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【DataRobot】需要予測モデルを活用して売上シミュレーションをしてみた

Last updated at Posted at 2024-03-07

はじめに

はじめまして。社内でデータサイエンティストを務めております@yoshie_ikenoです。

NTTデータ デザイン&テクノロジーコンサルティング事業本部では、お客様企業のAI・データ活用を、コンサルティングから基盤構築、実行支援を通じた成果創出までワンストップで創出しており、その支援テクノロジーの一つとして DataRobot を提供しております。

今回は機械学習プラットフォーム DataRobot のWhat-if機能を利用して、需要予測モデルを活用した、将来の売上をシミュレーションする方法をご紹介します。

DataRobotについて

DataRobot社は、人工知能(AI)に対するユニークなコラボレーション型のアプローチであるバリュー・ドリブン AIのリーダーです。

DataRobot社の製品であるDataRobotは、自動機械学習(AutoML)プラットフォームであり、機械学習モデルの構築、トレーニング、評価、デプロイメントを自動化することができます。複雑なデータ分析を迅速かつ簡単に実行し、優れた予測モデルの作成をサポートすることが可能です。

本記事の主な想定読者

  • 将来の売上のシミュレーションを行いたい方
  • DataRobotのアカウントをお持ちの方
  • DataRobotのWhat-if機能の使い方を知りたい方

需要予測モデルを活用して売上シミュレーションを行う

前提

想定する課題

今回は、ある店舗の週次の売上を予測し、マークダウン(割引率)の内容によって売上がどう変化するかをシミュレーションします。

利用データ

Kaggleのデータ(Retail Data Analytics)を利用します。
https://www.kaggle.com/datasets/manjeetsingh/retaildataset/data

Kaggleのデータは、1行の単位が、店舗×部門×日付になっています。
問題を簡単にするため、今回は、ある特定の1店舗、1部門に絞ったデータを作成しました。

データ項目は以下です。
・Store
・Dept
・Date
・Weekly_Sales
・IsHoliday
・Type
・Size
・Temperature
・Fuel_Price
・MarkDown1~5 …値下げに関連する匿名化された情報
・CPI
・Unemployment
・series_id …系列ID(Store_Dept)

また、Kaggleのデータから、学習データと予測データを作成しておきます。
学習データ
・期間:2010/2/5~2012/8/17
予測データ
・期間:2010/2/5~2012/10/26
・予測期間:2012/8/24~2012/10/26 ※予測期間の事前に既知の特徴量以外は空の状態

売上シミュレーションの流れ

大きく3つのステップで売上シミュレーションをします。

  1. 週次の売上を予測する需要予測モデルを作成
  2. モデルのデプロイ(運用化)
  3. 売上シミュレーション

週次の売上を予測する需要予測モデルを作成し、そのモデルを活用して売上シミュレーションを行います。
今回は、DataRobotのWhat-if機能を利用し、売上シミュレーションを行うところまでの手順を中心にご紹介します。

1. 売上を予測するモデルを作成する

DataRobotへのデータインポート

DataRobotにデータのインポートします。
image.png
アップロードが完了するとこちらの画面になります。
image.png

ここからモデルを作成するための情報をいくつか設定していきます。
今回は、過去8週間のデータを利用して、ある特定の店舗の未来1~4週間の週次の売上を予測する設定を行います。

まず、予測ターゲットとなるWeekly_Salesを設定します。
image.png
時系列予測になるため、「時間認識モデルを設定」をクリックし、時間を表す特徴量を指定します。
今回は、Dateを設定します。
image.png

下にスクロールして、どのタイプの時間認識モデルを作成するかを設定します。
image.png
DataRobotで作成できる、時間認識モデルについてはDataRobotドキュメントを参照ください。
今回は、「Automated Time Seriesでの予測」をクリックします。
すると、過去どのくらい前のデータを使って、どのくらい先の未来を予測するのかを設定する画面が表示されます。
image.png
まず、特徴量の派生ウィンドウに、過去どのくらい前のデータを利用するかを設定します。
今回は8週前のデータを利用するので、画面の通り「8 to 0 週」と設定します。
DataRobotのAutomated Time Seriesを利用することで、ヒストリカル変数やラグ変数を自動で生成してくれます。

次に、予測ウィンドウに、どのくらい先の未来を予測するのかを設定します。
今回は1~4週先を予測するので、画面の通り「1 to 4 週」と設定します。
ここではデータ準備にかかる時間も考慮して、1週間先からの予測としています。

続いて、事前に分かっている情報を設定します。
DataRobotでは、天気予報や販促計画など、事前に分かっている特徴量がある場合は、事前に既知の特徴量として設定することが可能です。
今回は、「MarkDown1-5(割引情報)」、「CPI(消費者物価指数)」を設定します。

