Oracle Cloud Infrastructure上のOracle DatabaseサービスであるDBCSを運用管理する方法は、従来のEnterprise Managerを利用する方法に加えて、Database Managementサービス(データベース管理サービス)を利用する方法があります。
データベース管理を使用すると、シングルインスタンス、及びRACデータベースを監視でき、これにはコンテナ・データベース(CDB)、プラガブル・データベース(PDB)、及び非コンテナ・データベース(非CDB)が含まれます。
Database Managementサービスで運用管理できるデータベースには、以下の種類があります。
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外部データベース
OCIの外部に配置され、外部データベース・サービスのリソースに接続されているOracleデータベース
外部データベースに対してデータベース管理サービスを利用する場合は、DBCSのホストへAgentをインストールする必要があります。 -
Oracle Cloudデータベース
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ベア・メタルおよび仮想マシンDBシステム
データベース・システム、及び仮想マシンの2ノードのOracle Real Application Clusters(RAC)データベースシステム -
Exadata Cloud Service
Oracle Databaseクラウド・プラットフォームですが、Exadataの機能を活用できるOracle Databaseのサービス
この記事では、DBCSに対してDatabase Managementを有効化する方法について記載します。
#事前作業
##1. 運用管理ユーザのパスワード、及び権限設定
データベースの運用管理ユーザ(SYSTEMやDBSNMP)に対し、運用管理に必要な権限を設定します。
SQL> GRANT CREATE PROCEDURE TO dbsnmp;
Grant succeeded.
SQL> GRANT SELECT ANY DICTIONARY, SELECT_CATALOG_ROLE TO dbsnmp;
Grant succeeded.
SQL> GRANT ALTER SYSTEM TO dbsnmp;
Grant succeeded.
SQL> GRANT ADVISOR TO dbsnmp;
Grant succeeded.
SQL> GRANT EXECUTE ON DBMS_WORKLOAD_REPOSITORY TO dbsnmp;
Grant succeeded.
データベース運用管理ユーザのパスワードを設定します。dbsnmpユーザの場合、デフォルトではロックされているためロック解除も行います。
SQL> alter user dbsnmp account unlock;
User altered.
SQL> alter user dbsnmp identified by "Password";
User altered.
##2. 運用管理ユーザのパスワードを、OCI Vaultのシークレットに保存
###2-1 [アイデンティテイとセキュリティ]> [ボールト]
###2-2 [ボールトの作成]を押下し、出力されたダイアログにてボールトを作成するコンパートメントを選択し、ボールト名を入力
###2-3 [キーの作成]ボタンを押下し、出力されたダイアログにてコンパートメントを選択し、キー名を入力
###2-4 [シークレット]を選択し、「シークレットの作成]ボタンを押下。出力されたダイアログにてスクリーンショット内赤字で記載した必要事項を選択または入力
##3. Database Managementサービスを使用するためのIAMポリシーを作成
以下の機能を使用するため、Database Managementサービス(dpd)に権限を付与します。
・OCI Vaultシークレットに格納された運用管理ユーザのパスワードの読み込み
・Object StorageへDBCSのスケジュールJobの実行結果を書き込み
※Administratorsグループのテナンシーであっても、以下の権限は必ず必要です。
Allow service dpd to read secret-family in compartment XYZ
Allow service dpd to manage objects in compartment XYZ
Administratorsグループのテナンシーではなく、別なグループのテナンシー(ここでは「DB-MGMT-ADMIN」とする。)の場合は、以下の権限をポリシーとして付与する必要があります。
Allow group DB-MGMT-ADMIN to manage dbmgmt-family in tenancy
Allow group DB-MGMT-ADMIN to read database-family in tenancy
Allow group DB-MGMT-ADMIN to manage vnics in tenancy
Allow group DB-MGMT-ADMIN to use subnets in tenancy
Allow group DB-MGMT-ADMIN to use network-security-groups in tenancy
Allow group DB-MGMT-ADMIN to use security-lists in tenancy
Allow group DB-MGMT-ADMIN to manage secret-family in compartment XYZ
Allow group DB-MGMT-ADMIN to read buckets in compartment XYZ
#ネットワーク設定
##1. 自分のVCNにPrivate Endpointを作成
データベース管理サービスは、オラクルが管理するテナントに常駐し、VCN内に作成されたプライベートエンドポイントを介してクラウドデータベースと通信します。プライベートエンドポイントは、クラウドデータベースと同じサブネットにある必要はありませんが、クラウドデータベースとの通信が可能なサブネットにある必要があります。
###1-1. [監視および管理] > [データベース管理]を選択
###1-2. 左メニューの[プライベート・エンドポイント]を選択し、[プライベート・エンドポイントの作成]を押下。出力されたダイアログボックスにスクリーンショット内の赤字で記載された必要事項を入力、または選択
プライベート・エンドポイントが作成されると、詳細画面の[プライベートIP]にIPアドレスがアサインされます。
###1-3. セキュリティリストへ、プライベート・エンドポイントとDBCSのルールを定義
イングレス・ルール、及びエグレス・ルールにDBCSとプライベート・エンドポイントのトラフィックを許可する設定
#Database Management(データベース管理)サービスの有効化
##1. データベース管理サービスの有効化
データベース管理サービスを有効化するDBシステムの[データベース詳細]ページから、「データベース管理:無効 有効化」のリンク、または「メトリック」の[有効化]ボタンを押下して、データベース管理の有効化画面に遷移
##2. データベース管理の有効化情報の入力
###2-1. 接続の資格証明を指定
###2-2. プライベート・エンドポイント、管理オプションの選択
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プライベート・エンドポイントの情報:事前作業で作成したプライベート・エンドポイントを選択
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管理オプション:完全管理、または基本管理を選択
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完全管理
この管理オプションには、全てのデータベース管理機能が含まれていますが、追加のサービスコストがかかります。Oracle Database Enterprise EditionとOracle Database Standard Editionで利用できますが、Oracle Database Standard Editionでは、Performance Hubの機能は含まれていません。
この管理オプションの主な機能の一部を次に示します。
- データベースの監視および管理機能。これらの機能は現在PDBでは使用できません。
- 自動データベース診断モニター(ADDM)やブロック・セッションなどの高度なパフォーマンス・ハブ機能、およびSQLジョブや表領域監視などのその他の機能が含まれます。
- 基本管理の一部として使用できる機能。
- 基本管理
追加費用なしで以下のような機能が利用可能です。
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CpuUtilization、StorageAllocated、及びUserCallsなど14の監視メトリックが利用可能であり、これらのメトリックはOCI モニタリングサービス内と、データベースの詳細ページに表示されます。
###2-3. データベース管理の有効化確認
データベース管理が有効化されると、以下の赤枠の箇所[データベース管理:]が完全、または基本に変化し、メトリック部分にCPU使用率などの状況が表示されます。
赤枠内の編集リンクを押下すると、「完全管理」、または「基本管理」への切り替えを行うことが可能です。
#まとめ
DBCSの運用管理には、Agentレスなデータベース管理サービスがお手軽で便利だと思いますが、2021年10月4日現在、Pluggable Database(PDB)はサポート外です。PDBの運用管理ができるサービスはRoad Mapに載っています。
DBCSのEnterprise Edition以上をご利用の方は、Enterprise Managerによる運用管理もご検討ください。これまで通りかなり細かい運用管理が可能です。DBCS SEの場合はDiagnostics Packが入っていないため、監視機能などEMの主要機能が利用不可ですのでご注意ください。
#リソース
データベース管理マニュアル