概要
この1年、中小規模工場を操業している製造業企業に対して、
生産性向上の一環としてIT/IoTシステムを提案するとともに、
そのデータの利活用手段としてPower BIを提案してきました。
その取り組みを簡単にまとめ、振り返りをしたいと思います。
中小工場の現状
ざっくり簡単に説明していきますが、工場の生産ラインにどのような工程があって、
それらにどのような作業があって、そして作業にどれくらい時間がかかっているかを把握していきます。
また、合わせて誰が何をどのくらいの時間しているかも把握していきます。
※実際は
ということで、たいてい生産ラインに対して指示書等で作業指示が行われて、
それを日報として報告したりするのですが、
・手書きで日報をつけていたり、つけていなかったり・・・
・手書き日報は、事務員や生産管理担当の方が、Excelに入力しなおしたり・・・
・Excelをゴニョゴニョして、原価や作業時間を計算したり・・・
という現状だったりします。
導入したこと
・工場の作業員が、スマホアプリでリアルタイムに作業記録(やること、開始日時、終了日時)をつけれるようにする
・スマホアプリで入力された作業記録は社内のDBに自動で保存。作業時間も自動計算。
・Power BI Desktopでデータを見える化
振り返り
導入しやすさについて
中小工業では大きな予算を取ることが難しいです。
また、改善効果が見えない段階で費用をかける許可が下りにくい場合もあります。
その点を見越し、無料で使えるPower BI Desktopを使用することにしました。
分析ツールなんて言うと、敷居が高く感じられるようでしたが、
こちらで簡単な画面を作成してデモした結果、
職員さんが、「自分でもできそう!」と思えたとのこと。
ドラッグ&ドロップで画面を作っていける点が好評でした。
現場の生産性データだけじゃなくて、販売管理システムのデータをCSV出力してPower BI Desktopに取込み、
受発注データなども自分で可視化し始めるツワモノさんが現れたりしました。
ビジュアルについて
生産計画等では、ガントチャートを作成することが多いのですが、
Excelで作成するのは結構手間ですよね。
Power BIで簡単にガントチャートを表示できることを伝えると、相当喜ばれました。
ガントチャートのビジュアルの使い方は、過去記事で紹介していますので
参考にされてください。
⇒ Power BI Tips - ガントチャートを表示する
生産性の分析では、これまではExcelで円グラフや棒グラフを作成されていましたが、
もちろんPower BIでもそれらが作れます。
ちょっと問題なのは、パソコンがインターネットに接続されていないと、
ガントチャートが表示されない点です。
もしかして、App Sourceから取得したビジュアルは、全てそうなのかな?
データの取り込みについて
企業内にはデータベースだけでなく、Excelファイルや他のシステムのデータ等、
分析に使用するデータが点在するのが実際です。
Power BI Desktopで、それらが簡単に取り込めるのもかなり好評でした。
元データが更新されても、更新ボタンを押せば取り込めるのも嬉しいですね!
ただ、データベースからのデータの取り込みと、
取り込んだ各種データの紐づけ(リレーションシップの管理)が難しいようでした。
⇒一対多/多対多といった用語が取っつきにくいようです。
共有方法
レポートを安全に共有する方法として、Power BI サービスを使用することも考えたのですが、
分析画面の作成と閲覧でツールが変わることを避けるため、
生産管理の方がpbixファイルを作成し、それをファイルサーバー等で共有してもらうようにしています。
Power BIの操作に慣れていない方の方が多いので、表示タブの「オブジェクトをロック」を有効にして、
レポート上のグラフ等のオブジェクトがずれないようにしています。
まとめ?
今は一つの部署での運用だったりですが、
運用する部署が増えたり、長期間運用していく中で、
また課題が出てくると思っています。
そこでのノウハウなんかも共有しきたいと思います。