前回投稿した以下の記事は400LGTMと予想以上の反響をいただき、多くの駆け出しエンジニアたちに共感されました。
今回は続編という形で、入社したばかりの頃にどうすれば自分自身を追い込んだりせず前向きに、先輩とも気持ちよく仕事を進めていけるのかについて、具体的に
- どのようなアクションを取るべきか
- どのようなマインドで仕事に取り組むべきか
以上の観点で書いていきたいと思います。
入社初日から半年ぐらいの方を対象としています。
前提
まず前提として、せっかくエンジニアとして転職できたのに、エンジニアを辞めたいと考えてしまう原因の多くは、前回の記事でも書いた通り、「コミュニケーション不足」です。
テキストコミュニケーションやリモートでの仕事も多い職種であることから、一般的な社会人と比べて、意識的に職場の人たちとコミュニケーションを増やしていかなければなりません。
- 相手のことを知る
- 自分のことを知ってもらう
多くはそのための施策であるということを念頭に置いて読み進めていただければと思います。
アクション
1. 元気よく挨拶する
「人は見た目が9割」とよく言われますが、入社当初の同僚に与える第一印象はとても重要です。
とにかくハキハキと元気に挨拶をしましょう!
その際、自分の経歴や趣味、得意なこと、迷惑をかけそうなことを自己紹介しておくと、あなたの人となりを知ってもらうこともできます。
ボソボソ話す人には「暗そうな人だな」という見た目の印象以外にも「コミュニケーションが取りづらそう」という、一緒に仕事をする上での障壁が潜在意識に刷り込まれてしまう可能性もあります。
面接の時に、普段の自分より明るく振る舞う演技をした人も多いと思いますが、明るい自分を演技するつもりで臨んでみるぐらいがちょうどいいでしょう。
新人の頃はどうしても仕事で貢献できる割合が低いので、「接していて気持ちがいい」や「元気をもらえる」と感じてもらえるような、周りに良い影響を与えられる人材でありたいですね。
2. 最初に出社して、最後に退社する
エンジニアとして初めて業務を行うにあたり、ソースコードの量や実装内容のレベル、データベースのテーブル数も桁違いでこれまで勉強してきた世界を数段飛び越えた内容に圧倒されると思います。
そして圧倒されながらも、これまでぼんやりしていたキャッチアップすべき内容が1つずつ明確になっていき、自分自身の伸び代を感じてモチベーションがかなり高い状態です。
そこで私がおすすめしたいのが、「最初に出社して、最後に退社する」という取り組みです。
誰もいないオフィスで始業時間まで自己学習を行い、定時以降は自ら残業して少しでも多くの仕事をする。
ブラックに聞こえるかもしれませんが、この取り組みは大きく2つのメリットがあります。
1つ目は「キャリア初期の成長曲線の傾きを利用して大きく成長できること」です。
もっと成長するぞ!頑張って勉強するぞ!という前向きなモチベーションは、実力をつけていくに従って徐々に薄れていきます。
良く言えば、一生懸命勉強しなくても効率良くキャッチアップができる土台が出来上がっていく。
悪く言えば、ハングリーさがなくなっていきます。
なので1年目は少しハードワークになったとしても一気に知識を吸収し、どんどん目の前の仕事の難易度も上がっている状態が、その後のキャリアを考えると得することが多いのです。
--成長曲線のイメージ--
2つ目は「同僚に頑張っている姿をアピールできること」です。
これは副次的な効果ではありますが、一生懸命頑張っている新人の姿を見て嫌悪感を示す人はいません。
応援してあげたいと思われる人物になれば、次の仕事を快く教えてもらったり、面白い仕事に携わらせてもらえるチャンスが巡ってくるかもしれません。
思うように仕事の成果が出ない自分が嫌になり、徐々に質問をすることに対しても後ろめたさを感じてしまう…
そんな状態になってしまう前に、どんどん仕事ができるようになっていくワクワク感に身を任せ、初めの数ヶ月から半年程度、自らを奮い立たせてみてはいかがでしょうか。
3. ランチや飲み会に積極的に参加する
