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Pythonで〇×ゲームのAIを一から作成する その42 手番を入れ替えた対戦

Last updated at Posted at 2024-01-04

目次と前回の記事

これまでに作成したモジュール

以下のリンクから、これまでに作成したモジュールを見ることができます。

これまでに作成した AI

これまでに作成した AI の アルゴリズム は以下の通りです。

関数名 アルゴリズム
ai1 左上から順に空いているマスを探し、最初に見つかったマスに着手する
ai2 ランダムなマスに着手する

ai_match の改良 その 4(手番を入れ替えた対戦)

前回の記事では ai_match のいくつかの改良を行いました。今回の記事では、引き続き ai_match の改良を行います。

〇× ゲームを遊んでみるとすぐにわかると思いますが、〇× ゲーム は、〇 の手番× の手番有利不利大きく変わる ゲームです。そのため、AI どうし強さを測る ためには、〇 と × の担当入れ替え た対戦も 行う必要 がありますが、ai_match片方 の対戦 しか行いません。例えば ai1ai2 の場合は、ai1 VS ai2ai2 VS ai1両方の対戦 を行う 必要 があります。そこで、実引数で指定 した 2 つの AI を、〇 と ×手番を入れ替え た状態でも 対戦を行う ように ai_match修正 することにします。

この修正では、ai_match の修正箇所が多いので、順番に少しづつ修正することにします。

count の修正

手番を入れ替えない場合と、入れ替えた場合の 2 種類対戦 を行うので、2 種類通算成績数える 必要があります。元のプログラム では、count という 変数通算成績 を数えていましたが、手番を入れ替えた場合 の通算成績を count2 のような 別の変数 に代入すると プログラムの記述面倒 なことになるので、下記のプログラムの 5 行目のように、count_list という変数に、手番を入れ替えない 場合と 手番を入れ替える場合通算成績数える ための defaultdict要素 として持つ list を代入 することにします。

1  def ai_match(ai, match_num=10000):
2      mb = Marubatsu()
3
4      # ai[0] VS ai[1] と ai[1] VS a[0] の対戦を match_num 回行い、通算成績を数える
5      count_list = [ defaultdict(int), defaultdict(int) ]
元と同じなので省略

上記を count_list = [defaultdict(int)] * 2 のように記述すると、以前の記事で説明したように、count_list0 番の要素 と、1 番の要素 が、同一の defaultdict 表すことになるため、プログラムが 正しく動作しなくなる 点に注意して下さい。

修正箇所
def ai_match(ai, match_num=10000):
    mb = Marubatsu()

    # # ai[0] VS ai[1] と ai[1] VS a[0] の対戦を match_num 回行い、通算成績を数える
-   count = defaultdict(int)
+   count_list = [ defaultdict(int), defaultdict(int) ]
元と同じなので省略

なお、上記の 修正途中 のプログラムを 実行 すると エラーが発生 するので、行番号のないプログラム省略 します。また、プログラムが 正しく動作するか どうかの 確認 は、すべての 修正が完了 してから 行います

対戦を行い、通算成績を数える処理の修正

次に、対戦 を行い、通算成績を数える 処理を、下記のプログラムのように修正します。

  • 7 行目手番を入れ替えない 場合の 通算成績count_list[0] に代入されるので、元のプログラムの countcount_list[0]修正 する
  • 8 行目手番を入れ替えた場合AI の関数list は、[ai[1], ai[0]] なので、play メソッドの キーワード引数 ai にその list を代入して呼び出すことで、手番を入れ替えた対戦 を行うことができる。通算成績count_list[1] を使って数える
1  def ai_match(ai, match_num=10000):
2      mb = Marubatsu()
3
4      # ai[0] VS ai[1] と ai[1] VS a[0] の対戦を match_num 回行い、通算成績を数える
5      count_list = [ defaultdict(int), defaultdict(int)]
6      for _ in range(match_num):
7          count_list[0][mb.play(ai, verbose=False)] += 1
8          count_list[1][mb.play(ai=[ai[1], ai[0]], verbose=False)] += 1
元と同じなので省略
修正箇所
def ai_match(ai, match_num=10000):
    mb = Marubatsu()

    # ai[0] VS ai[1] と ai[1] VS a[0] の対戦を match_num 回行い、通算成績を数える
    count_list = [ defaultdict(int), defaultdict(int)]
    for _ in range(match_num):
-       count[mb.play(ai, verbose=False)] += 1
+       count_list[0][mb.play(ai, verbose=False)] += 1
+       count_list[1][mb.play(ai=[ai[1], ai[0]], verbose=False)] += 1
元と同じなので省略

