はじめに
黎明期のパソコンを知る私は「昔の N-BASIC や MS-DOS の配色は良かったな」と思います。黒色の背景上に白い文字。文字が識別しやすく目が疲れにくい配色でした。しかし、Mac の影響を受けた Windows の時代になり、デフォルトの配色が「白背景+黒文字」となってから、パソコンは酷く目を痛める装置になってしまいました。
私の場合、仕事で日常的に MS-Office を使いますが、Word、Excel、PowerPoint、Outlook の画面をずっと見ていると1時間と目が保ちません。目が痛みを感じるぐらい疲れてしまい、画面を直視できない状態になります。
そう言えば、iPod で大音量の音楽を聞いていたユーザが難聴になったとアップルを訴えた裁判がありましたが、Mac や Windows のユーザが視力低下でアップルやマイクロソフトを訴えたという話は聞いた事がありません。
目は光を入力とする感覚器官です。目に対する負荷は「黒背景+白文字」よりはるかに「白背景+黒文字」の方が高い筈です。音楽に例えるとすれば、前者は「静かなクラシック」、後者は「大音量のロック」といったところでしょうか。どうして誰もアップルやマイクロソフトを視力低下で訴えないのでしょう?
仕方ないので、私は Windows、Ubuntu、iPhone の通常画面を「黒背景+白文字」に設定し、必要な時だけ通常の「白背景+黒文字」に切り替えて使っています。
このお陰で、一日中 PC やスマホの画面を見続ける生活を送っていますが、未だに自動車の運転免許証に「眼鏡等」の条件が付かない程度の視力を維持できています。
そんな私の対策について紹介します。
Windows での対策
Windows の画面設定のテーマには、視覚障害者用の「ハイコントラストモード」テーマが複数用意されており、この中に「黒背景+白文字」テーマがありますが、私はこのテーマを使っていません。理由は2つあります。
- Windows でハイコントラストモードテーマを使用すると、Firefox が独自のハイコントラストモードになる。この結果、どの Web サイトも「黒背景+白文字」に変更されてしまい、多くのサイトで微妙なページの色の違いが分からない
- 一部のアプリ(vSphere Clientなど)では「黒背景+黒文字」になってしまい、文字が読めない
結局、単純な「黒背景+白文字」テーマを諦め、通常の Windows 画面を単に色反転する方法を探していたところ、NegativeScreenというフリーソフトを見つけました。その名の通り、写真のネガのように画面全体の色をリアルタイムに反転するソフトウェアです。[Win]+[Alt]+[N]のショートカットで色反転の ON/OFF が出来るため、必要な時だけ即座に通常画面に戻す事が出来ます。
但し、このソフトウェアは Windows7 以降のデスクトップコンポジションを利用しているので、リモートデスクトップ経由で使用する場合には、リモートデスクトップのオプションで以下の機能を有効にする必要があります。
- デスクトップコンポジション
- テーマ
更に、リモートのデスクトップ側の画面設定でデスクトップコンポジションを有効にしたテーマを選択する必要があります。
Ubuntu での対策
Ubuntu は Unity と呼ばれる独特のデスクトップをデフォルトにしています。Unity は Compiz というウインドウマネージャをベースにしていますが、この Compiz のプラグイン(compiz-plugins)と設定アプリ(compizconfig-settings-manager)をインストールして再ログイン(=デスクトップを再起動)し、compizconfig-settings-manager を起動して「アクセシビリティ」中の「Negative」にチェックを入れると、画面の色反転機能を使えるようになります。
デフォルトではウインドウ単位での反転になりますので、色反転したいアプリを選択して「Win」+「N」を押すと、そのウインドウの色反転を ON/OFF できます。
但し…Unity は 18.04 でデフォルトのデスクトップではなくなります。
iPhone での対策
iOS は標準で画面の色反転機能があります。設定の「一般」→「アクセシビリティ」→「ディスプレイ調整」→「色を反転」を設定すると画面の配色が反転します。しかし、カメラや Ingress など、アプリによっては通常の配色の方が良いものもあります。アプリ切り替え毎に上記の設定をチマチマ行うのは現実的ではありません。
そこで、ホームボタンのショートカット機能を使います。「一般」→「アクセシビリティ」→「ショートカット」→「色を反転」を設定すると、ホームボタンを3回連続押す事で色反転を ON/OFF できます。
最後に
そもそも長時間画面を見ないのも大事な対策です。可能であれば業務を見なおして長時間画面を見なくても良いように工夫した方が良いでしょう。
また、目の運動も効果的です。例えば、広い食堂等の天井にある照明を近い方から遠い方へ(あるいはその反対)順に見つめる(=目の焦点を合わせる)のも良いと思います。