結論
タイトルの通り、JetBranins社のIDEであるIntelliJ IDEAとPyCharmのCommunity版はビジネス/商用利用できます。JetBrains自身が「IntelliJ IDEAとPyCharmのCommunity版は商用利用できる」と述べています。
既製の商用IDEのライセンスの住み分け事例から「Community版は商用利用できない」という先入観を持つ方がいますが、IntelliJ IDEAとPyCharmのCommunity版については問題なく商用利用可能です。
NOTE: なおAppCode, CLion, GoLand, PhpStorm, ReSharper, RubyMine, WebStorm等のJetBrains製品についてはCommunity版がありません。このため本記事の対象外となります。
背景
本記事は「モダンなJava開発ガイド」の一部をベースにしたものです。「IntelliJ IDEAのCommunity版は商用利用できない」と誤解している人が意外に多いことが分かったため、別記事にすることでより多くの方々の目に留まるようにして、この誤解をできるだけ多く解くことを目的としています。
本記事にはCommunity版が商用利用可能である根拠となる情報(JetBrains自身が発信している情報)を掲載しています。会社でCommunity版を使用する場合、商用利用可否の観点で難色を示す上司もいるため、そのような場面に遭遇した時の説得材料として利用していただければと思います。
NOTE: 「商用開発を考えるなら機能が豊富な有償版じゃないと話にならない」という観点の話ではないので注意してください。各種フレームワーク/Web/DB開発周りの豊富なIDE機能を理由に有償版を使いたい、使う必要がある人はぜひ有償版のライセンスを購入してください。
大学やOSS開発等の場合は無料になったり、スタートアップ企業等の場合は割引が適用されたりするため、そちらも上手に活用しましょう(詳細はこちらのURL)。
根拠となる情報
[IntelliJ IDEA] Ultimate/Community版の比較表にある記載 (ポップアップ表示)
IntelliJ IDEAのページ下部にはUltimate/Community版の機能比較表があり、その表の中にライセンスという項目があります。Community版にはOpen-source, Apache 2.0
と記載されており、その右にある「?」マークにカーソルを合わせると以下のようにIt can also used for commercial development. (商用開発にも使用できる)
という記載があります。ちなみに下図の赤線は強調するためにこちらで入れたものです。
なお、この記載は前述した「?」マークにカーソルを合わせた時にのみ表示される記載です。ブラウザでページ内検索をしてもヒットしませんし、JetBrainsのページ検索機能でもヒットしないので注意しましょう。
NOTE: ちなみに2018年9月時点では、PyCharmの機能比較表には何故かライセンス項目がないため同様のポップアップ表示はありません。ただし後述する通り、PyCharmのCommunity版も商用利用可能であるとJetBrainsが述べています。
[IntelliJ IDEA] 公式FAQの回答
IntelliJ IDEA Community版の公式FAQには下記のように「誰でもOSSまたは商用のプロダクトを作ることが可能」である旨が記載されています。
We chose the Apache 2.0 license because it is a very open license which lets anyone create both open source and commercial products on top of our platform.
[IntelliJ IDEA] コミュニティフォーラム上でのJetBraninsエンジニアの回答
また同様の疑問を持つ人に対してJetBrainsのリードテクニカルサポートエンジニアであるSerge Baranov氏が「どの規模の企業でもCommunity版を商用利用可能」である旨をこちらで回答しています。(2017年と2018年に同様の回答をしているため、遠い過去の話ではありません)
[Question] I can use IntelliJ community edition to develop commercial applications with in a company of any size?
[Answer] Yes.
[PyCharm] 公式ブログFAQの回答
PyCharmのCommunity版については、JetBrainsのPyCharm公式ブログ FAQ記事で下記のように商用可能である旨が記載されています。
Yes, you can. You are allowed to use PyCharm Community Edition for commercial use.
またPyCharmのCommunity版は、IntelliJ IDEAのCommunity版と同様にApache 2.0ライセンスとなっているため、基本的にライセンスの位置づけはIntelliJ IDEAのCommunity版と同じです。