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Power Virtual Serverで仮想シリアル番号 (VSN) を試してみました。

Last updated at Posted at 2025-03-04

はじめに

オンプレ環境のIBM i では仮想シリアル番号 (VSN: Virtual Serial Number) が以前より利用できていますが、Power Virtual Server (PowerVS) のIBM i においてもVSNが利用可能になっています。
VSNはIBM Powerの物理的なシリアル番号に依存しない値を仮想シリアル番号としてIBM i に認識させることができる仕組みです。
シリアル番号がハードウェアに依存しなくなるため、VMが仮に別のハードウェア上に移動した場合でもOSが認識しているシリアル番号が変わることはありません。
今回Power Virtual ServerでVSNを試せる機会がありましたので、試した結果をまとめておきたいと思います。

VM作成時のVSNの割り当て

Power Virtual ServerでのVSNについては、以下リンク先にて情報が公開されています。
IBM Cloud Docs: Creating an IBM Power Virtual Server

新規のIBM i VMを作成する際にVSNを割り当ててみます。
上記リンク内にある以下のリンク先の情報によりますと、実際にVMを作成する前の準備として、最初にIBM Cloud Account IDとIBMお客様番号 (ICN) を紐付ける必要があるとのことでした。そこで、まずはこのリンク先の手順に従ってIBM Cloud Account IDとICNの紐付けを最初に行っています。
IBM Docs IBM Entitled Systems Support: IBM Cloud Power Virtual Server - using Virtual Serial Numbers and IBM customer numbers

To enable VSN support in IBM Cloud Power Virtual Servers, you need an IBM customer number associated with your IBM Cloud Account ID.

紐付けが完了した上でPower Virtual ServerのIBM i VMを新たに作成していきました。

  1. 作成画面の「ブート・イメージ」セクションにてオペレーティング・システムとしてIBM i と使用するOSイメージを選択すると、新たに「Virtual serial number (VSN)」という項目が表示されます。こちらの編集ボタンをクリックします。
    image.png

  2. 「Virtual serial number (VSN)」のウィザードが表示されました。割り当て方法が選べます。「None」はVSNではなくハードウェアのシリアル番号をそのまま使う従来と同じ方式です。「Auto-assign」を選ぶことで、VM作成時に新規のVSNが自動作成され、割り当てられるようになります。今回は「Auto-assign」を選択しました。
    image.png
    なお、ウィザードの注意書きには、

    Account ID must be mapped to ESS
    Attempting to assign without completing this step will result in a failure to provision the virtual server instance.

    とあります。IBM Cloud Account IDとICNの紐付けがポイントなのですね。

  3. ウィザードの次画面では自動作成されるVSNに対するコメントを入力でき、今回は空白のまま進めました。
    image.png

  4. 「作成」をクリックしてVMを作成します。
    image.png

  5. しばらく待つと、VMが作成されて状況がアクティブになりました。VMの詳細を見てみると、Virtual serial numberとして自動作成された値が割り当てられていることが無事確認できました。
    image.png

  6. IBM i コンソールを開いてシステム値を確認してみました。QSRLNBRの値としてVSNが正しく認識されていることが分かります!
    image.png

その他

PowerVSのWeb管理画面にはVirtual serial numbersメニューがあります。ワークスペース内のVSNが、割り当て先のVMの名称などと共に一覧で確認できます。
image.png

VSNが割り当てられたIBM i VMを削除する際、VSNをワークスペースで保持しておくかを選ぶことができます。
下の画面ショットはVM削除後もVSNを保持しておきたい場合の例です。
image.png

またVMがシャットオフ状態であることが前提とはなりますが、既存のIBM i VMにVSNを割り当てることもできるようになっていました。ワークスペースで保持しているVSNを割り当てることもできますし、新たに自動作成した値を割り当てることもできるようです。画面ショットは保持しているVSNを割り当てる場合の例です。
image.png

終わりに

今回初めてVSNに触れてみましたが、利用方法はシンプルで直感的だなと思いました。
IBM i ではシリアル番号を基にライセンス・キーを発行して利用するソフトウェアなども多く、Power Virtual ServerのIBM i VMではシリアル番号を固定するためにハード・ピンの設定にすることが多くありました。
ピン止めしてしまうと、VMのハードウェア間の移動が制限されることになってしまいます。
VSNによってピン止めする必要がなくなり、ハードウェアのメンテナンスや障害時の柔軟なVMの移動にも対応できるようになりますので、Power Virtual Serverではうってつけの機能だなと思えました。
今後ぜひ積極的に活用していきたいなと思います!

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