はじめに
今回は、「理解力を向上させる」方法について紹介していきます。
(エンジニア向けというより、もっと一般的な社会人としてのスキルに関する話です)
僕たちの日常生活では、理解力が必要になる場面がたくさんあります。
- 相手の話を聞く時
- 本やドキュメントの文章を読む時
- TeamsやSlack等のチャットツールでコミュニケーションを取る時
こういった場面で、ものごとや情報が理解できないと以下の状況に陥りやすくなります。
- 相手との話が噛み合わない
- 相手に何度も同じ説明をさせてしまう
- 誤解を招いてしまう
- 仕事でミスをしてしまう
- 仕事のスピードが落ちてしまう
etc....
また、プライベートでも交友関係・趣味や自己研鑽を充実させるためには、理解力が欠かせません。
理解力は、仕事・プライベートにおいても重要なヒューマンスキルだと個人的には考えています。
本記事では、個人的に大事だと思っている「理解力を高めるために意識したいこと」を紹介していきます。
皆さんの参考になれば幸いです。
対象読者層
- 相手の話していることが理解できない or 自分の話が相手に伝わらないと感じている方
- ドキュメントを読むのが苦手な方(読んでもイマイチ理解できない)
- 職場環境が新しくなり(別プロジェクトへ配属、転職etc..)覚えることがたくさんある方
本編
(1)「言葉」を理解する
言葉は非常に重要な情報です。
その言葉の意味がわからなければ、理解を深めることができません。
少しずれますが、IT業界は専門用語のオンパレードです。
例を挙げると、僕はソフトウェアエンジニアです。
普段はコードを書くので、プログラミングに関する言葉はある程度理解できます。
しかし、インフラ周りは全くわかりません。
AWS関連でいうと、以下の言葉は聞いた程度で説明する事はできません。
- EC2
- Amazon Cloud Watch
- IAM
(これで、僕はAWSに関して何も理解していないことが証明されたわけです...😅)
このように言葉を知らないという事は、理解を妨げる大きな要因になってしまいます。
知らない言葉が出てくると、理解力は格段に落ちる
知っている言葉を増やすためのアクションとしておすすめなのは、知らない言葉に出会ったら、調べてメモを取るクセをつけることです。
メモを取る手段は、紙・電子どちらでも良いと思います。(個人のお好みで)
どんな言葉から理解していけばよいかわからない場合は、
アウトプットする分野やテーマに関する言葉に絞って理解していくのがおすすめです。
例:AWSを扱う仕事をしている場合には、
Google検索で「AWS 基本 用語集」と検索して、ヒットした用語から、わからない用語があればメモをしていく。
メモした言葉は、定期的に見返すようにしましょう。
繰り返しインプットすることで、脳に定着していきます。
チーム内で使われる独自言葉(方言みたいなもの)は必ず押さえましょう!
その言葉はチーム内で頻繁に使われるかつ、理解していないとメンバー間でのやり取りに支障が出る可能性が非常に高いです。
覚えた言葉は、文章や会話で使うことで定着する
覚えた言葉は積極的に使っていきましょう。
言葉の意味があっているか自信がない場合は、誰かに話して確認しましょう。
相手に説明することも、アウトプットとして有効な手段です。
相手と言葉の定義をすり合わせる
いくら自分が言葉を理解していたとしても、
相手との認識があっていなければ、誤解を招く-話や議論がかみ合わない 等の状況に陥りやすくなります。
上司:今やっている作業はいつ終わりますか?
新人:明日には完了します。(定時ギリギリまでかかる予定)
上司:わかりました。(15時頃には出来上がるだろう)
ここでは、明日」という言葉に対して、上司と新人の理解がすれ違っていることがわかります。
しかし、二人は認識があっていると思っているのです。
この場合、「明日」 とは、「具体的に何時までに終わるのか?」 まで認識をすり合わせることが正解ですね。
抽象的な言葉や違和感を感じたら、相手と認識を合わせることが大事です。
(2)情報は、「幹 → 枝 → 葉」で考える
情報には、必ずテーマが存在します。
テーマは、情報の中で最も大事な核となる部分です。
次の文章は何について書かれたものでしょうか?