出社する人限定ではありますが、ランチや飲み会にも積極的に参加しましょう。
仕事中はあまり雑談ができなかったとしても、食事やお酒の席でなら仕事以外の雑談も盛り上がります。
早めに仲良くなっておけば、仕事の面でも相談しやすい・声をかけてもらいやすい間柄になることができます。
私は1社目の会社であまり先輩たちとランチや飲み会に行かなかったのですが、もっと積極的に参加していれば、仕事上のコミュニケーションももっと捗っていたかもしれないなと反省しています。
4. 30分悩んでもわからなければ質問する
前回の記事で挙げたエンジニアを辞めてしまう原因1位が「先輩の時間を奪う罪悪感」だったわけですが、駆け出しの頃であればあるほど、なるべく早く質問してしまいましょう。
なぜかというと、「相手が答えを持っていることが多い」からです。
入社したばかりの頃はわからないことだらけだと思いますが、その問いは
- 答えのない問い
- 答えのある問い
の2つに分けることができます。
そして経験値が低い頃に抱く疑問というのは、経験者ならすぐに答えられる「答えのある問い」の割合が高いです。
- 参考になる書き方が載っているファイルの場所
- 社内の運用ルール
- よく見かけるエラーの解決方法 など
質問すれば1分で解決できることに、恥や見栄が邪魔をして何時間も無駄にしてしまっては、チームで仕事を進めるという観点では非常に良くありません。
ただ、なんでもわからないことはすぐに聞けばいいやの受け身の姿勢では自分で調べる力もつかないため、ある程度まで自分で試行錯誤してそれでもダメだったら質問する準備に入るという、時間で区切りをつけるのが良いでしょう。
Googleの15分ルールなども有名ですが、私は30分ルールでやっていました。
この辺りも経験ですので、分野や状況によって細かく調整してみてください。
もし相手の時間を奪うことに申し訳なさを感じるのであれば、聞く前に質問内容をしっかり練りましょう。
質問を受けた側は、質問がざっくりし過ぎていて追加で質問しないと状況が理解できない状態を嫌います。
理想は1回で答えが返ってくるように、情報を網羅しておくことです。
まずは質問テンプレートに沿って頭の中を整理し、相手に伝わりやすい言葉遣いや文章構成を考えていくようにしましょう。
5. 報連相をこまめに行う
会社やチームのルールで日報を書くところがあれば、上司があなたの仕事の状況を把握してくれますが、実際に後輩を持つ私の意見では、1日1回の状況報告では少ないです。
最低でも1日2回はどんな仕事に取り組んでいて、どんなことに困っているのか、進捗などを報告してもらえると、上司からはありがたがられるでしょう。
仕事に取り掛かる前には、方針が誤っていないか確認を取りましょう。
受託開発では、顧客に最終成果物の要件をヒアリングし、具体的な手順や納期、見積書に合意いただいてから作業に着手します。
それと同じことを、社内で行うようなイメージです。
また、悪い報告ほどいち早く行ってください。
怒られるかもしれないと気が引ける気持ちはとても良くわかりますが、失敗は反省して次に活かせば良いので、正直に話して欲しいです。
もし感情的に怒鳴りつけたり、ハラスメントを行うような上司であれば、あなたは何も悪くないので、さらに上の上司にすぐに相談してください。
6. timesチャンネルに独り言をつぶやく
報連相にも関連しますが、リモートで仕事をしている場合、上司からはさらにあなたの仕事の状況が見えにくくなります。
社内チャットツールでtimes文化がある会社も多いので、「出社していれば隣の机の上司に見せられたであろう自分自身の姿」をテキストで見える化することで、困った時にすぐに手を貸してくれるようになります。
7. 駆け出しエンジニア友達を作る
大手企業のように同期が何人もいる環境であれば、良きライバルや仲間が自然とできるものですが、スタートアップなどの小さな企業では「いい人がいれば採る」の通年採用であることも多く、あなたが入社したときに必ずしも同期がいるとは限りません。
