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Vercel vs Render:動的サイト構築のためのホスティングサービス徹底比較

Last updated at Posted at 2025-03-14

近年、動的なWebアプリケーションの構築・デプロイが容易になり、VercelやRenderといったプラットフォームサービスの利用が増えていると実感しています。これらのサービスは、従来のサーバー構築・管理の複雑さを軽減し、開発者が本来のコーディング作業に集中できる環境を提供してくれます。

今回紹介するVercelとRenderの両サービスとも動的サイト構築に対応していますが、それぞれに特徴や強みが異なります。この記事では、VercelとRenderを比較し、プロジェクトの要件に合わせた最適な選択について解説します。

基本情報比較

項目 Vercel Render
設立年 2015年(当初はZEIT) 2016年(公開サービス開始は2019年)
特化分野 フロントエンド開発 フルスタック開発
得意なフレームワーク Next.js(開発元), React, Vue, Nuxt, SvelteKit 多様なフレームワークに対応
動的サイト対応 サーバーサイドレンダリング, API Routes, Serverless Functions Web サービス, APIサービス, バックグラウンドワーカー
静的サイト対応 最適化済み 対応
開発環境連携 GitHub, GitLab, Bitbucket GitHub, GitLab

1. 強み・得意分野の比較

比較項目 Vercel Render
主な強み フロントエンド中心、Next.js最適化 バックエンド対応、多様なサービスタイプ
動的サイト機能 サーバーレス関数で動的処理 常時稼働サーバーで柔軟な動的処理
開発者体験 シンプルなUI、迅速なデプロイ 直感的なダッシュボード、サービス管理
最適な用途 静的・動的Webアプリ、※JAMStack APIサーバー、WebSocket、DB連携サービス
スケーラビリティ エッジネットワークで自動スケール サービスインスタンス単位で調整可能

※ JAMStackとは、モダンなウェブ開発アーキテクチャの一種で、名前は以下の3つの主要コンポーネントの頭文字から来ています:

  • JavaScript: クライアントサイドの動的な機能を実現
  • APIs: サーバーサイド処理やデータベース操作をAPIを通じて行う
  • Markup: 事前に生成された静的なHTMLファイル

JAMStackの特徴は、事前ビルドされた静的ファイルをCDN(コンテンツ配信ネットワーク)から配信し、必要な動的機能はJavaScriptとAPIを通じて実現する点にあります。これにより、高速なパフォーマンス、優れたセキュリティ、スケーラビリティが実現できます。Next.js、Gatsby、Nuxt.jsなどのフレームワークはJAMStackの実装に適しています。

2. 技術サポート比較

技術機能 Vercel Render
サーバーレス関数 ✅(Next.js連携最適化) ✅(バックグラウンドワーカーとして)
Docker対応
WebSocketサポート 制限付き ✅(ネイティブサポート)
データベース 外部サービスとの連携 ✅(マネージドPostgreSQL)
Cronジョブ ✅(制限あり) ✅(高い柔軟性)
バックグラウンドワーカー 制限付き ✅(長時間実行可能)
カスタムドメイン
CDN/キャッシュ グローバルエッジネットワーク グローバルCDN
多言語サポート JavaScript/TypeScript中心 Node.js, Python, Ruby, Go, Rust, Elixirなど

3. 制限と実行時間

制限事項 Vercel Render
リクエストタイムアウト 無料: 最大1分
Pro: 最大5分
Enterprise: 最大15分
最大100分
ビルド時間制限 最大45分 最大120分
Cronジョブ制限 無料: 2つ/1日1回
Pro: 制限あり
Enterprise: 実行保証
制限なしのCronジョブ数
実行時間最大12時間
同時実行数 ティアによる サービスインスタンス数による
コールドスタート サーバーレス関数でコールドスタートあり 常時稼働サービスでコールドスタートなし