ペルーの主要な観光地で、ユネスコの世界遺産に登録されています。
この遺跡は、建築物の優れた保存状態と美しい自然環境で知られており、
インカ文化の生活様式や建築技術を知ることができます。
標高2,430メートルの山頂に位置しており、
遺跡の中には、寺院、住居、貯蔵施設などが残されています。
答えは、「マチュピチュ」です。
PexelsでのChelsea Cookによる写真: https://www.pexels.com/ja-jp/photo/2929906/
テーマが分かれば腑に落ちますが、テーマが無いと簡単には理解できません。
それが「何について話しているのか?」を押さえられないと、理解力は著しく下がってしまいます。
「全体 → 細部」が理解の大原則
理解力を上げるには、話の全体(テーマ)を押さえることが重要です。
以下は、先ほどの文章を理解しやすい形に修正したものです。
(テーマとなる「マチュピチュ」を追記しただけです)
マチュピチュはペルーの主要な観光地で、ユネスコの世界遺産に登録されています。
マチュピチュは建築物の優れた保存状態と美しい自然環境で知られており、
インカ文化の生活様式や建築技術を知ることができます。
標高2,430メートルの山頂に位置しており、
遺跡の中には、寺院、住居、貯蔵施設などが残されています。
実は、この文章は並び順が全体 → 細部になっています。
木で例えると、幹 → 枝 → 葉 の順になっています。
-
幹
- マチュピチュは有名な遺跡
-
枝
- ユネスコの世界遺産に登録されている
- インカ文化の生活様式や建築技術を知ることができる遺跡
-
葉
- 標高2,430メートルの山頂に位置する
- 遺跡の中には寺院、住居、貯蔵施設などが残されている
幹(テーマ・全体)が理解できれば、枝葉(細部)の理解もしやすくなります。
逆に、幹(テーマ・全体)がない場合、枝葉(細部)の理解が困難になります。
最初に幹(テーマ・全体)を押さえることで、理解がぐっとしやすくなります。
会話や文章を読んでいるときは「幹(全体)を指している情報はどれか?」意識して探すようにしましょう。
あなたが人に情報を伝えるときも、「全体 → 細部」の順番を意識しましょう。
(3)クリティカル思考で理解を深める
クリティカル思考とは、「批判的思考」とも言われます。
ざっくり言うと、「自分は理解したつもりになっていないか?」・「この情報は本当に正しいのか?」と考えることです。
クリティカルシンキングとは、「批判的思考」とも呼ばれ、現状の課題や問題に対して、批判的に捉えて判断することで、問題を解決するための思考プロセスや習慣を指します。
クリティカルシンキングは、情報の信頼性を確認し、異なる視点を考慮し、根拠に基づいた結論を導くことが求められるため、先入観や感情に影響されず、客観的で合理的な判断が可能になります。
クリティカル思考のメリットは、大きく2つあると思っています。
- 特定の情報源に囚われず、間違った理解を避ける
- 能動的に理解する姿勢になる
例えば、昨今のSNS・YouTubeはあえて過激な言葉を使うことで注目を集めようとする人が一定数存在します。
また、インフルエンサーを盲目的に信じてしまい「この人が言っていることは正しい」と思んでしまうケースもあります。
例:
- Z世代は〇〇しない、〇〇だ のような主語を大きくして情報を発信する
- GoogleやAmazonもテレワークを廃止した
大手企業がそうしているんだからテレワークはオワコン という多数派に従う考え方1
クリティカル思考が働いていれば、「偏った理解・間違った理解」のリスクを回避することができます。
複数の情報源をあたって、判断する行動もクリティカル思考と言えます。
そしていちばん大切なのは、自分自身を疑うことです。
つまり、「理解したつもりになっていないか?」と、自分に問い続けることです。
理解したつもりになってしまうと、自分の理解が浅い・間違った理解をしていることに気づけないからです。
例えば、AWSを知らない人が「AWS = Amazonが提供するクラウドサービスの総称である」ところまで理解していると仮定します。
しかし、ここでAWSについて理解したつもり になってしまうのは理解が浅い状態といえます。
- 具体的なサービスは何があるのか?
- 使うメリットは?
- どうやって使うの?
- 料金はどうやって決まるの?
今より理解を深めるためには、こういった疑問を持つことが重要です。
そのきっかけとして、「わかったつもりになっていないか?」自分に問いかけることが、疑問を持つきっかけになるのです。
批判的思考を自分にも当てはめることで、まだ気づけていない理解を深めていくことができます。
まとめ
理解力を高めるために意識したいことは3つ
-
(1)「言葉」を理解する
- 言葉の意味が理解できないと、理解力は著しく下がってしまう
- 覚えた言葉は、実際の会話や文章の中で使うことで身につける
- 相手と言葉の定義をすり合わせることで、認識のズレを回避しよう
-
(2)情報は、「幹 → 枝 → 葉」で考える
- 情報は、「全体 → 細部」の順番で理解しやすくなる
- 意識して、会話や文章から幹(テーマ・全体)を探す
-
(3)クリティカル思考で理解を深める
- クリティカル思考(批判的思考)を取り入れることで、特定の情報源に囚われず、間違った理解を避ける
- 「理解したつもりになっていないか?」自分に問い続けることが、理解を深めるきっかけになる
参考文献
-
バンドワゴン効果とも言います ↩