7 行目と 8 行目のプログラムを、下記のプログラムのように、for 文 による 繰り返し処理 をつかって まとめる ことができますが、慣れない とプログラムの意味が 分かりづらくなる ので、無理にまとめる必要はない でしょう。本記事では下記のようにまとめませんが、まとめるかどうかは各自で判断して下さい。

for _ in range(match_num):
    for i in range(2):
        count_list[i][mb.play(ai=[ai[i], ai[1 - i]], verbose=False)] += 1
修正箇所
for _ in range(match_num):
-   count_list[0][mb.play(ai, verbose=False)] += 1
-   count_list[1][mb.play(ai=[ai[1], ai[0]], verbose=False)] += 1
+   for i in range(2):
+       count_list[i][mb.play(ai=[ai[i], ai[1 - i]], verbose=False)] += 1

上記のプログラムの意味が分からない人は、i01それぞれの場合3 行目のプログラム が行う処理を、下記の表のように 実際に記述 してみてください。

i 3 行目のプログラム
0 count_list[0][mb.play(ai=[ai[0], ai[1]], verbose=False)] += 1
1 count_list[1][mb.play(ai=[ai[1], ai[0]], verbose=False)] += 1

表から、i1場合 は、元のプログラムの 8 行目と同じ処理 が行われることがわかります。i0 の場合は、play メソッドの 実引数ai=[ai[0], ai[1]] となっている点が 異なります が、[ai[0], ai[1]] が、仮引数ai に代入された list と全く 同じ要素を持つ list であることが 理解 できれば、元のプログラムの 7 行目と同じ処理 が行われることがわかります。

[ ai[1], ai[0] ] は、ai に代入された list要素順番を逆 にしたものです。以前の記事 で説明したように、list のスライス表記に [::-1] を記述することで、list 要素順番を逆 にした list作成 することができます。従って、先程の 8 行目のプログラムは、下記のように記述できます。

count_list[1][mb.play(ai[::-1], verbose=False)] += 1
修正箇所
-count_list[1][mb.play(ai=[ai[1], ai[0]], verbose=False)] += 1
+count_list[1][mb.play(ai[::-1], verbose=False)] += 1

なお、上記の記述は、要素が多い list の場合は 簡潔に記述 できて 便利 ですが、慣れない とプログラムの 意味が分かりづらくなる ので本記事では採用しません。

他にも、reversereversed メソッド を使う方法がありますが、それらを 使いこなす ためには、正しい知識必要 で、間違った使い方 をすると バグの原因 になる 可能性が高い ので、今回の記事では紹介しません。それらについては、必要になる場面があれば紹介しようと思います。

ratio と比率の計算の修正

比率を数える ための 変数 も、count_list同様 に、ratio_list という 名前 にし、入れ替えない場合 と、入れ替えた場合比率要素 とする list代入 することにします。

下記は、ai_match の中で、比率計算 する部分の 処理 を抜き出して、ratio_list を使って 比率計算 するように 修正 したプログラムです。

  • 2 行目:入れ替えない場合と、入れ替えた場合の 比率計算する ための 空の dict要素 とする listratio_list代入 する
  • 3 行目for 文 による 繰り返し処理 によって、入れ替えない場合入れ替える場合比率を計算 する 処理 を、4、5 行目で まとめて記述する
  • 4、5 行目countcount_list[i] に、ratioratio_list[i]修正 する
# それぞれの比率を計算し、ratio_list に代入する
ratio_list = [ {}, {} ]
for i in range(2):
    for key in count_list[i]:
        ratio_list[i][key] = count_list[i][key] / match_num
修正箇所

for 文追加 による インデントの変化 は、修正箇所含めません

# それぞれの比率を計算し、ratio_list に代入する
-ratio = {}
+ratio_list = [ {}, {} ]
+for i in range(2):
-   for key in count.keys():
+   for key in count_list[i]:
-       ratio[i][key] = count[key] / match_num
+       ratio_list[i][key] = count_list[i][key] / match_num