そうなると、常に自分が一番下っ端なので、一緒に仕事をする格上のメンバーと自分を比べることになり、自分の不甲斐なさや未熟さから、仕事に対してマイナスの感情を持ち続けてしまいます。
そこで、SNSや外部のコミュニティ、勉強会に参加したりして自分と同程度の実力の友達を作りましょう。
仲間や友達ができれば、仕事で辛いことや大変なことがあった時にもきっとあなたの話を聞いてくれますし、逆に仲間が頑張っている姿を見て自分のモチベーションに変えることもできます。
マインド
8. 「役立たずであると理解されていること」を理解する
自分の未熟さから表れる「先輩の時間を奪う罪悪感」は、「自走できる理想の自分」と「未熟な状態の自分」との乖離が大きいほど強く感じてしまうものですが、相手があなたに対して持っている期待値は、実は全然高くないということも理解しておくべきです。
経験者からすれば、自分が新人だった頃を経験しているので、
- いくら事前に勉強してきたとは言っても、新人が現場レベルにすぐにはついてこれない
- ある程度仕事を教えてあげないと満足いくパフォーマンスが出ない
- 一人前になるにはそれなりに時間がかかる
などを良く知っている、良き理解者でもあります。
なので、「自分は新人なのだから、迷惑をかけるのは当然のことだ」ぐらいの気持ちでいるのがちょうどいいでしょう。
あまり自分を責めずに、たくさん質問もしながら、一生懸命目の前の仕事を頑張ればいいのです。
9. 先輩と自分を比べない
先ほど挙げた「自走できる理想の状態」を思い描くとき、具体的にイメージしやすいのが「身近な先輩」の姿ですが、ときに比べ過ぎて自分を蔑んでしまう人がいます。
先輩はあんなことやこんなことも知っていて、仕事も速い。
自分なんてまだまだだ
不甲斐なさや無力感を抱いてしまう気持ちはよくわかりますが、これも冷静に考えれば、先輩はあなたより経験者だから先輩なのであって、いきなり追いつくことはまず不可能です。
エンジニア歴3年の先輩であれば、あなたとは3年間の差があります。
なので極端な話、3年後に先輩と同じレベルまで行くことができてやっと互角なのですから、それは近いようで意外と遠い将来の話です。
「あの人のようになりたい」は憧れですが、
「あの人のようにならないと」では義務感になってしまいます。
あまり比べ過ぎず、いつかは追いつけるようになろうと前向きな気持ちで臨むようにしましょう。
10. 明るい未来を思い描く
仕事で辛いことや大変なことに立ち向かわなければいけない時は度々訪れるわけですが、仲間や友達の存在とは別に、セルフコントロールのための思考法として、自分がキャリアを歩むことで実現できる「明るい未来を思い描く」というものがあります。
- ○○年後に△△という技術で開発ができるようになる
- ○○年後に△△のポジションにつく
- ○○年後に年収△△円になる
- 独立して望む案件で働けるようになる
- 起業してプロダクトをリリースする
など、なんでもいいと思います。
「今の経験によって将来どのようないいことに繋がるか」を具体的に想像できると、困難を乗り越えやすくなります。
逆にエンジニアを辞めてしまう人たちは、現在と将来がきちんとリンクしなかったことで、今を頑張っても報われないと感じてしまったがために、方向転換するという判断をしたと考えられます。
身近な先輩や、勉強会で知り合った経験者に「エンジニアになってよかったことはなんですか?」と聞いてみることで、新たな頑張るモチベーションが見つかるかもしれません。
まとめ
今回挙げたアクションを実際に行ったり、マインドを意識しながら仕事に取り組むことができれば、エンジニアを辞めてしまうという最悪の事態は避けられる可能性がグッと高まるはずです。
私自身はエンジニアになって本当に良かったと思っていますし、これからもエンジニアを目指す人が増えて欲しい、エンジニアを辞めたいと感じている人がいたら相談に乗りたいとも思っています。
この記事が多くの人に読まれ、誰かの役に立つことを願っています。
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