博報堂テクノロジーズのCCoEチームは、ドキュメント管理ツールのNotionを最大限に活用しています。メモやナレッジ共有だけでなく、タスク管理や組織内外とのコラボレーションの基盤としても機能しています。今回、私たちが実際の利用を通じて得た、いくつかの効果的な活用例と便利なテクニックをご紹介します。
1. CCoEポータルサイト(初代)
我々、博報堂テクノロジーズのCCoEの顔ともいうべき、CCoEポータルサイトはNotion上にありました。
(現在は、CCoEの活動とコラボレーション範囲の拡大と共に、様々なグループ会社からもポータルサイトへアクセスしていただく必要があり、別のツールに移行しています)
短期間で迅速に準備する必要があったため、豊富なテンプレートを備え、デザインに時間をかけずに済み、複数人で柔軟に協働することができるNotionを選択したのは必然でした。
そしてCCoEのポータルサイトに相当するページは、分かりやすさとアクセスのしやすさを重視し、博報堂テクノロジーズ社内ポータルサイトの配下に配置し、適切な導線を設けました。
Notion上でのポータルサイト運営のテクニックは、メンテナンスコストを抑えるために構成ページ数を最小限に抑え、可能な限り1ページ内にブロックで情報を追加していくことです。Notionは容易にドキュメント(ページ)を作成できるため、新しいページを増やしがちになります。しかし、情報の陳腐化を防ぎ、管理を容易にするため、情報を分散させずにページ数を最小限に抑えました。実際、初期リリース時のページは「CCoEトップページ」「CCoEについて」「AAAクラウド」の3ページのみでした。
(※AAAクラウドとは某社のクラウドのことです)
2. タスク管理
チームで仕事をする上で、必要不可欠なものの一つがタスク管理ツールです。
インフラ部内でも運用に関わっているチームでは、それぞれの案件ごとにビジネス側/アプリ側が利用しているタスク管理ツール(SaaSなど)に相乗りして、運用作業系のタスク・チケット管理を行っています。
一方でCCoEチームはというと、インフラ部内での活動がメインのため、タスク管理ツールを自前で用意しなければなりません。しかし、我々の部署では独自の契約などは持っていませんでした。
当初、この状況に対して、我々にはタスク管理ツールなどの武器が一切なく「ひのきの棒で戦えというのか!」という状態であると誤解していました。しかし実際は、「Notionという強力な武器があるじゃないか!」と、伝説の聖剣を初期状態で装備していたことに気付いたのです。
Notionを単なるドキュメント管理ツールとして捉えるのは誤りです。むしろ、タスク管理において強力な威力を発揮するのです。
タスク管理にはNotionデータベースを活用し、テンプレートを用いてタスクごとにページを作成します。このテンプレートを改良し、より充実させていくことが、Notionの機能を最大限に活かすポイントと言えるでしょう。
ビューについても担当者別やカテゴリー別を用意し、さらにチャートビューを組み合わせることで、活動の配分が視覚的にすぐ把握できるようになりました。
また、AI要約機能により、タスクの概要が更新されるたびに自動で要約が生成されます。これにより内容を容易に把握でき、他者への説明時にもこのAI要約を活用しています。
Notionを活用したタスク管理で工夫した点が2つあります。
1つ目は「優先順位」のプロパティを設定することです。この優先順位は「高」「中」「低」といった曖昧な表現ではなく、1〜10の数値で表します。これにより、チーム内でのタスクの重要度が明確になり、「ほとんどのタスクが高優先度」という状況を防ぎます。さらに、あえて1〜10の範囲に限定することで、タスクが11以上あっても、重要施策への集中と取捨選択を意識させる効果があります。
現状は短期間で終わるようなタスクがほとんどなく、ある程度の期間を要するタスクで粒度が揃っています。そのため、優先順位の更新頻度はそれほど高くはありません。タスクが1つ完了するたびに優先順位を見直すようにしています。また優先順位付けは、リーダーによる判断としています。
2つ目は「コメント」プロパティの設置です。Notionはページ内の特定箇所へのコメントが可能ですが、タスク全体に対するコメント欄をあえて設けました。これにより、タスクの方向性確認や他の方からの質問とその回答だけでなく、タスク完了時のリーダーからのフィードバックやサンクスコメントも残すことができます。
3. ドキュメントレビュー
ドキュメントレビューもNotionを活用し、効率的に実施しています。
この過程で最も重要なのは、非同期性です。CCoEチームには他チームと兼務している メンバーもおり、頻繁に会議を開催することは困難です。そのため、タスク遂行において「いかに非同期でコラボレーションを進めるか」が鍵となります。これは、まさにリモートワーク時代の働き方を体現しています。
CCoEポータルサイトなどの公開ドキュメントを更新・新規作成する際のプロセスを設け、テンプレートページを用意しています。ページ内では更新箇所や更新前後の情報を明確かつ分かりやすく示し、レビュー者の欄が埋まりチェックボックスが完了すると、リリース待ちのステータスに移行します。その後、CCoEポータルサイトを更新し、タスクが完了となります。
Notionのコメント機能を活用することで、レビュー会議を設けずに非同期でディスカッションや確認ができます。さらに、直接編集し合うことで、素早くドキュメントを作成・改善できます。
さらに、レビュー時にはNotion AIの「文章を改善する」機能を活用することで、より適切な表現を瞬時に見つけ出し、反映させることができます。
4. 会議アジェンダ・議事録
Notionユーザーにとっては当然のことかもしれませんが、会議のアジェンダと議事録作成はNotionによって劇的に効率化されます。
タスク管理と同様に、アジェンダ作成にもデータベースを活用します。テンプレート機能を用いたアジェンダを継続的に改善することで、より充実した内容のアジェンダテンプレートが自然と完成していきます。
そして、Notion AIの要約機能は非常に強力で、その効果は絶大です。会議の内容を一目で把握できるため、不参加者への情報共有や、後日議事録を探す際に記憶を頼りに検索する手間を大幅に削減できます。
Notion AIの活用は要約だけにとどまりません。タグ付けにも威力を発揮します。特に、定例会議ではなく不定期に開催される個別ミーティングでは、AIによる自動タグ付けが有効です。これにより、ミーティングを効果的にグループ化でき、後から振り返る際に非常に便利です。
まとめ: Notionで実現するストレスフリーなコラボレーションと今後の期待
今回はCCoEチームにおけるNotionの活用例をご紹介しましたが、SRE/Platform Engineeringのチームでもポストモーテムの実施にNotionを活用するなど、我々はNotionを最大限に活用しています。ドキュメント管理ツールにおいて最も重要なのは「ストレスなくコラボレーションが容易にできること」だと私は考えており、Notionはこれを見事に実現してくれていると実感しています。
Notion AIも日々進化を続けており、今後登場する新機能に大いに期待を寄せています。
(個人的には、Notionアカウントを保有していないグループ会社と簡単かつセキュアにNotionのドキュメントを共有できる機能があればと願っています)