前回の記事では、上記のプログラムの 3 行目の for 文反復可能オブジェクト には、下記のプログラムの 1 行目のように keys メソッドを 記述 していましたが、下記の 4 行目のように、keys メソッドを 記述しない 場合でも 同じ処理 が行われるので、今回の記事からは、keys メソッドの 記述省略 することにします。

for key in count.keys():
    for 文のブロックの処理

for key in count:
    for 文のブロックの処理

上記のプログラムの 3 行目と 4 行目の for 文 を、下記のプログラムのように 入れ替えるエラーが発生する 点に 注意が必要 です。エラーが発生する 理由 は、下記のプログラムの 3 行目を実行 する際に、count_list[i]i定義されていない からです。元のプログラム では、for i in range(2)ブロックの中 に、count_list[i]記述 されているため エラー発生しません

# それぞれの比率を計算し、ratio_list に代入する
ratio_list = [ {}, {} ]
for key in count_list[i]:
    for i in range(2):
        ratio_list[i][key] = count_list[i][key] / match_num

結果の表示部分の修正

下記は、ai_match の中で、結果を表示 する部分の処理を抜き出して 修正 したプログラムです。回数や比率 を計算する場合と 同様 に、for 文 による 繰り返し処理処理をまとめる ことができます。なお、この直前に記述する order_list修正必要ありません

  • 2 行目countcount_list に、ratioratio_list修正 する
  • 5 行目for 文 による 繰り返し処理 によって、入れ替えない場合入れ替える場合結果を表示 する 処理 を、6 ~ 8 行目で まとめて記述する
  • 7月 行目datadata[i] に修正する
1  # 通算成績の回数と比率の表示
2  diff_list = [ ("count", count_list, "d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
3  for title, data, format in diff_list:
4      print(title, end="")
5      for i in range(2):
6          for key in order_list:
7              print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
8          print()
修正箇所

for 文追加 による インデントの変化 は、修正箇所含めません

# 通算成績の回数と比率の表示
-diff_list = [ ("count", count, "d"), ("ratio", ratio, ".1%") ]
+diff_list = [ ("count", count_list, "d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
for title, data, format in diff_list:
    print(title, end="")
+   for i in range(2):
        for key in order_list:
-           print(f" {key} {data[key]:{format}}", end="")
+           print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
        print()

上記の 7 行目修正 がわかりづらいと思いますので補足します。下記の表は、元のプログラムと、修正後のプログラムで、datadata[i][key] の部分が 何であるか を表します。表から、7 行目修正 によって、7 行目data[i][key] の部分の処理で、countcount_list[i] に、ratioratio_list[i]修正 されたことがわかります。

元のプログラム 修正後のプログラム
data の部分 count または
ratio
count_list または
ratio_list
data[i][key] の部分 count[key] または
ratio[key]
count_list[i][key] または
ratio_list[i][key]

ai_match の修正

下記は、上記のすべての修正を行った ai_match のプログラムです。

from marubatsu import Marubatsu
from collections import defaultdict

def ai_match(ai, match_num=10000):
    mb = Marubatsu()

    # ai[0] VS ai[1] と ai[1] VS a[0] の対戦を match_num 回行い、通算成績を数える
    count_list = [ defaultdict(int), defaultdict(int)]
    for _ in range(match_num):
        count_list[0][mb.play(ai, verbose=False)] += 1
        count_list[1][mb.play(ai=[ai[1], ai[0]], verbose=False)] += 1

    # それぞれの比率を計算し、ratio_list に代入する
    ratio_list = [ {}, {} ]
    for i in range(2):
        for key in count_list[i]:
            ratio_list[i][key] = count_list[i][key] / match_num

    # 〇の勝利、×の勝利、引き分けの順番で表示することを表す list 
    order_list = [Marubatsu.CIRCLE, Marubatsu.CROSS, Marubatsu.DRAW]

    # 通算成績の回数と比率の表示
    diff_list = [ ("count", count_list, "d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
    for title, data, format in diff_list:
        print(title, end="")
        for i in range(2):
            for key in order_list:
                print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()
修正箇所
from marubatsu import Marubatsu
from collections import defaultdict

def ai_match(ai, match_num=10000):
    mb = Marubatsu()

    # ai[0] VS ai[1] と ai[1] VS a[0] の対戦を match_num 回行い、通算成績を数える
-   count = defaultdict(int)
+   count_list = [ defaultdict(int), defaultdict(int) ]
    for _ in range(match_num):
-       count[mb.play(ai, verbose=False)] += 1
+       count_list[0][mb.play(ai, verbose=False)] += 1
+       count_list[1][mb.play(ai=[ai[1], ai[0]], verbose=False)] += 1

