目次
はじめに
Railsのアプリケーション開発では、モデル間の関連性を活用してデータを取得することが多く、その際に利用するのが joins
と includes
です。この記事では、データベースから必要な情報を取得する際に使用するjoins
とincludes
について、具体的な使い分けとその効果を解説します。
1. joins
とは?
joins
は、内部結合 (INNER JOIN) を使用して、関連するテーブルからデータを取得するためのメソッドです。RailsのActiveRecordでjoins
を使用すると、関連付けされた複数のテーブルを結合してクエリを発行できます。
使用例
以下は、User
モデルとPost
モデルを結合する例です。
User.joins(:posts).where(posts: { published: true })
このコードは、投稿が公開されているユーザーを取得します。joins
を使用することで、関連するテーブルの条件を効率的に絞り込むことができます。
特徴
- 結合条件でフィルタリングができます。
- 取得されるのは結合されたテーブルのデータだけで、関連オブジェクトは取得されません。
- N+1問題の解決には不向きです。
2. includes
とは?
includes
は、関連するテーブルのデータを事前にロードする (Eager Loading) ために使用します。このメソッドを使うことで、N+1問題を回避し、複数のクエリ発行を抑えることができます。
使用例
以下は、ユーザーとその投稿を取得する例です。
User.includes(:posts).each do |user|
puts user.posts.map(&:title)
end
このコードでは、ユーザーとその関連する投稿が一度のクエリで取得されるため、各ユーザーごとにクエリが発行されるN+1問題を回避できます。
特徴
- 関連オブジェクトを含めたデータをまとめて取得します。
- N+1問題の回避に効果的です。
- 結合条件でのフィルタリングには不向きです。
3. joins
とincludes
の使い分け
joins
とincludes
はそれぞれの特徴を理解し、目的に応じて使い分ける必要があります。
joins
を使用する場面
- 結合条件を使用したフィルタリングが必要な場合
- 関連するテーブルの一部のデータのみを取得したい場合
- シンプルな結合が求められるクエリの場合
includes
を使用する場面
- 関連するデータを頻繁に参照する場合
- N+1問題を回避したい場合
- 関連オブジェクトをまとめて取得する必要がある場合
4. N+1問題とは?
N+1問題は、関連データを取得する際に対象のレコードごとに追加のクエリが発行され、データベースの負荷が増える問題です。例えば、10人のユーザーそれぞれに関連する投稿を取得する場合、joins
を使わないと11回(1回のユーザー取得 + 10回の投稿取得)のクエリが発行されます。
5. ベストプラクティス
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条件付きの結合が必要な場合は
joins
を使用します。 -
N+1問題の回避には
includes
を優先的に使用します。 -
必要なデータだけを取得するために、
select
メソッドと組み合わせます。
6. 組み合わせて使用する例
以下は、joins
とincludes
を効果的に組み合わせた例です。
users = User.includes(:posts).joins(:comments).where(comments: { spam: false })
users.each do |user|
puts "#{user.name}: #{user.posts.count} posts"
end
このように、joins
でフィルタリングしつつ、includes
でN+1問題を回避することが可能です。
7. まとめ
joins
と includes
は、Railsで複数のテーブルからデータを取得する際に不可欠なメソッドです。
-
joins
は、内部結合で一致するデータだけを取得したい場合に適しています。 -
includes
は、N+1問題を解決し、関連データを一括取得するのに役立ちます。