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Stimulusでa11yを考慮したタブを実装する

Last updated at Posted at 2021-09-06

Stimulusとは

Stimulusとは、JavaScriptで書かれたクライアントサイドのライブラリです。
有名どころだとStack Overflowが採用していたりします。

StimulusはHTMLを中心に考えられていて、JavaScriptで書かれた振る舞いをHTMLから呼び出せるように設計されています。
それゆえ私のようなHTMLコーダー上がりの人間にとっても、とっつきやすいライブラリだと思います。

また、アクセシブルな実装は基本HTMLありきなので、その辺の親和性も高いと思っています。

タブとは

1画面に収まり切らない、または同時に見せるべきではない複数の情報のまとまりを、(画面遷移やスクロールを発生させずに)すばやく表示するためのUIです。
ソシオメディア | タブの並列切替にて詳細な説明が見れます。

a11yを考慮したタブ

ARIA Authoring Practices Guide (APG)に全ての答えが載っています。
我々はそれに従いただ実装するのみです。

前提として、今回はタブボタンがアクティブになると、関連する内容(タブパネル)が自動で切り替わる「Tabs With Automatic Activation」で考えていきます。

HTMLを書いてみる

<div>
  <ul role="tablist">
    <li role="presentation">
      <button type="button"
              role="tab"
              aria-selected="true"
              aria-controls="tab1-panel"
              id="tab1-btn"
              tabindex="0"
      >タブ1</button>
    </li>
    <li role="presentation">
      <button type="button"
              role="tab"
              aria-selected="false"
              aria-controls="tab2-panel"
              id="tab2-btn"
              tabindex="-1"
      >タブ2</button>
    </li>
    <li role="presentation">
      <button type="button"
              role="tab"
              aria-selected="false"
              aria-controls="tab3-panel"
              id="tab3-btn"
              tabindex="-1"
      >タブ3</button>
    </li>
  </ul>
  <div>
    <div role="tabpanel"
         aria-labelledby="tab1-btn"
         id="tab1-panel"
         tabindex="0"
    >
      <p>あいうえお</p>
    </div>
    <div role="tabpanel"
         aria-labelledby="tab2-btn"
         id="tab2-panel"
         tabindex="0"
    >
      <p>かきくけこ</p>
    </div>
    <div role="tabpanel"
         aria-labelledby="tab3-btn"
         id="tab3-panel"
         tabindex="0"
    >
      <p>さしすせそ</p>
    </div>
  </div>
</div>

要素の説明

要素 属性 説明
<div> ラッパー。
<ul> role="tablist" tabロールの付いた要素の親要素。
<li> role="presentation" <li>要素には暗黙のlistitemロールがデフォルトで付いており、listロールの付いた要素の子要素でなければならない。
今回はタブ用にtablistロールを付与しているので、listロールの子要素になれなくなってしまったので、アクセシビリティツリー上意味を持たないpresentationロールを付与している。
<button> type="button" ボタン。
role="tab" tabpanelロールを制御する。
tablistロールの付いた要素の子要素である必要がある。
aria-selected="boolean" 制御しているtabpanelロールが開いていればtrue、閉じていればfalse
aria-controls="tab1-panel" どのtabpanelロールを制御しているか。
tabpanelロールの付いた要素のidに紐づく。
id="tab1-btn" ID。
tabpanelロールの付いた要素のaria-labelledbyに紐づく。
tabindex="0|-1" 開いているパネルのボタンはフォーカス可能(0)、閉じているパネルのボタンはフォーカス不可(-1)。
<div> ラッパー。
<div> role="tabpanel" メインで見せたい情報。
aria-labelledby="tab1-btn" どのtabロールにラベリングされているか。
tabロールの付いた要素のidに紐づく。
id="tab1-panel" ID。
tabロールの付いた要素のaria-cotrolsに紐づく。
tabindex="0" 開いているパネルはフォーカス可能。
閉じている(display: none;された)パネルはそもそもフォーカスできないので、-1にする必要はない。

以上で意味的にはアクセシブルなタブの完成です。
次はこれにStimulusで振る舞いをアタッチしていきます。

Tabs Controller

与えたい振る舞いとしてはボタンのクリックやキーボード操作による挙動、それによって連動するパネルの表示非表示です。
タブ全体のラッパーにdata-controller="tabs"を付与して、Tabs Controllerを作ります。

<div data-controller="tabs">
  <ul role="tablist">
    .
    .
    .
  </ul>
</div>

次に取得したい要素にdata-tabs-target属性を付与します。
今回の対象要素はボタンとパネルなので、<button><div role="tabpanel">に付与します。

ボタン
<button type="button"
        role="tab"
        data-tabs-target="btn"
>タブ1</button>
<button type="button"
        role="tab"
        data-tabs-target="btn"
>タブ2</button>
<button type="button"
        role="tab"
        data-tabs-target="btn"
>タブ3</button>
パネル
<div role="tabpanel"
     data-tabs-target="panel"
>タブ1の内容</div>
<div role="tabpanel"
     data-tabs-target="panel"
>タブ2の内容</div>
<div role="tabpanel"
     data-tabs-target="panel"
>タブ3の内容</div>

タブに求められる要件

data-action属性を付与して、要件を満たしていきます。
基本的にはボタンをクリックしたら、該当するパネルが表示される、という振る舞いでOKです。
ここではそれ以外のキーボードインタラクションを見てみます。

キーボード操作 説明
Tab タブリストにフォーカスが移動すると、アクティブなタブボタンにフォーカスされる。
タブボタンの次はタブパネル全体にフォーカスされる。
Shift + Tabはその逆。
タブボタン上でのキーボード操作 説明
ArrowRight 次の(右の)タブボタンにフォーカスを移動する。
最後の(一番右の)タブボタンにフォーカスがある場合、最初の(一番左の)タブボタンにフォーカスを移動する。
ArrowLeft 前の(左の)タブボタンにフォーカスを移動する。
最初の(一番左の)タブボタンにフォーカスがある場合、最後の(一番右の)タブボタンにフォーカスを移動する。
他はオプションなので省略します。
詳しくはTabsのKeyboard Interactionを参照ください。

data-action属性の値は{event}->{controller}#{method_name}のフォーマットで記述しますが、今回使うイベントはclickkeydownの2つでOKです。

Stimulusでの実装例

See the Pen QIITA_STIMULUS_ACCESIBLE_TABS by yoruaki (@yoruaki) on CodePen.

基本的にやっていることは、{name}Targetsで対象要素を取得し、アクティブな要素に必要な属性値を付け替えているだけです。
強いて挙げるとすれば、パネルの非表示をis-hideというクラス名でCSSで制御しているのですが、それをJS側でelm.classList.add('is-hide')みたいに書くのではなく、Class APIを用いてあくまで状態はHTML側が持っているという体にしています。

これは非常に単純な作用に見えますが、非常に奥深く、機能の汎化に役立ちます。

JavaScript内で直に特定のclassの付与してしまっていては、このcontrollerは同名のclassをふる時にしか再利用できませんが、class apiを利用することでHTML側を変えるだけでJavaScriptはそのまま再利用できるという汎用性を手にできるのです。

最後に

Stimulusでa11yを考慮したタブを実装してみました。

アクセシビリティを考慮した実装をするとなると、ランドマークロールやウィジェット属性の付与、キーボード操作などの挙動や場合によってはDOMの見直しなども発生するかもしれません。

そんな中でも学習コストが低く、HTMLに寄り添ったライブラリであるStimulusは、強い味方になってくれるはずです。

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