    # それぞれの比率を計算し、ratio_list に代入する
-   ratio = {}
+   ratio_list = [ {}, {} ]
+   for i in range(2):
-       for key in count:
+       for key in count_list[i]:
-           ratio[i][key] = count[key] / match_num
+           ratio_list[i][key] = count_list[i][key] / match_num

    # 〇の勝利、×の勝利、引き分けの順番で表示することを表す list 
    order_list = [Marubatsu.CIRCLE, Marubatsu.CROSS, Marubatsu.DRAW]

    # 通算成績の回数と比率の表示
-   diff_list = [ ("count", count, "d"), ("ratio", ratio, ".1%") ]
+   diff_list = [ ("count", count_list, "d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
    for title, data, format in diff_list:
        print(title, end="")
+       for i in range(2):
            for key in order_list:
-               print(f" {key} {data[key]:{format}}", end="")
+               print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()

下記のプログラムを実行することで、ai1 VS ai2ai2 VS ai1それぞれ通算成績回数比率表示 されることが確認できます。

from ai import ai1, ai2

ai_match(ai=[ai1, ai2])

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

count o 7843 x 1758 draw 399
 o 5234 x 4397 draw 369
ratio o 78.4% x 17.6% draw 4.0%
 o 52.3% x 44.0% draw 3.7%

ai_match の改良 その 5(表示をわかりやすくする)

修正した ai_match表示 には、いくつか 分かりづらい 点があるので 改良 します。どのような点が分かりづらいかについて少し考えてみて下さい。

表示の改良その 1(count と ratio の後で改行する)

先程の実行結果では、1 行目と、3 行目の先頭に、count と ratio が表示されるため、上下の行 での数字の 表示位置ずれてしまう せいで 分かりづらく なっています。この問題は、下記のプログラムのように、count と ratio の後で 改行 することで簡単に 解決 できます。

  • 5 行目print実引数end=""削除 して 改行しない ようにする
1  def ai_match(ai, match_num=10000):
元と同じなので省略
2      # 通算成績の回数と比率の表示
3      diff_list = [ ("count", count_list, "d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
4      for title, data, format in diff_list:
5          print(title)
6          for i in range(2):
7              for key in order_list:
8                  print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
9              print()
行番号のないプログラム
def ai_match(ai, match_num=10000):
    mb = Marubatsu()

    # ai[0] VS ai[1] と ai[1] VS a[0] の対戦を match_num 回行い、通算成績を数える
    count_list = [ defaultdict(int), defaultdict(int)]
    for _ in range(match_num):
        count_list[0][mb.play(ai, verbose=False)] += 1
        count_list[1][mb.play(ai=[ai[1], ai[0]], verbose=False)] += 1

    # それぞれの比率を計算し、ratio_list に代入する
    ratio_list = [ {}, {} ]
    for i in range(2):
        for key in count_list[i]:
            ratio_list[i][key] = count_list[i][key] / match_num

    # 〇の勝利、×の勝利、引き分けの順番で表示することを表す list 
    order_list = [Marubatsu.CIRCLE, Marubatsu.CROSS, Marubatsu.DRAW]

    # 通算成績の回数と比率の表示
    diff_list = [ ("count", count_list, "d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
    for title, data, format in diff_list:
        print(title)
        for i in range(2):
            for key in order_list:
                print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()
修正箇所
def ai_match(ai, match_num=10000):
元と同じなので省略
    # 通算成績の回数と比率の表示
    diff_list = [ ("count", count_list, "d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
    for title, data, format in diff_list:
-       print(title, end="")
+       print(title)
        for i in range(2):
            for key in order_list:
                print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()

下記のプログラムを実行することで、count などの後で 改行 されることが確認できます。

ai_match(ai=[ai1, ai2])

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

count
 o 7791 x 1800 draw 409
 o 5198 x 4402 draw 400
ratio
 o 77.9% x 18.0% draw 4.1%
 o 52.0% x 44.0% draw 4.0%

表示の改良その 2(count の回数の表示の文字幅を揃える)

下記は、match_num300 を指定して 300 回 ずつ 対戦を行う プログラムです。

ai_match(ai=[ai1, ai2], match_num=300)

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

count
 o 248 x 41 draw 11
 o 152 x 137 draw 11
ratio
 o 82.7% x 13.7% draw 3.7%
 o 50.7% x 45.7% draw 3.7%

上記の実行結果では、2 行目x の数413 行目x の数137 のように、桁数が異なる ので、その後の draw表示 が、2 行目と 3 行目で ずれて しまいます。上下の行数字表示位置ずれるわかりづらくなる ので、表示位置揃える ことにします。

