はじめに

先日リリースされていたNGINX Unitについて、WordPressを動かしたかったです。

先日はNGINX Unitを動かすところまでできていたので、そこからWordPressを動かすようにしました。

DockerでNGINX Unitのコンテナを作る

前回のコードからNGINX Unit用のコンテナを作ります。

Dockerfile

FROM ubuntu:16.04

RUN apt update -y && \
 apt install -y  emacs-nox zsh mlocate git sudo net-tools build-essential


COPY nginx_signing.key /root/nginx_signing.key
RUN apt-key add /root/nginx_signing.key

RUN echo "deb http://nginx.org/packages/mainline/ubuntu/ xenial nginx\n deb-src http://nginx.org/packages/mainline/ubuntu/ xenial nginx" >> /etc/apt/sources.list
RUN apt update -y
#RUN apt install -y unit
RUN apt install -y nginx
RUN apt install -y php-dev libphp-embed php7.0-mysql mysql-client

RUN git clone https://github.com/nginx/unit /tmp/unit && \
 cd /tmp/unit && \
 git checkout 8e2fd89634bedd4570a2d3d885c209a0e1d20d62 && \
 ./configure --prefix=/opt/unit && \
 ./configure php && \
 make && \
 make install

RUN apt install -y composer
RUN service nginx start

CMD ["/opt/unit/sbin/unitd", "--no-daemon", "--control", "unix:/var/run/control.unit.sock"]

## 何もしないDockerにするときはこれ
# CMD ["sleep","3600"]

この中のgit clone〜あたりで最新版のNGINX Unitのコードを拾っています。
またunit起動時に--control unix:/var/run/control.unit.sockオプションを与えることで、UNIXソケットの場所を指定します。
この指定がないと./configureで指定される/opt/unit辺りにソケットファイルが置かれることになります。
こちらでもかまわないのですが、混乱を避けるため/var/runに指定しておきます。

またNGINX周りのインストールも行っています。
NGINX Unitは単体ではアプリケーションを動かすのみで、HTTPサーバ機能は提供されていません。
その為、リバースプロキシとしてNGINXをインストールしています。

Dockerイメージをビルドします。

$ docker build --rm ./ -t yousan/nginx-unit

このイメージはこちらのものと同様です。

docker-compose

今回はWordPressを使うことが目的のため、MySQL（MariaDB)も一緒に動かします。
docker-composeを使って両方を起動させます。

docker-compose.yml

version: '2'

services:
  nginx-unit:
    image: yousan/nginx-unit
    container_name: nginx-unit
    ports:
      - 8300:8300
    volumes:
      - ./json:/root/json
      - ./run:/var/run
      - ./root:/www/root
      - ./conf/php.ini:/etc/php/7.0/embed/php.ini
      - ./conf/default.conf:/etc/nginx/conf.d/default.conf

  mysql:
    image: mariadb
    environment:
      MYSQL_ROOT_PASSWORD: example
    ports:
      - 3306:3306
    volumes:
      - ./mysql:/var/lib/mysql

HTTPアクセスをNGINXに接続させるため、ポート番号をバインドしています。
またNGINX、PHPのコンフィグファイル、NGINX Unitの制御用jsonファイル、ドキュメントルートをローカル側で編集させるため、ボリュームをマウントしています。

起動します。

$ docker-compose up -d

動きましたね。

コマンドの送信

NGINX UnitではHTTPリクエストを使って起動、設定などを行います。
通常のHTTPリクエストはTCP/IPを利用していますが、NGINX Unitの制御に使用するHTTPリクエストはUNIXソケットファイルを使います。
コマンドではcurl --unix-socketで指定される引数で接続が指定されます。

今回はDockerの中でNGINX Unitが起動していますので、このソケットファイルを利用する必要があります。
しかしMacOSのDockerではUNIXソケットファイルを共有することができないため、そのままでは通信することができません。
そこでDockerコンテナの中でcurlコマンドを使い、HTTPリクエストを投げてみます。

先ほどdocker-compose.yamlで指定しておいたjsonディレクトリには、起動用のJSONファイルを置いてあります。

json/start.json

{
  "listeners": {
    "*:8300": {
      "application": "blogs"
    }
  },
  "applications": {
    "blogs": {
      "type": "php",
      "workers": 20,
      "root": "/www/root",
      "index": "index.php"
    }
  }
}

このファイルを使ってHTTPリクエストを送ります。コンテナの内部でcurlコマンドを動かすため、パスの表記に注意が必要です。

$ docker-compose exec nginx-unit curl -X PUT -d @/root/json/start.json --unix-socket /run/control.unit.sock http://localhost/

{
    "success": "Reconfiguration done."
}

うまく動きました。

コンテナの中から送る方法

もちろんコンテナ内部に入って送ることもできます。
/bin/bashでコンテナ内部に入り、先ほどと同じコマンドを送信します。

$ docker-compose exec nginx-unit /bin/bash
# curl -X PUT -d @/root/json/start.json --unix-socket /run/control.unit.sock http://localhost/

確認

ブラウザで接続して動作を確認しておきます。
ここでは試験用にphpinfo()を表示させています。

root/index.php

<?php phpinfo();

WordPressの設定

WordPressの本体はPHPファイルです。
今回はrootというディレクトリをドキュメントルートにしているため、そちらにコアファイルを設置します。
composerを使ってインストールします。

root/composer.json

{
  "require": {
    "php": ">=5.4",
    "johnpbloch/wordpress": "4.7.5"
  },
  "extra": {
    "wordpress-install-dir": "wp/"
  }
}

composer installでコアファイルをダウンロード、インストールします。
rootディレクトリはバインドされているため、このcomposerコマンドはローカル側、ホスト側どちらで動かしても良いです。
@Hiraku さんのprestissimoの導入ですとか、そのあたりをローカル側で行っているため、ローカルで動かしました。
光遅い問題を克服してcomposerを10倍速くした話

インストールが完了したらMySQLのデータベースを作っておきます。

$ docker-compose exec mysql mysqladmin create -hlocalhost -uroot -ppassword root_wordpress

確認

ここまでできたら後は動作確認です。
wp/ディレクトリにインストールしているので、そちらを参照します。

初期ユーザなどの設定が完了すれば動きます。

お疲れ様です！

まとめ

NGINX Unitは有料版がでるそうですね。今後はPHP-FPM、HHVMなどを置き換えていくほどのすごいアプリケーションになるのか、なにせNGINX謹製のアプリケーションサーバですからその性能に期待して胸が膨らみます。
数台、数百台の仮想インフラ上にアプリケーションユニットをポコポコならべて並列化させて…、もしくはユニットを単位としてAWSとかで提供されて…、なのかもしれませんね！

あと結局Dockerfileは華麗じゃないので書き直せるといいな。

参考

http://hatebu.me/entry/2017/09/08/200539
https://www.nginx.com/blog/introducing-nginx-application-platform/

NGINX Unit 0.1で動かなかったWordPressを最新版をつかってDockerで華麗に動かす