下の方にスクロールし、事前に既知として設定したい特徴量にチェックを入れ、右上の「メニュー」>「アクション」>「6個の特徴量を事前に既知として切り替える」をクリックします。
image.png
設定が完了すると、設定した特徴量に「事前に既知」が表示されます。
image.png
ここまででモデル作成の事前設定は完了です!
モデル作成を始めるため、上の方にスクロールして、「開始」ボタンを押します。
image.png
少し待つとモデルが作成されるので、画面上部の「モデル」をクリックし、モデルを確認してみます。
image.png
精度が良いものからランキング形式で作成されたモデルが並んでいます。
今回は、特別にチューニングされたDataRobot実装のモデル(Temporal Hierarchical Model with Elastic Net and XGBoost)の精度が一番高く出ています。
本来は、ここから作成されたモデルの精度や解釈性などを深堀り確認し、モデルを選択していきますが、今回は本題からそれるので、取り急ぎ一番精度の良かったモデルを選択し、次のステップの モデルのデプロイ(運用化) に進みます。

2. モデルのデプロイ(運用化)

What-if機能を利用するためにモデルのデプロイが必要になります。
モデルを選択し、「予測」>「デプロイ」>「登録してデプロイ」をクリックします。
image.png
すると、新規モデルの登録のポップアップが出てくるので、「レジストリに追加」をクリックします。
image.png
少しすると、「モデルレジストリ」の画面に切り替わるので、右上の「デプロイ」ボタンをクリックします。
image.png
今度は、「デプロイ」の画面に切り替わるので、右上の「モデルをデプロイ」をクリックします。
image.png
下のポップアップが表示されるので、少し待ちます。
image.png
デプロイが完了すると下の画面が表示されます。
image.png
以上でデプロイまでが完了です。

時系列モデルでアプリケーションを作成するために必要な、関連付けIDの設定を行います。
DataRobotでは、精度監視を行うために、予測データと実績(正解)データを紐づけるための関連付けIDを設定することができます。
シミュレーションをするだけなら、精度監視は関係ないですが、アプリケーションを作成するために必要なのでこちらの設定を行います。

右上の3本線をクリックし、「アクティブ化」をクリックします。
image.png
ポップアップが表示されるので、「アクティブ化」をクリックします。
image.png
「精度」>「設定」をクリックし、関連付けIDに予測データと実績(正解)データを紐づけるIDを設定します。
今回は、Dateを設定します。
image.png
下にスクロールして、「保存」をクリックします。

ここまで設定が完了したら、次のステップ売上シミュレーションで、作成したモデルを利用して割引率を変更した場合の売上をシミュレーションを行っていきます!

3. 売上シミュレーション

売上シミュレーションのアプリケーションを作成

DataRobotのアプリケーション(What-if)機能を利用し、割引率を変更した場合の売上シミュレーションを行います。

画面上部にある「アプリケーション」を選択し、アプリケーション構築画面を表示します。
What-ifの「テンプレートを使用」をクリックします。
image.png
「What-ifアプリを作成」というポップアップが出るので、アプリの名前を設定し、「次に、デプロイを選択」をクリックします。
image.png
先ほどデプロイものを選択して、「作成」をクリックします。
image.png
「DataRobotにサインイン」をクリックします。
image.png
「Authorize」をクリックします。
image.png
アプリケーションの画面に遷移しました。
右上の「構築」をクリックして、シミュレーションの設定を行います。
image.png

割引率を変更した場合の売上をシミュレーションするため、可変特徴量にMarkDown5を設定します。

下にスクロールしてWhat-ifのエリアをクリックします。
すると、左側に「事前に既知の可変特徴量」を設定するエリアが出てきます。
image.png
「管理」をクリックします。
image.png
「事前に既知の可変特徴量」にMarkDown5を設定し、「保存」をクリックします。
image.png
以上でシミュレーションを行うアプリケーションの設定が完了です。
右上の「パブリッシュ」をクリックして、アプリケーションを公開します。
image.png
アプリケーションを利用するため、右上の「アプリに移動」をクリックします。
image.png
作成したアプリケーションの画面が表示されました。
「データを追加」のエリアに予測データをアップロードします。
image.png
下の方にスクロールしてWhat-ifを確認すると、緑の線で予測結果が表示されました。

売上シミュレーションを行う

これからアプリを使って、割引率(MarkDown5)の値を変更した場合の売上をシミュレーションします。

左上の「シナリオを追加」をクリックします。
image.png

今回は割引率を小さくした場合と、大きくした場合の売上の変化を見ていきます。
まずは割引率を小さくした場合を想定して、左側の「日付を編集」で、8/24~9/14、MarkDown5の値は50000を設定し、「保存」>「シナリオを追加」をクリックし、シナリオを追加します。
続いて割引率を大きくした場合を想定して、左側の「日付を編集」で、8/24~9/14、MarkDown5の値は100を設定し、「保存」>「シナリオを追加」をクリックし、シナリオを追加します。
image.png
少し待つと、シミュレーション結果が表示されました。
結果を見ると、割引率を小さくした紫のパターンは、売上が少し下がり、割引率を大きくしたオレンジのパターンでは売上が上がっていました。
image.png

まとめ

DataRobotを活用し、週単位の売上を予測する需要予測モデルを作成し、作成したモデルを活用し、売上のシミュレーションを行いました。
需要予測モデルは、未来の売上を予測するために作成されることがほとんどですが、今回のように売上シミュレーションといった活用方法もあります。
需要予測モデルを運用されている場合は、シミュレーション用途でも活用できないか一度検討してみてはいかがでしょうか?

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