RPAへの理想と現実のギャップ〜RPAとの正しい向き合い方

RPAツールWinactorの導入、シナリオ設計、実装、運用を始めて1年がたちました。

一部業務のRPA化によって、定量的には15人日もの工数削減定性的には定型業務から解放された人がより創造的な業務にシフトして業績に貢献するなど、RPAがもたらした恩恵は計り知れません。

その一方で、RPA化にはまだまだ残された課題があります。

この記事では、現場にRPAを導入していく中で感じたことを「RPAへの理想と現実のギャップ」と題してまとめました。

なお、この記事での[現場]は[非IT系の職場]を指します。


RPAとは何か

RPAはRobotics Process Automationの頭文字をとった略語で、ロボットによるプロセスの自動化を意味します。

だいたい現場でRPAというと、もう少し狭い意味でマニュアル化・手順化できる業務を自動化する概念を指す場合が多いと思います。

RPAについて少し調べたことがある方なら、WinactorやUiPathなどのアプリケーション名を耳にしたことがあるかと思いますが、これらはRPAツールと呼ばれるものです。

RPAツールはRPAを実装するためのツールであり、最近になって脚光を浴びてきました感があります。

実は現場で昔からよく使われているExcel VBAも、RPAの概念と照らし合わせれば立派なRPAツールと言えます。

RPAという言葉自体は新しいですが、今までよく使われてきた概念ということです。


現場におけるRPAに対する崇高な理想

現場にRPAを浸透させていく中で、現場ではRPAに対して以下の崇高な理想が抱かれていると感じました。


  • RPAは100%誤りなく作業を遂行する

  • RPAは人手を一切介在する必要がない

  • RPAは迅速に作業を遂行する

ITに精通している現場ならともかく、非ITの現場ではRPAが歪んだ形で現場に浸透します。

RPAが「既存システムのような高度な基盤で、AI技術も取り入れた先端的なもの」という、スーパーサイヤ人的なアプリと思われていたりするのです。


理想と現実のギャップはRPAへの不信に繋がる

しかし実際にRPAを運用していくと、先にあげられた理想はことごとく打ち破られ、現実とのギャップを突きつけられることになります。

以下に、RPAの理想と対応させた現実とのギャップを見ていきましょう。


「RPAを適用すれば100%誤りなくタスクを遂行する」という理想

私の知る限り、RPAツールが100%誤りなく稼働する保証はありません。

コマンドプロンプトやVBAを使用したプログラムならばほぼ誤作動しませんが、特定ウィンドウの一部を絶対参照でクリックしたり、画像マッチングを使用した場合には誤作動する可能性がかなり高くなります。

ロボットのシナリオ上は想定できない動作も、不意なポップアップや画面解像度の変化、もしくは参照するアプリケーションの都合によって想定外の誤作動を起こすことがあります。


「人手を一切介在する必要がない」という理想

上に関連しますが、RPAで一連の作業を完全に自動化した場合、誤りを含む可能性を排除しきれません。

そのため、正確性を期す場合にはロボットが行なった作業を人手でチェックする必要が出てきます。

例えば社外へのメール配信などにRPAを適用する場合はロボットの作業後に人手のダブルチェックを挟むことになります。

RPAとは言うものの、完全に人の作業を解放することはできないのです。


「迅速に作業を遂行する」という理想

RPAツールはロボットレイバー(仮想労働者)とも呼ばれているように、人の作業を代行するのが本来の役目です。

システム開発などで導入されるアプリケーションとは質が異なり、作業の効率化を目的にしていません。

RPAツールは人が実際にデスクトップ上で作業していることを代行するだけであり、高速な作業の遂行を保証するわけではないのです。

RPAツールは長時間でルーチンな作業を人の代わりに強いることができる仮想労働者というのが正しい認識と言えます。




上記で見てきたように、RPAに対する理想と実運用で発生していく事象(現実)との間には大きなギャップがあります。

当初の理想が高すぎる分、RPA運用における現実を知ったとたんに一気に信用されなくなるリスクが高いのです。


RPAと正しく向き合うためには

冒頭でも述べたようにRPAによる恩恵は計り知れません。

※RPAは一旦運用されると現場ではインフラとして扱われるようになるため、そのありがたみを現場では感じられなくなりますが...

しかし、RPAに対して崇高な理想を持たれていた場合、一度でもRPAに不信を抱かれてしまうとそのインフラが停止されかねません。

一度RPA化されたプロセスを再び人力作業に切り替えるのは事業的にもかなりの損失となりえます。

そこで上記のような大損失を避けてRPAと正しく向き合うためには、RPAに関する正しい認識を現場で揃えて(特に決裁権があるマネージャー陣)、RPAの強み弱みを理解したうえで既存システムとうまく調和させながら全体としてRPAを作っていく姿勢が必要と思われます。


最後に

RPA運用はトライ&エラーの繰り返しです。

一度のミスでRPA全体の信用を失くさず、原因を切り分けてどこがだめで次回はどう修正することでカバーできるのか、建設的に考えていくことがRPA運用では必要だと感じます。