はじめに
グラフに直線を書く練習をしたのは小学校だったような記憶があります。確か2次関数を習ったのは中学でしょうか。3次関数が出てきたのはいつか覚えていませんし、グラフを書いた記憶はありません(ただ単に授業を聞いていなかっただけかも?)。
いずれにしても、大人になった今となっては、順番に一次関数、二次関数、三次関数と学び直しをするよりは、多項式関数として大きな視点で捉えて、それらの特徴を比べながら学ぶ方が効果は高いと思います。例えば英単語でも、preという接頭語を学年が上がるにつれ順次いくつも習っていくとしても、今となっては preという接頭語とそれに続く語幹などを全体的に学ぶ方が効率は高いでしょう。
記事の構成
前回の記事と同様に、PythonのコードとメインのコンテンツはGithubに挙げています。この記事は「補足とまとめ」ですから、GithubのJupyterノートの方も読んでください。もっと詳しい解説しています。
一次、二次、三次、四次の次数をもつ関数の特徴
以下は4つの関数を一つのグラフに、重なった状態で表しています。
それぞれの特徴についてはGithubのJupyterノートに詳しく書いてありますが、簡単に解説すると:
- 青い線は一次関数 $y=x$を表しています。他の関数をひとつのグラフに収める都合上、アスペクト比($x$と$y$の比率)は$1:1$ではないので傾きは「やや寝ている」状態ですが、これは$x$が$1$なら$y$も$1$,$x$が$2$なら$y$も$2$,というグラフになっています
- 黄色い線は2次関数$y=x^2$を表しています。xが正の値でも負の値でもyは正の値になるのは2乗しているからですね。
- 緑色の線は3次関数$y=x^3$を表しています。S字曲線になっているのはxの値が負の値の時は「負の値を3乗すると、結果はやはり負の値になる」からです。
- 最後に赤い線は$y=x^4$を表しています。左右対称になるのは次数が偶数だからです。つまり二次関数、四次関数、六次関数、八次関数などはすべて左右対称のグラフであるということなのです
四次関数については、次数である$x^4$の項に加えて$x^2$の項も含めると、この「Wの形」になりますが、二次の項なしで$y=x^4$だけの場合は真ん中の山(もしくは谷)が無い形になります。以下はほかは全て同じで、四次関数だけ単純になっています。
支配的な項
多項式関数には、名前の通り複数の項がある場合があります。その中でも関数の結果の最も大きく作用する、つまり「支配的」だと言える項があり、それは常に最も大きい次数の項と言えます。つまり$y=ax^4+bx^3+cx^2+d$の場合では、$ax^4$が最も支配的だと言えます。
これは、それぞれの次数の関数で「何がその関数のほとんどを決めるか」をイメージすると分かりやすいです。
- 一次関数では「長さ」
- 二次関数では「正方形」
- 三次関数では「立方体」
- 四次関数では「超立方体(テッセラクト)」
仮に同じ「長さ」だとしても、二次関数は一次関数と比べてその長さを辺に取る正方形が支配的になりますし、ひとつ次元が上がって三次元になると、その同じ正方形に、同じ長さ分の厚みがでて立方体になります。ですから次元の高い項が当然「支配的」になります。
支配的な項が正か負かによるグラフの違い
これは見てもわかるように「反対向き」になります。
ただし、四次関数について$y=x^4-4x^2$というイレギュラーな関数を使っているので、他の多項式関数のようなきれいな対称にはなっていません。四次関数については別の機会に深掘りをする予定なので、今回はイレギュラーな状態を許容して学習を進めることにしました。
支配的な項の係数の違いによるグラフの違い
関数の特徴として「係数」に着目して、その値がどのように関数の形に影響を与えるかを見ると、直観的な関数の特徴を理解できるようになります。
(このグラフでは四次関数は単純な形を取っています)
全体的にいうと、係数の値が大きいほど「極端になる」という表現をしても差し支えないように思えます。別の言葉を使うと「より急激な変化」です。
2番目に支配的な項の係数の違いによるグラフの違い
「支配的」かどうかでグラフの特徴が変わるということで、それでは「2番目に支配的な項」によって、どのように関数が変わるかを見てみることにしました。
結果としては全体的な形は「支配的な項」によって、文字通りほぼ決定付けられるわけですが、それでも2番目に支配的な項からも多少の影響があることが、当然ですが、わかります。
一次関数と三次関数での効果は割と分かりやすいですが、二次関数と四次関数ではすこし歪になります。というのもそれらの2番目に支配的な項は左右対称ではないので、その効果も左右対称でないというのは納得がいきます。
多項式の全ての項の特徴(正か負か、値が大きいか小さいか)を、全ての組み合わせでグラフにしてみるとパターンが浮かび上がってくるかもしれません。今回は深掘りせずに、広く浅くの戦略なのでそれはしませんが、それを把握することが出来たら多項式を見ただけでその関数のおおよその振る舞いを直観的に理解できるようになるかもしれません。