はじめに
AWSを利用しているプロジェクトのリーダーは一読ください。
AWSアカウント契約の準拠法と、管轄裁判所を変更する手順をまとめます。
お客様のAWS環境を自社が代行して契約しているようなケースの場合、米国法のままになっている可能性があります。後述するAWS Artifactから、本番環境で使用しているAWSアカウントの準拠法を確認することをお勧めします。
AWSを使うプロジェクトでPLが意識すること
RFPや要件定義時の非機能要件の確認事項として、「クラウドサービスの準拠法が日本法であること」 を確認されたほうが良いと思います。
AWSとの契約のおさらい
AWSは米国企業であるため、たとえ東京リージョンにアカウントを作成したとしても、契約の準拠法はワシントン州法、同契約に関するあらゆる紛争に関する第一審裁判所はワシントン州キング郡州裁判所または連邦裁判所になっています。
情報元(AWS公式ページより)
- AWSカスタマーアグリーメント
- 以下、AWSカスタマーアグリーメント 日本語より抜粋(※2018年9月24日時点の情報です)
13.4 準拠法 本契約およびサービス利用者とアマゾンの間に生じるすべての種類の紛争は、抵触法
の原則にかかわらず、準拠法に準拠する。国際物品売買契約に関する国際連合条約は本契約には適
用されない。
AWS カスタマーアグリーメントの変更
これまで、準拠法を変えるためには、別途AWSと書面で締結する必要がありましたが、2017年11月よりAWSマネジメントコンソールからオンラインで変更することができるようになりました。
日本準拠法に関する AWS カスタマーアグリーメントの変更: AWS Artifact
日本準拠法に関する AWS カスタマーアグリーメント変更契約とは、現在お客様がご利用中の AWS アカウントに適用されている、 AWS カスタマーアグリーメントの準拠法および管轄裁判所を変更する契約を指します。この契約を有効にすることで、 AWS カスタマーアグリーメントの準拠法を日本法に変更し、更に、同契約に関するあらゆる紛争に関する第一審裁判所を東京地方裁判所に変更することができます。
従来、AWSカスタマーアグリーメントの準拠法および管轄裁判所を変更する際に、その都度、書面で契約を締結して頂く必要がありましたが、AWSアカウントのマネジメントコンソールからお客様ご自身で受諾(有効に)することで、お客様の手間を省略することが可能となっています。
契約変更に関する料金
費用は無料です。
契約変更に要する時間
マネジメントコンソールからいつでも変更できます。
日本準拠法に関するAWSカスタマーアグリーメント変更契約をアクティブにした日から即適用されます。
注意事項
AWS アカウント単位での変更が必要です。つまり、プロジェクトAとプロジェクトBで2つAWSアカウントを契約している場合、それぞれで手続きが必要になります。
設定手順
- マネジメントコンソールから Artifact を選択する
- 左メニューから、契約を選択して、 日本準拠法に関するAWSカスタマーアグリーメント変更契約 をクリック
- 確認が終わったら、 NDAを確認済みで、同意する場合は個々をチェックしてください にチェックを入れて、NDAに同意し、日本準拠法に関するAWSカスタマーアグリーメント変更契約をダウンロードする をクリックする
-
PDF形式でダウンロードされる
- 重要な契約書であるため、プロジェクトのフォルダに保管する
-
AWS Artifactの画面に戻り、 以下3つにチェックする
- 本変更契約の条件をダウンロードし確認した
- 本変更契約の条件に同意する
- 本変更契約の条件は機密事項であること並びにAWS Artifact NDA機密保持契約に服することを了解し、これに同意する。
-
チェックが完了したら、 このアカウントの日本準拠法に関するAWSカスタマーアグリーメント変更契約に同意する をクリックする
2018/9/27追記
まさかトレンド入りするとは思いもしませんでした。たくさんの「いいね」や、はてなブックマークをしてくださったみなさま、ありがとうございます。
はてブにて、「NDAの内容をキャプチャしているのはまずいのでは?」というコメントを拝見しました。機密保持契約書ですから、確かに原文が見えるのはまずいですね。該当画像にモザイクをかけました。