はじめに
こんにちは。ネットアップ合同会社 SEの岩井です。
最近耳にタコができるほど叫ばれてますよね、「サステナビリティ」。
自身が所属する企業だったり、自治体、政府、国、いたる所で全ての二酸化炭素排出量を削減しようとしています。
ガートナー社によると、持続可能性への注目は高まっており、52%の企業が環境に配慮した選択がビジネスの成長を促進し、競合他社との差別化に役立っていると回答し、29%が業界とのパートナーシップを通じて戦略的価値の創造に役立っていると報告しています。(①)
さて、去年末私の同僚がQiitaのAdvent Calender 2022でBlueXPというネットアップのハイブリッド環境の新コンソールのご紹介をしました。
最近このBlueXPにサステナビリティダッシュボードなるものが追加されてので、今回はこちらについてご紹介したいと思います。
サステナビリティダッシュボードってなに?
名前の通り、サステナビリティダッシュボードはストレージにおけるサステナビリティの姿勢を改善するためのガイドサービスです。
BlueXPが連携しているNetApp ONTAPを使用したストレージシステム全体のエネルギー消費を監視し、改善点を提案することで、各社が掲げている持続可能性目標の達成を支援します。
目標達成に向けて、電力・炭素・熱量などの項目に関するレポートを出してくれたり、持続可能性の向上に向けた推奨アクションの提示機能もあるので、上長に向けた報告の手助けにもなるでしょう。
それでは、ダッシュボードの機能を見ていきましょう。
サステナビリティダッシュボードを利用するにあたって以下の条件が必要となります。
・NetApp ONTAPを使用したストレージの利用(AFF Aシリーズ、AFF Cシリーズ、FAS、CVO)
・上記のストレージ環境とBlueXPの連携(※1)
・ONTAPのAutoSupportの有効化(デフォルトで有効)
・リアルタイムでの消費電力情報の取得にはCloud Insightsが必要
ちなみに無償です。(Cloud Insightsは有料)
※1
Active IQをお使いの場合は「Storage Health」→「Sustainability」で同じダッシューボードを利用することも可能です。BlueXPからのみの提供ではありません。
総合スコア
ダッシュボードに入ると、左上に以下のスコアが表示されています。
Sustainability score(持続可能性スコア)
ストレージシステムの環境持続可能性を示す総合スコアです。
持続可能性の向上に向けた主要機能、サービス、ベストプラクティスをどの程度活用しているかを評価します。
スコア向上の進捗状況を確認するために、過去5週間のスコアも表示されています。
Environmental indicators(環境指標)
月、四半期、または年間ベースでの電力、炭素の直接排出量、および熱排出量の予測値を表示します。
炭素使用量の単位のtCO2eとはtonne of CO2 equivalentの略で、CO2 equivalentというのが二酸化炭素を主とした他の温室効果ガス(メタン、亜酸化窒素など)を含めたものを指します。それら総温室効果ガスの排出量をトン単位で出したものです。
熱排出量の単位のBTUは、(なぜか)英国熱量単位で、1BTU/hは0.29307Wです。
Carbon mitigation percentages(二酸化炭素削減率)
コチラに関しては、ご自身の各データセンターでの取り組みを入力していく形になります。
自社の取り組みにおいて、データセンターで再生可能エネルギーなどを使用したことによって計算できる二酸化炭素排出量の削減率を入力すると、炭素の直接排出量や持続可能性スコアが変動します。
推奨アクション
ここではストレージシステムの持続可能性スコアを向上させるための推奨アクションを提示してくれます。
「Fix」または右端の下矢印をクリックするとそのアクションの詳細が出てきます。
例えば、2つ目の「Enable deduplication to suppport more worklods(+7%)」を展開すると、以下の詳細が表示されます。
ここからは、「ph54483-cluster10」というONTAPクラスタで重複排除が効いていないため、有効化するとクラスタの持続可能性スコアを7%上昇させられますよというのが分かります。
隣の「Fix」をクリックすると、そのクラスタのSystem Managerが開き、重複排除を有効にする作業がすぐ開始できます。
推奨アクションを実行すると、総合スコアが上昇します。
「Later」をクリックすると、「Actions for later」タブに推奨アクションが移動します。
各ストレージの詳細
ここではクラスタレベルで様々な環境パラメータを表示します。
画像ではカラムが8つですが、カラム右端の「⊕」ボタンから以下のカラムに対応しています。
・「Working environment」:クラスタ名
・「Site」:クラスタが配置されているデータセンター
・「Sustainability score」:持続可能性スコア
・「Capacity Utilization(%)」:容量使用率
・「Direct CO2 Usage」:二酸化炭素の直接排出量
・「Actual Power kWh」:TiB毎の消費電力
・「Heat BTU/h」:毎時の熱排出量
・「Recommended actions」:推奨アクションの有無
・「Total capacity」:容量
・「KG CO2/TiB」:TiB毎の二酸化炭素排出量
・「Typical power kWh」:ストレージシステムが通常時の稼働(ノードの使用率50-60%)で消費する電力
・「Worst power kWh」:保証している稼働限界温度ギリギリで運用した場合の消費電力
・「Median power kWh」:AutoSupportを通してNetAppが監視している同様のストレージシステムの平均的な消費電力
・「Real-time power kWh」:リアルタイムで監視する消費電力(Cloud Insihgts必須)
・「Watts/TiB」:TiB毎の消費電力
まとめ
今回は、NetApp BlueXPのサステナビリティダッシュボードについて紹介させていただきました。
このダッシュボードでは、お使いのストレージシステムが実際にどれだけのエネルギーを消費していて、持続可能性の観点からどうやって運用を改善していくかを提示してくれます。
様々なパラメータも提供していますので、自社内でのレポートの作成にもお役に立てるかと思います。
本記事がサステナビリティ戦略の参考になれば、幸いです。
参考記事
(①)