4. 価格と費用比較

料金プラン Vercel Render
無料プラン 個人利用向け
制限あり
個人プロジェクト向け
比較的寛大な制限
課金モデル サーバーレスモデル
チームメンバー単位
サーバーフルモデル
サービスインスタンス単位
最小チームプラン $20/メンバー/月 サービスごとの従量課金
コスト特性 間欠的なワークロードに最適
チーム規模で増加
長時間実行ワークロードに最適
インスタンス数・スペックで増加
コスト事例 チーム規模により高額化の可能性
間欠的な処理には経済的
事例: あるNext.jsアプリは
$800+から$40に削減
常時稼働サービスは高額化の可能性

5. セキュリティ機能比較

セキュリティ機能 Vercel Render
HTTPS/SSL ✅(自動) ✅(自動)
環境変数
DDoS保護
プライベートネットワーク Enterpriseプランのみ 全プランで利用可能
プライベートサービス 一部機能 ✅(すべてのプラン)
安全な内部通信 制限付き ✅(サービス間の安全な接続)

6. CI/CD機能比較

CI/CD機能 Vercel Render
GitHubとの統合 ✅(最適化)
プレビューデプロイ ✅(ブランチごと) ✅(マルチサービス対応)
ロールバック
デプロイフック
プレデプロイコマンド 制限付き ✅(DB移行など)
カスタムビルドステップ ✅(より柔軟)
パイプライン可視化 基本的 詳細な実行状況

7. プロジェクトタイプ別推奨サービス

プロジェクトの特性に基づいて、最適なホスティングサービスを選択するための指針です。

Vercelが最適なプロジェクト

Next.jsアプリ: 開発元による最適化が効いており、Next.jsの最新機能をすぐに活用できます。

静的サイト/ブログ: 高速配信とシンプルな管理インターフェイスにより、コンテンツ中心のサイトの運用が容易です。

Renderが最適なプロジェクト

APIサーバー: 長時間実行が可能で、多様な言語をサポートしているため、複雑なバックエンド処理に適しています。

Dockerベースアプリ: ネイティブDockerサポートにより、カスタム環境を簡単に構築できます。

WebSocketアプリ: チャットやリアルタイムダッシュボードなど、WebSocketが必要なアプリを簡単に構築できます。

DBを使うアプリ: マネージドPostgreSQLが利用でき、データベース連携アプリの構築・運用が容易です。

マイクロサービス: サービス間の連携が容易で、複雑なアーキテクチャも管理しやすくなっています。

バッチ処理/クローラー: 長時間実行可能なCronジョブにより、定期的なデータ処理やクローリングが簡単に実装できます。

8. 併用パターン

両サービスの強みを活かすために併用するのもおすすめです:

構成 Vercel担当 Render担当 メリット
フロントエンド・バックエンド分離 フロントエンド(Next.js) バックエンドAPI、DB 各サービスの強みを活かせる
静的・動的コンテンツ分離 静的コンテンツ配信 動的処理、計算処理 高速なコンテンツ配信と柔軟な処理
開発環境・本番環境分離 開発/テスト環境 本番環境 コスト最適化と安定性確保

まとめ:どちらを選ぶべきか

Vercel推奨ケース

  • Next.jsを含むフロントエンド中心の開発
  • 静的サイトと動的機能の組み合わせ(JAMStack)
  • 素早いデプロイとプレビュー環境が重要
  • 短時間の処理でサーバーレス関数を活用したい

Render推奨ケース

  • Javascript以外の言語やフレームワークを使用する開発
  • Dockerコンテナを活用したい
  • WebSocketやリアルタイム通信機能が必要
  • バックグラウンドプロセスや長時間実行が必要
  • データベースとの統合が重要

最終的な選択は、プロジェクトの技術要件、チームの専門知識、予算制約に基づいて判断することが重要です。動的サイト構築において両サービスは優れた選択肢ですが、上記の比較表を参考に、プロジェクトに最適なプラットフォームを選んでください。

参考リソース

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