるバックアップを実現する
今回のゴール
今回は、ユースケースとして一般的に考えやすい下記の構成を実現したいと思います。
バックアップをSBM上のローカルストレージに取得した後、アーカイブとしてICOSにデータを転送します。
リカバリーポイントやリテンションポイントについてご存知ない方はこちらをご確認ください。
(ちなみにアーカイブポイントはリテンションポイントに名称が変更したようです。)
オーダー方法について
まずはIBM Cloudでサーバーをオーダーします。SBMはサーバーにソフトウェアとして導入する形になるので、サーバーのオーダー時にAdd onとして選択します。
IBM Cloudには仮想サーバーの他に物理サーバーも選択することができますが、月額課金であればどちらのサーバーにも導入することが可能です。
ちなみにポータルのオーダー画面ではSBMのバージョンが5.0と記載してありますが、実際にデプロイされてきたのは6.8.2 build 55でした。
また、IBM Cloudでアーカイブ機能を利用する場合、1018年10月現在はSBM用のサーバーをオーダーした後にチケットでアーカイブライセンスを有効化してもらうように依頼する必要があります。
まだ機能が利用できるようになったばかりですのでマニュアル操作ですが、今後ポータルから購入できるようになることでしょう。
SBMへのログイン
SBMへはブラウザにIPアドレスを直接打ち込んでアクセスします。IPアドレス、ログインパスワードはポータルから確認してください。
ログインするとダッシュボードが表示されます。余談ですが以前のバージョンに比べると大幅にUIが改善されましたね。。。
メニューの「Advanced Options」 -> 「License Information」から、アーカイブライセンスが有効化されていることが確認できます。
(有効化されていない場合はチケットで依頼しましょう!)
バックアップ対象のサーバーを登録
バックアップ対象のサーバーをSBMに登録していきます。ダッシュボードから「Add Protected Machine」を選択してください。
バックアップ対象のサーバーの情報を入力していきます。サーバーを初めてバックアップする場合はVolumeが作成されていないと思いますので、Backup Locationで「Or specify a new volume」を選択し、新しいVolumeを作成してください。
バックアップのスケジュールは5分に1度取得する設定にしています。
また、リテンションする世代数、圧縮方法、暗号化の有無などを指定します。
最後にバックアップ対象のサーバーにエージェントソフトウェアのインストールを行います。バックアップ対象のサーバーの管理権限をもつユーザーの資格情報が必要です。
エージェントがインストールされればサーバーの登録が完了です。先ほど設定したポリシーに基づいてバックアップが行われます。簡単ですね!!
IBM Cloud Object Storageの設定
ここで、アーカイブ先となるICOSの設定をしておきましょう。
オーダーの手順などはこちらをご確認ください。
IBM Cloud Object StorageのArchive機能を利用する
バケットを作成しておきましょう。せっかくなので日本に作成しました。
ちなみに、ICOSにはプライベート側のエンドポイントがありますので、アーカイブデータをセキュアに転送することが可能です。
アーカイブ先の指定
上記の手順でバックアップが取得されるようになりました。アーカイブする際は別途ポリシーにアーカイブ先を指定する必要があります。
「Setting」->「Policies」から、先ほど作成したポリシーを確認し、「Actions」から「Edit Policy」を選択します。
「Provide Credential Details」をクリックします。
「New Cloud Storage Account」をクリックします。
先ほど取得したICOSの情報を入力していきます。
Endpointには、先ほどメモしたICOSのエンドポイントそのままではなく、「http」もしくは「https」から入力する必要があります。
「Test Connection」をクリックして接続を確認してください。
接続を確認したら、「Add」を選択し、アカウントを作成します。
アーカイブされていることを確認
しばらく放置した後、アーカイブされていることを確認しました。
設定したポリシー通りに2つのアーカイブデータが保持されています!!
バックアップデータをICOSにアーカイブすることができました!!
転送速度はどのくらいなのでしょうか?
各タスクの詳細は「Protected Machine」->「Task History」などから見ることが可能です。
転送速度を見てみると、6.5MiB/s(≒54.5Mbps)となっています。
今回、仮想サーバーのポート速度は100Mbpsとして設定しているので、およそ半分程度がアーカイブに利用されています。
(この間にバックアップも走っていることを考えると、なかなかの数字が出ているのではないかと思っています。)
トラブルシューティング
エラーが出た際の回避策をメモしておきます。ご参考になれば幸いです。
ICOSアカウント登録時に認証エラーが発生する
エンドポイントがhttpもしくはhttpsから入力されていることを確認してください。
容量不足でアーカイブがうまくいかない
図のようなエラーでアーカイブがうまくいかないことがありました。
アーカイブ時に必要な容量についてはこちらのページに記載がありますが、アーカイブに利用する一時領域として実データ量の2倍のスペースが必要です。
容量を追加すると正常にアーカイブが開始されました。
まとめ
IBM Cloud上のバックアップソフトウェア、Server Backup Managerを利用してバックアップ、およびオブジェクトストレージへのアーカイブができることが確認できました。
オブジェクトストレージは非常にコストパフォーマンスが良いストレージですので、今後もどんどんこのようなユースケースでの利用が増えていくのではないかと思います!