数字の 表示位置揃える 最も簡単な方法は、すべて の数字の 表示幅揃える という方法です。そのためには、数字の 表示幅決める 必要があります。

oxdraw で、それぞれ 別々に 数字の 表示幅決める こともできますが、処理が面倒 なわりに、見やすさ大きく向上しない ので本記事では紹介しません。

数字の表示幅の決め方 その 1 (想定される数値の最大値から決める)

数字の表示幅 として、想定 される 最大表示幅設定する という方法があります。ai_match の場合、表示される 通算成績回数数字最大値 は、対戦 を行う 回数 です。従って、対戦 を行う 回数最大値 がわかれば、表示幅最大値決まり ます。

ai_match では、match_num任意対戦回数設定 できますが、あまり 大きな回数 の対戦を 行ってもai_match計算に時間がかかる だけで、通算成績の 精度 はほとんど 向上しません。そこで、多く見積もって、match_num最大値 として 1000000(百万)を 想定 することにします。なお、この百万は、筆者のパソコンで、match_num10000(一万)を指定して ai_match実行 すると、約 3 秒 かかることから設定しました。

1000000文字数7 文字 なので、下記のプログラムのように、前回の記事 で紹介した、書式指定文字幅7 を指定 することで、空白文字含めて常に 回数を表す数値が 7 文字で表示 されるようになり、上下 の数字の 表示位置必ず揃う ようになります。

  • 3 行目回数書式指定d を、文字幅7指定 する 7d修正 する
1  def ai_match(ai, match_num=10000):
元と同じなので省略
2      # 通算成績の回数と比率の表示
3      diff_list = [ ("count", count_list, "7d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
4      for title, data, format in diff_list:
5          print(title)
6          for i in range(2):
7              for key in order_list:
8                  print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
9              print()
行番号のないプログラム
def ai_match(ai, match_num=10000):
    mb = Marubatsu()

    # ai[0] VS ai[1] と ai[1] VS a[0] の対戦を match_num 回行い、通算成績を数える
    count_list = [ defaultdict(int), defaultdict(int)]
    for _ in range(match_num):
        count_list[0][mb.play(ai, verbose=False)] += 1
        count_list[1][mb.play(ai=[ai[1], ai[0]], verbose=False)] += 1

    # それぞれの比率を計算し、ratio_list に代入する
    ratio_list = [ {}, {} ]
    for i in range(2):
        for key in count_list[i]:
            ratio_list[i][key] = count_list[i][key] / match_num

    # 〇の勝利、×の勝利、引き分けの順番で表示することを表す list 
    order_list = [Marubatsu.CIRCLE, Marubatsu.CROSS, Marubatsu.DRAW]

    # 通算成績の回数と比率の表示
    diff_list = [ ("count", count_list, "7d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
    for title, data, format in diff_list:
        print(title)
        for i in range(2):
            for key in order_list:
                print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()
修正箇所
def ai_match(ai, match_num=10000):
元と同じなので省略    # 通算成績の回数と比率の表示
-   diff_list = [ ("count", count_list, "d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
+   diff_list = [ ("count", count_list, "7d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
    for title, data, format in diff_list:
        print(title)
        for i in range(2):
            for key in order_list:
                print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()

下記のプログラムを実行することで、回数の 表示位置上下で揃う ことが 確認 できます。なお、 間が空きすぎる 点や、数字o や x間が狭い ことが 気になる人 は、書式指定文字幅56減らし たり、8 行目の {key}直前半角の空白文字追加 するなどの方法で、自由表示 を自分好みに 調整 して下さい。

ai_match(ai=[ai1, ai2], match_num=300)

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

count
 o     232 x      51 draw      17
 o     154 x     139 draw       7
ratio
 o 77.3% x 17.0% draw 5.7%
 o 51.3% x 46.3% draw 2.3%

数字の表示幅の決め方 その 2 (計算で求める)

上記の、数値最大値想定 する方法では、上記の表示結果のように、対戦回数少ない場合 は、多くの空白表示 されてしまうという 欠点 があります。また、書式指定文字幅 は、文字列に変換した際の 文字幅最低値指定 するものなので、想定以上回数の対戦 を行うと、表示 が上下で ずれる場合あります

計算必要 になりますが、match_num代入 された 数値文字列の長さ を計算し、それを 書式設定文字幅設定 することで、下記のプログラムのように、対戦回数応じた長さ で、数字の 表示幅自動的調整 して 表示 することができるようになります。

