Excelはデータを分析できますが、データの分析手法を決めるのは人間です。
グラフを一つ作るにも、生データをそのままグラフにすると加工し、集計してから作ることになります。
でも、生データからそのままグラフが作れたら素晴らしいと思いませんか。
バグ件数管理も楽になるというもの。何かがバグの発生件数と相関があるとか、そのようなことが一度にわかるといいですよね。
よく考えてみると、数値を分析して傾向を見つけ出すというのは、とても数学的、アルゴリズム的なので、コンピュータでできないことはなかったわけですが。
先日、OfficeInsiderで追加されたアイデア機能は、そんなことができる機能です。
アイデア
Excelのアイデア機能は、OfficeInsiderプログラムに参加している場合、ホームタブの一番右側に表示されます。
アイデアは次期Excelに追加される機能の一つでもあります。
使いかたは簡単で、一覧表をクリックして、ホームタブのアイデアをクリックするだけです。
すると画面右側に「アイデア」の作業ウィンドウが表示されます。
その中にこんなグラフを作成したら?という一覧が表示されるので、その中から自分の求めているものの「グラフの挿入」を選択します。
するとグラフがシートに入ります。
「グラフの挿入」だけではなく、「ピボットグラフの挿入」となっているものもあります。この場合、データを集計したグラフを新規シートに作成します。
グラフだけではなく、集計されたピボットテーブルも表示されます。ということは集計方法を自分で変更できるということです。
日付のデータを右クリックしてグループ化します。
月を選んで月ごとの集計にします。
月ごとの集計データになりました。2か月分しかデータがなくてごめんなさい。
もっとデータがあれば月ごと、年毎と分析できます。
この記事を書いている時点では、残念ながらこの月集計や年集計を自動では行いません。まだ、どのデータを選ぶかとちょっとした加工は人間の仕事です。
また、思った通りのアイデア案がリストされないこともよくあり今後の改善が待たれます。
アイデアの本当のすごいところ
以上がアイデア機能の使いかたです。
しかし、アイデア機能には、もう少し踏み込んだ機能が備わっています。
アイデア機能は、折れ線グラフの他に、棒グラフ、円グラフ、散布図などを提案してくれます。
例えば散布図の提案を見てみます。
タイトルを見ると、「A店人数(人) and A店売上(円) appear highly correlated.」となっています。
高い相関があると、表現してくれているのです。
今までは人間が「あ、直線ぽくて相関ありだな」と言っていたものが、Excelで機械的に判断しても出てくるようになりました。
操作が簡単になったということに併せ、「Excelで分析しても相関あり」というエビデンスを簡単に得られるのです。
また、相関図を提案するのは正の相関のみで、負の相関や無相関ではしません。疑似相関は出してしまうのがタマにきずですが、ここまでやってくれればそのくらいは仕方ないと思っています。
このデータをアイデア機能で処理すると
円グラフがアイデア案に入り「'店舗': A店 accounts for the majority of '売上(円)'.」とA店の売上がほとんどであることを分析してくれます。
1つのカテゴリが多い割合を示していると円グラフの提案がリストされるようです。
同じデータで処理したアイデアの中には、このような折れ線グラフも出ます。
データの中からC店舗を抜き出してみたら、異常値が4つ見つかったと言ってくれています。
これは、動作チェック時のバグ値の洗い出しに貢献できるかも知れません。
以上の他にも、近似曲線を描いて、時間ごとに増加傾向だとかの解説が入る場合もあります。
まとめ
新しいExcelには、様々な追加機能がありますが、このアイデア機能はExcelのAI化ということで追加された機能です。
今までのデータ分析は、データを集める、集計する、分析する、考察する、レポートするという順番が必要でしたが、アイデア機能では、データを集めてアイデアから選んでレポートに貼り付けるという作業で済みます。
今のところ完璧な機能ではなく、思った通りの提案をしないこともありますし、視点が全然違う提案をする場合もあります。そこを選別し、少し手を加えるスキルは必要で、データを分析する力が不要になるわけではありません。それはこの機能が完璧なものになったとしても必要な力です。