ユーザビリティテスト
今回は品質の観点から分類されるテストの中のユーザビリティテストについてご紹介します。
ユーザビリティテストとは?
ユーザビリティテストとは,ソフトウェアの使いやすさを確認するテストです。
普段利用されているソフトウェアで,使いにくいと感じることもあるかと思います。
例 ・機能要件は確かに満たされているけれども,実際使ってみると使いにくい。
・使い方がわからずあきらめてしまう場合
機能は豊富だが,使いにくくて誰も利用していないのでは,機能の目的を果たせていません。
有効に利用されなければソフトウェア開発に対する費用対効果が出てきません。
このようなことが起こらないよう,使いやすさを確保することを重視するケースが増えてきています。
今の時代ソフトウェアの生産性が向上し,機能要件を満たしていることが当たり前となった今,使いやすさの重要性が増していると思います。
そもそもユーザビリティとは?
ユーザビリティは,日本語では「使いやすさ」と表現されます。
ソフトウェアのユーザビリティが悪いとか,使いにくいと言う人はいますが,具体的にどう悪いのか説明できる人は少ないのではないでしょうか。
例えば「ある画面のボタンが使いにくい」といった場合以下のような点があがります。
・ボタンの形が悪い
・ボタンの色が悪い
・ボタンのラベルが悪い
さまざまな問題が考えられます。つまり,使いにくさの中にはさまざまな原因が存在すると考えられます。また,テストでは結果を客観的に示す必要があります。ユーザビリティが悪いといった場合にどの部分を指しているのか他の人が理解し,改善につなげられるようにしておかなければなりません。
そのためには,結果を客観的に判断する評価軸が必要になります。
ユーザビリティの評価軸
評価軸としてニールセンの10原則をご紹介します。
※ここに紹介するのはあくまで原則です。実際のテストの際にはソフトウェアの特性などに合わせて具体化しチェックリストレベルにするのが良いと思います。
[1]システム状態の視認性を高める(Visibility of system status)
《システム上で何が起こっているのか,適切な時間の範囲内で適切なフィードバックをユーザに通知しましょう》
[2]実環境に合ったシステムを構築する(Match between system and the real world)
《システム上では,普段ユーザが利用していたり,聞き慣れている言葉や言い回しを用いましょう。システム指向の用語を用いてはいけません。現実の環境の慣習に従い,現実世界の順序を守り,かつ論理的な順序を持たせましょう》
[3]ユーザにコントロールの主導権と自由度を与える(User control and freedom)
《ユーザがシステム上で操作を間違えるのはよくあることです。間違った場合にユーザが前の状態に戻れるようなしくみを提供しましょう。システム上のあらゆる操作に対して,取り消し(undo),やりなおし(redo)ができるようにしましょう》
[4]一貫性を保持し,標準に従う(Consistency and standards)
《システム上で文言が同じであるのに,画面ごとにその文言の意味やアクションが異なるようなことは避けましょう。また,OSや規格などはその分野の標準に従いましょう》
[5]エラーの発生を事前に防止する(Error prevention)
《丁寧なエラーメッセージやマニュアルを作成するよりも,ユーザがミスを起こさないような設計をしましょう。画面遷移する前の入力項目検証機能や事前説明を用意し,ユーザのミスを防ぐようにしましょう》
[6]記憶しなくても,見ればわかるようなデザインを行う(Recognition rather than recall)]
《操作対象となる情報やアクションを適切なときにユーザに見えるようにし,操作の途中でユーザに記憶させたり,ユーザの記憶に依存しないようにしましょう》
[7]柔軟性と効率性を持たせる(Flexibility and efficiency of use)
《ヘビーユーザと初心者が混在するシステムでは,ヘビーユーザ用に便利な機能を設けるか,ユーザが画面や機能をカスタマイズできるようにしましょう》
[8]最小限で美しいデザインを施す(Aesthetic and minimalist design)
《1つの画面上に多くの情報を載せるのではなく,その画面で必要な情報を吟味しましょう。情報が多過ぎると,画面全体の見やすさが損なわれてしまいます》
[9]ユーザによるエラー認識,診断,回復をサポートする(Help users recognize,diagnose, and recover from errors)
《エラーメッセージは,メッセージをわかりやすい場所に表示し,メッセージを見ただけでユーザが次の行動へ移れるようにしましょう。システムのエラーメッセージをそのまま出すことだけは避けましょう》
ユーザビリティのテスト方法
(1)評価は最低2人が実施するようにしましょう
評価を一人で行うと評価軸の捉え方に偏りが出る可能性があります。偏りを排除するために最低2人で評価しましょう。
(2)評価は別々に実施し,後で結果を合わせましょう
評価軸は共通のものを利用しますが,意見調整などは行わず各人が個別に評価し,あとで結果を突き合わせる方法をとると,より多くの気付きが得られます。最初から2人で行うと,他人の意見に流されてしまったり,遠慮して意見を出し切れない場合があります。別々で実施すると効率が悪いように感じますが,他の人が見ると思わぬ観点が出る可能性もあります。まずは洗い出しの範囲を広げましょう。
(3)優先度付け
ソフトウェアの利用者が限定されている場合や,特殊な業務でのみ利用される場合などニールセンの10原則のすべてを満たす必要が無いこともあります。ソフトウェアの想定利用者や目的を考慮して改善の優先度付けを行いましょう。また,コスト(費用,時間)に対する改善効果によって優先度付けを行うことも有効です。
まとめ
今回はユーザビリティテストについてまとめてみました。ソフトウェアの使いやすさを追求するということに着目してテストケースを作成していきたいと思います。
お客様が一番求めてる機能が簡単にシンプルにかつ満足いただけるソフトウェアが費用対効果も高く理想のものだとわかりました。原則などは分かりずらかったのでリンク先に詳しく解説されてますので見てみてください。