  • 3 行目:組み込み関数 str を使って、match_num文字列型 のデータに 変換 し、組み込み関数 len を使って、その 文字列の長さ計算 し、width に代入する
  • 4 行目f 文字列 を使って、回数 の数字の 書式指定文字幅width設定 する。 を使って 書式指定指定 する方法を忘れた方は、前回の記事を参照すること
 1  def ai_match(ai, match_num=10000):
元と同じなので省略
 2      # 通算成績の回数と比率の表示
 3      width = len(str(match_num))
 4      diff_list = [ ("count", count_list, f"{width}d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
 5      for title, data, format in diff_list:
 6          print(title)
 7          for i in range(2):
 8              for key in order_list:
 9                  print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
10              print()
行番号のないプログラム
def ai_match(ai, match_num=10000):
    mb = Marubatsu()

    # ai[0] VS ai[1] と ai[1] VS a[0] の対戦を match_num 回行い、通算成績を数える
    count_list = [ defaultdict(int), defaultdict(int)]
    for _ in range(match_num):
        count_list[0][mb.play(ai, verbose=False)] += 1
        count_list[1][mb.play(ai=[ai[1], ai[0]], verbose=False)] += 1

    # それぞれの比率を計算し、ratio_list に代入する
    ratio_list = [ {}, {} ]
    for i in range(2):
        for key in count_list[i]:
            ratio_list[i][key] = count_list[i][key] / match_num

    # 〇の勝利、×の勝利、引き分けの順番で表示することを表す list 
    order_list = [Marubatsu.CIRCLE, Marubatsu.CROSS, Marubatsu.DRAW]

    # 通算成績の回数と比率の表示
    width = len(str(match_num))
    diff_list = [ ("count", count_list, f"{width}d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
    for title, data, format in diff_list:
        print(title)
        for i in range(2):
            for key in order_list:
                print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()
修正箇所
def ai_match(ai, match_num=10000):
元と同じなので省略
    # 通算成績の回数と比率の表示
+   width = len(str(match_num))
-   diff_list = [ ("count", count_list, "7d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
+   diff_list = [ ("count", count_list, f"{width}d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
    for title, data, format in diff_list:
        print(title)
        for i in range(2):
            for key in order_list:
                print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()

下記のプログラムを実行することで、match_num3 桁300 を指定した際に、回数 の数値が、空白を含めすべて 3 文字の幅表示 されることが 確認 できます。

ai_match(ai=[ai1, ai2], match_num=300)

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

count
 o 239 x  48 draw  13
 o 147 x 142 draw  11
ratio
 o 79.7% x 16.0% draw 4.3%
 o 49.0% x 47.3% draw 3.7%

表示の改良その 3(ratio の比率の表示の文字幅を揃える)

上記の表示結果では、ratio比率数字表示上下揃って いますが、x19.7%5 文字draw5.7%4 文字 になっていることからわかるように、比率数字表示幅異なる場合 があるため、下記のように、上下が揃わない可能性 があります。

ratio
 o 50.0% x 5.0% draw 45.0%
 o 30.0% x 50.0% draw 20.0%

比率 は、最小値0.0% で、最大値100.0% なので、文字幅最大値常に 100.0%6 文字 です。そのため、下記のプログラムの 4 行目のように、書式指定比率表示幅6 に設定 すれば、上下ずれる ことは決して 無くなります

 1  def ai_match(ai, match_num=10000):
元と同じなので省略
 2      # 通算成績の回数と比率の表示
 3      width = len(str(match_num))
 4      diff_list = [ ("count", count_list, f"{width}d"), ("ratio", ratio_list, "6.1%") ]
 5      for title, data, format in diff_list:
 6          print(title)
 7          for i in range(2):
 8              for key in order_list:
 9                  print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
10              print()
行番号のないプログラム
def ai_match(ai, match_num=10000):
    mb = Marubatsu()

    # ai[0] VS ai[1] と ai[1] VS a[0] の対戦を match_num 回行い、通算成績を数える
    count_list = [ defaultdict(int), defaultdict(int)]
    for _ in range(match_num):
        count_list[0][mb.play(ai, verbose=False)] += 1
        count_list[1][mb.play(ai=[ai[1], ai[0]], verbose=False)] += 1

    # それぞれの比率を計算し、ratio_list に代入する
    ratio_list = [ {}, {} ]
    for i in range(2):
        for key in count_list[i]:
            ratio_list[i][key] = count_list[i][key] / match_num

