はじめに
今回はネイピア数を軸に、その性質について理解を深めることにしました。
特に、ネイピア数(e)を底とする「対数関数」と「指数関数」が、いかに「基準」として他のすべての底の場合も表すことができるかという「元祖感」や「基準感」をしっかりと味わいたい、という目的のもと、他の底の対数関数と指数関数との関係、およびそれらがどのように変換されるかを見ていきます。
構成
例のごとくGithubにPythonコードと詳しい解説を配置しています。
対数関数の基準
底が2と10の場合を考えます。ちょうどこのふたつはコンピュータサイエンスでよく使う2が底の場合と、学校で$log$を習った時の底10の場合と同じなので、実用性のある底です。
上のグラフの、緑の曲線は赤い曲線(底がeの自然対数)で書き直すことができます。
$$
log_{2}(x) = \frac{ln(x)}{ln(2)}
$$
また、同じように、青の曲線も赤い曲線(底がeの自然対数)で書き直すことができます。
$$
log_{10}(x) = \frac{ln(x)}{ln(10)}
$$
書き直した形の分子は$ln(x)$、つまり赤い曲線そのものです。それを$ln(2)$と$ln(10)$で割っています。$ln(2)$と$ln(10)$は演算すると結果の値がでます。
その結果の値で割ったものが、それぞれの底の対数関数だということが分かります。
つまり底が2の対数関数は、自然対数を変化させたものに過ぎないということです(底が10でもその他の底でも同じ)
指数関数の基準
対数関数でネイピア数(正確にはネイピア数が底の自然対数)が基準になっていることが分かりましたが、密接に関係している指数関数でもそうなっているに違いありません。
$2^x$、$10^x$、そして$e^x$のグラフで比べてみることにしました。
上のグラフの、緑の曲線は赤い曲線(底がeの指数関数)と自然対数に2を渡したもの($ln(2)$)で書き直すことができます。
$$
2^x = e^{x\ln(2)}
$$
同様に、青の曲線は赤い曲線(底がeの指数関数)と自然対数に10を渡したもの($ln(10)$)で書き直すことができます。
$$
10^x = e^{x\ln(10)}
$$
結論から言うと、赤い曲線を「スケール変換」すると緑や青の曲線になります。そしてそのスケールファクターが$ln(2)$や$ln(10)$であるということに過ぎないのです(もう少し詳し解説はGithubにあるjupyterノートブックに記述しています)
つまりどういうこと?
無理やり例えて言うと「素うどん」があって、それを「きつねうどん」や「たぬきうどん」にするようなものです。(違うか・・・!)
例えはともかく、ネイピア数を底に取る自然対数$ln(x)$を使うと他の底の指数関数も対数関数も表すことが出来る(指数関数の場合はネイピア数eそのものも動員しますが)。
こういった共通ファクター存在することが指数関数と対数関数の理解を深めるとともに、ネイピア数の特殊性を実感する手掛かりになりと思いました