はじめに
この記事はGoogle Apps Script Advent Calendar2022の14日目の記事です🎅
概要
前回書いた、Google Sheets APIを使って爆速でシートを読み書きする記事の続きです。
今回は主に書き込みに使うAPIを紹介します
GASでSheetsAPIを利用する事前準備については
前回の記事をご参照下さい
シートに値を書き込む
Sheets.Spreadsheets.Values.batchUpdateを使用します
Sheets.Spreadsheets.Values.batchUpdate(
resource: Sheets_v4.Sheets.V4.Schema.BatchUpdateValuesRequest,
spreadsheetId: string)
第1引数 : resource
APIへのリクエスト内容を指定するオブジェクトです
{
valueInputOption: 'USER_ENTERED',
data: [
{
range: 'main!A1:B2',
values: [[1, 2], [3, 4]]
},
]
}
valueInputOption
入力値をどのように解釈するかのオプションです
以下2種類のいずれかをstringで指定します
名前 | 概要 |
---|---|
RAW | 入力した値をそのままセットします ※数値なら数値、文字列なら文字列として解釈 |
USER_ENTERED | 入力した文字列を解釈可能な場合は 数値や日付などに変換してセットします |
基本的にUSER_ENTEREDで問題ありません
data
書き込みたいセル範囲とデータ、書き込みオプションを指定出来ます
以下のプロパティを持つオブジェクトの配列で指定します
名前 | データ型 | 概要 |
---|---|---|
range | string | 書き込み先のセル範囲をA1形式の文字列で指定します |
values | any[][] | 入力値を2次元配列で指定します |
majorDimension | string |
values の値を行方向(ROWS)に展開するか、列方向(COLUMNS)に展開するかを指定します ※プロパティの指定が無い場合、行方向になります |
第2引数 : spreadsheetId
書き込み先のスプレッドシートIDをstringで指定します
アクセス権があれば、現在開いているものとは別のスプレッドシートを指定することも可能です
書き込み例
例えばこんなパラメータを指定すると
Sheets.Spreadsheets.Values.batchUpdate(
{
valueInputOption: 'USER_ENTERED',
data: [
{
range: 'シート1!A1:B2',
values: [[101, 'Alice'], [102, 'Bob']]
},
],
},
SpreadsheetApp.getActive().getId(),
);
こんな出力結果が得られます
シート1
列A | 列B | |
---|---|---|
行1 | 101 | Alice |
行2 | 102 | Bob |
続いて、入力値を指定する際のコツについて説明していきます
入力値の指定方法
サポートしている入力データの型
bool
,string
,double
をサポートしています
セルの値をクリアしたい場合は空文字列""
を指定すると
該当のセルが空の値で上書きされます
特定のセルを上書きしたくない場合、
Null値を指定することで書き込みの対象外とすることも可能です
Null値
・・・null
やundefined
。書き込みの対象外として扱われます
注意として NaN
だけはサポートされていないようで例外が発生してしまいます
NaN
が想定されるロジックの場合、null
やundefined
に置換してから書き込みを行いましょう
数式の入力
文字列としてそのまま数式を書けば、数式がセットされます
(valueInputOption
をUSER_ENTERED
に設定しておく必要あり)
Sheets.Spreadsheets.Values.batchUpdate(
{
valueInputOption: 'USER_ENTERED',
data: [
{ range: 'シート1!A1', values: [['=TODAY()']] },
],
},
SpreadsheetApp.getActive().getId(),
);
シート1
列A | |
---|---|
行1 | 2022/12/14 |
複数リクエストの一括指定
同じスプレッドシート内であれば、複数の書き込みリクエストを一度に送信することが出来ます
例えば同じ入力データを複数のシートに書き込みたい場合
セル範囲だけを変えたリクエストをdata
配列に指定すればOKです。
const values = [[101, 'Alice'], [102, 'Bob']];
Sheets.Spreadsheets.Values.batchUpdate(
{
valueInputOption: 'USER_ENTERED',
data: [
{ range: 'シート1!A1:B2', values },
{ range: 'シート2!A1:B2', values },
{ range: 'シート3!A1:B2', values },
{ range: 'シート4!A1:B2', values },
{ range: 'シート5!A1:B2', values },
],
},
SpreadsheetApp.getActive().getId(),
);
setValues
だと離れた複数のセルを変更することは出来ないので、
こういった使い方が出来るのは何気に便利ですね。
rangeの範囲外への書き込み
range
で指定された範囲を超えるようなデータをvalues
に指定していると、
例外が発生して書き込みに失敗してしまいます。
GoogleJsonResponseException
が発生します
そのため、range
が2行 x 2列なら、values
も2行 x 2列にするか
2行 x 1列のように範囲を超えないような配列サイズで指定する必要があります
const values32 = [[101, 'Alice'], [102, 'Bob'],[103, 'Carol']];
const values21 = [[101], [102]];
Sheets.Spreadsheets.Values.batchUpdate(
{
valueInputOption: 'USER_ENTERED',
data: [
{ range: 'シート1!A1:B2', values: values32 }, // <- 書き込み不可
{ range: 'シート1!C1:D2', values: values21 }, // <- 書き込み可
],
},
SpreadsheetApp.getActive().getId(),
);
書き込み先の先頭セル指定
👆で書いた通り、例外の発生に配慮しようとすると
毎回range
のセル範囲を意識してvalues
を指定する必要があります。
単純なシステムであればあまり問題にならないのですが、
それなりに巨大なデータを扱うようになると、
いちいちvalues
のサイズを考慮してセルを指定するのは大変です。
実はrange
には書き込み先の先頭セルだけを指定することも可能で
values
の長さに関係なく、指定したデータをそのままのサイズで書き込むことが出来ます
なので、こんな指定をすると
const values = [
[101, 'Alice'],
[102],
[103, 'Carol', '2022-12-11']
];
Sheets.Spreadsheets.Values.batchUpdate(
{
valueInputOption: 'USER_ENTERED',
data: [
{ range: 'シート1!A1', values },
],
},
SpreadsheetApp.getActive().getId(),
);
A1を先頭にvalues
のデータが展開されます。とても助かる
シート1
列A | 列B | 列C | |
---|---|---|---|
行1 | 101 | Alice | |
行2 | 102 | ||
行3 | 103 | Carol | 2022-12-11 |
まとめ
SheetsAPIを使用して書き込みを行う方法について解説してみました。
個人的に以下の点が非常に使いやすいので気に入ってます
- 複数のセル範囲を一括で書き込み出来る
- 先頭の1セルだけ指定して書き込みが出来る
- Null値を指定すると、現在の値をそのまま据え置くことが出来る
前回のbatchGet
と合わせて、シートの読み書きはこれでかなりの範囲がカバー出来るかと思います