Route 53 の「位置情報ルーティング(Geo Location Routing)」と「地理的に近接性ルーティング(Geo Proximity Routing)」は、名前が似ていますが仕組みも目的も異なるルーティングポリシーです。以下にわかりやすく整理します。
🌎 1. 位置情報ルーティング(Geo Location Routing)
🧠 特徴
-
DNSクエリの発信元の「地理的な位置(国や大陸)」に基づいて、異なるIPやリソースを返します。
- たとえば「日本からのアクセス → 東京のサーバー」「アメリカからのアクセス → 米国リージョンのサーバー」などが可能。
📌 ユースケース
- 国ごとの法律や規制に対応したサーバー切り分け
- 言語別・地域別サービス
- 海外アクセス制限や制御
✅ 特徴まとめ
項目 |
説明 |
ルーティングの基準 |
クライアントの地理的な位置情報(国/大陸など) |
利点 |
地域ごとのポリシー適用が簡単 |
精度 |
国単位での制御がメイン(IPジオロケーションに依存) |
設定方法 |
各レコードに「地理情報(例:JP, US)」を割り当てる |
📍 2. 地理的に近接性ルーティング(Geo Proximity Routing)
🧠 特徴
-
ユーザーの現在地と、各AWSリージョン(または任意の地点)の「物理的距離」に基づいて、最も近いリソースへルーティングします。
- 距離は 実際の距離(緯度経度)ベース。そして「バイアス(重み)」を加えて調整可能です。
📌 ユースケース
- レイテンシを最小にしたいグローバルWebサービス
- 特定のリージョンのトラフィックを制御したい(例:東京リージョンの負荷分散)
✅ 特徴まとめ
項目 |
説明 |
ルーティングの基準 |
ユーザーの現在地からの物理的な距離 |
利点 |
低レイテンシが実現できる |
精度 |
緯度経度ベース(Route 53トラフィックフロー or API必須) |
設定方法 |
Route 53 トラフィックフロー + geoproximity rule で定義 |
🧭 比較表
比較項目 |
位置情報ルーティング |
地理的近接性ルーティング |
判断基準 |
国や地域(IPから特定) |
緯度経度による物理距離 |
対応単位 |
大陸・国・都道府県など |
AWSリージョンや任意の地点 |
使いやすさ |
簡単(GUIで設定可能) |
やや複雑(トラフィックフロー必要) |
利用例 |
規制・言語対応など |
レイテンシ最適化・分散トラフィック |
調整可能性 |
固定(優先度など) |
距離バイアスを自由に操作可能 |