    # 〇の勝利、×の勝利、引き分けの順番で表示することを表す list 
    order_list = [Marubatsu.CIRCLE, Marubatsu.CROSS, Marubatsu.DRAW]

    # 通算成績の回数と比率の表示
    width = len(str(match_num))
    diff_list = [ ("count", count_list, f"{width}d"), ("ratio", ratio_list, "6.1%") ]
    for title, data, format in diff_list:
        print(title)
        for i in range(2):
            for key in order_list:
                print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()
修正箇所
def ai_match(ai, match_num=10000):
元と同じなので省略
    # 通算成績の回数と比率の表示
+   width = len(str(match_num))
-   diff_list = [ ("count", count_list, f"{width}d"), ("ratio", ratio_list, ".1%") ]
+   diff_list = [ ("count", count_list, f"{width}d"), ("ratio", ratio_list, "6.1%") ]
    for title, data, format in diff_list:
        print(title)
        for i in range(2):
            for key in order_list:
                print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()

下記のプログラムを実行することで、比率数字表示幅 が、空白を含めて すべて 6 文字 になることが確認できます。

ai_match(ai=[ai1, ai2], match_num=300)

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

count
 o 241 x  44 draw  15
 o 144 x 146 draw  10
ratio
 o  80.3% x  14.7% draw   5.0%
 o  48.0% x  48.7% draw   3.3%

表示の改良その 4(count と ratio で上下を揃える)

上記の実行結果では、countratioxdraw表示位置上下揃わない 点が わかりづらい ので、揃える ことにします。その場合は、下記のプログラムのように、countratio数字表示幅 を、幅の大きい方揃える 必要があります。

  • 3 行目実引数 に記述した式の計算結果の中の 最大値 を計算して返す max という組み込み関数を使って、回数の文字幅である len(str(match_num)) と 比率の文字幅である 6最大値計算 して width代入 する
  • 4、5 行目f 文字列 を使って、比率 の数字の 書式指定文字幅width設定 する。なお、行の内容が長くなって見づらくなったので 途中改行 した
 1  def ai_match(ai, match_num=10000):
元と同じなので省略
 2      # 通算成績の回数と比率の表示
 3      width = max(len(str(match_num)), 6)
 4      diff_list = [ ("count", count_list, f"{width}d"),
 5                    ("ratio", ratio_list, f"{width}.1%") ]
 6      for title, data, format in diff_list:
 7          print(title)
 8          for i in range(2):
 9              for key in order_list:
10                  print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
11              print()
行番号のないプログラム
def ai_match(ai, match_num=10000):
    mb = Marubatsu()

    # ai[0] VS ai[1] と ai[1] VS a[0] の対戦を match_num 回行い、通算成績を数える
    count_list = [ defaultdict(int), defaultdict(int)]
    for _ in range(match_num):
        count_list[0][mb.play(ai, verbose=False)] += 1
        count_list[1][mb.play(ai=[ai[1], ai[0]], verbose=False)] += 1

    # それぞれの比率を計算し、ratio_list に代入する
    ratio_list = [ {}, {} ]
    for i in range(2):
        for key in count_list[i]:
            ratio_list[i][key] = count_list[i][key] / match_num

    # 〇の勝利、×の勝利、引き分けの順番で表示することを表す list 
    order_list = [Marubatsu.CIRCLE, Marubatsu.CROSS, Marubatsu.DRAW]

    # 通算成績の回数と比率の表示
    width = max(len(str(match_num)), 7)
    diff_list = [ ("count", count_list, f"{width}d"),
                  ("ratio", ratio_list, f"{width}.1%") ]
    for title, data, format in diff_list:
        print(title)
        for i in range(2):
            for key in order_list:
                print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()
修正箇所
def ai_match(ai, match_num=10000):
元と同じなので省略
    # 通算成績の回数と比率の表示
-   width = len(str(match_num))
+   width = max(len(str(match_num)), 7)
-   diff_list = [ ("count", count_list, f"{width}d"), ("ratio", ratio_list, "6.1%") ]
+   diff_list = [ ("count", count_list, f"{width}d"),
+                 ("ratio", ratio_list, f"{width}.1%") ]
    for title, data, format in diff_list:
        print(title)
        for i in range(2):
            for key in order_list:
                print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()

max実引数 に、反復可能オブジェクト記述 すると、下記のプログラムのように、その 要素 の中の 最大値 を計算して返します。

print(max([1, 2, 3])

実行結果

3

なお、max実引数反復可能オブジェクト複数記述 することは できません

max類似 する 組み込み関数 として、最小値計算 する min があります。

maxmin についての詳細は、下記のリンク先を参照して下さい。

下記のプログラムを実行することで、countratio で、すべての数字上下表示位置揃う ようになることが確認できます。

ai_match(ai=[ai1, ai2], match_num=300)

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

count
 o    236 x     45 draw     19
 o    154 x    136 draw     10
ratio
 o  78.7% x  15.0% draw   6.3%
 o  51.3% x  45.3% draw   3.3%

表示の改良その 5(ai の名前の表示)

表示結果最初 に、対戦 する AI関数の名前表示 すると わかりやすくなる と思いませんか?関数の名前 は、関数オブジェクト__name__ という 特殊属性 に代入されているので、それを利用することで、AI の関数の名前を表示することができます。

もう一つの改良として、元のプログラムでは、countratio結果続けて表示 される点が、すこし わかりづらい ので、間で改行を行う ことで 見やすくする ことにします。

下記は、ai_match をそのように修正したプログラムです。

  • 2 行目AI の関数代入 された ai[0]ai[1]__name__ 属性表示 することで、対戦 する AI関数の名前表示 する
  • 15 行目countratio表示 する ブロックの最後print()記述 して 改行 する
 1  def ai_match(ai, match_num=10000):
 2      print(f"{ai[0].__name__} VS {ai[1].__name__}")
 3
 4      mb = Marubatsu()
元と同じなので省略
 5       for title, data, format in diff_list:
 6          print(title, end="")
 7          for key in data[0]:
 8              print(f" {key:>{width}}", end="")
 9          print()
10          for i in range(3):
11              print(f"{item_text_list[i]:5}", end="")
12              for value in data[i].values():
13                  print(f" {value:{format}}", end="")
14              print()
15          print()
行番号のないプログラム
def ai_match(ai, match_num=10000):
    print(f"{ai[0].__name__} VS {ai[1].__name__}")

    mb = Marubatsu()

    # ai[0] VS ai[1] と ai[1] VS a[0] の対戦を match_num 回行い、通算成績を数える
    count_list = [ defaultdict(int), defaultdict(int)]
    for _ in range(match_num):
        count_list[0][mb.play(ai, verbose=False)] += 1
        count_list[1][mb.play(ai=[ai[1], ai[0]], verbose=False)] += 1

    # それぞれの比率を計算し、ratio_list に代入する
    ratio_list = [ {}, {} ]
    for i in range(2):
        for key in count_list[i]:
            ratio_list[i][key] = count_list[i][key] / match_num

    # 〇の勝利、×の勝利、引き分けの順番で表示することを表す list 
    order_list = [Marubatsu.CIRCLE, Marubatsu.CROSS, Marubatsu.DRAW]

    # 通算成績の回数と比率の表示
    width = max(len(str(match_num)), 7)
    diff_list = [ ("count", count_list, f"{width}d"),
                  ("ratio", ratio_list, f"{width}.1%") ]
    for title, data, format in diff_list:
        print(title)
        for i in range(2):
            for key in order_list:
                print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()
        print()
修正箇所
def ai_match(ai, match_num=10000):
+   print(f"{ai[0].__name__} VS {ai[1].__name__}")
 
    mb = Marubatsu()
 元と同じなので省略
    for title, data, format in diff_list:
        print(title)
        for i in range(2):
            for key in order_list:
                print(f" {key} {data[i][key]:{format}}", end="")
            print()
+       print()

下記のプログラムを実行することで、意図した表示 が行われることが 確認 できます。

ai_match(ai=[ai1, ai2], match_num=300)

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

ai1 VS ai2
count
 o     241 x      49 draw      10
 o     141 x     150 draw       9

ratio
 o   80.3% x   16.3% draw    3.3%
 o   47.0% x   50.0% draw    3.0%

今回の記事のまとめ

長くなったので、今回の記事はここまでにしたいと思います。なお、ai_match の改良は次回の記事で完了する予定です。

今回の記事では、手番を入れ替えた対戦 を行うように ai_match を改良しました。また、表示わかりやすく なるように改良を行いました。

本記事で入力したプログラム

以下のリンクから、本記事で入力して実行した JupyterLab のファイルを見ることができます。

今回の記事では、marubatsu.py は修正していないので、marubatsu_new.py はありません。

以下のリンクは、今回の記事で更新した ai.py です。

次回の記事

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