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C言語Advent Calendar 2015

Day 5

ポインタレス(Pointer-less)・プログラミング

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プログラミング言語Cの特徴ってなんでしょうか?この質問に対して「ポインタ(Pointer)」を挙げる人はそれなりに居るでしょう。…たぶん居るよね。居ることにします。

他のプログラミング言語にもポインタに相当する概念(「参照(Reference)」と呼ばれることが多い)はありますが、とりわけC言語のポインタは難しいと言われること多いようです。時にはこんなコーディング規約を持ち出して、ポインタ使用が禁止されることもあるそうです。

(俺がコードを理解できないから)ポインタの使用は禁止する。

なんだか心の声が漏れ聞こえる気もしますが、そこは大人な対応で迎えましょう。ええまあ、この記事は大人げないんですけど。ルールがポインタを使うなと言うなら、私だってちゃんと従いますよ。*とか&とか危なくて使えませんよね。

準備編

ここから本題。この記事では、プログラミング言語Cでポインタを一切利用しない「ポインタレス(Pointer-less)・プログラミング」にむけた説明を行います。

といっても、ポインタはC言語のさまざまな場面にあらわれる基礎概念です。ポインタを全面禁止するという制約により、一体どれだけの影響が出るのでしょう。

ポインタレス・プログラミングを実践する前に、C言語プログラム中でポインタがいつ利用されるのか、順番におさらいしておきましょう。

main関数

では、さっそくmain関数から書き始めましょう:

int main(int argc, char *argv[])

「こんにちは、ポインタ警察です。ちょっとそこのargvを見せてください。その*は何ですか?」

はい。ごめんなさい。という訳で、main関数は引数なしバージョンしか使えません:

int main()
{
  return 0;
}

コマンドライン引数(argv)の利用は諦めた方が良さそうです。

文字列

気を取り直して、懐かしのHello Worldでも書いて心を落ち着かせましょう。文字列(String)を出力するだけですね:

#include <stdio.h>

int main()
{
  printf("Hello, World!\n");
  return 0;
}

「こんにちは、ポインタ警察です。(以下略)」

えーと、どこがダメなんでしょうか?printf関数シグネチャ(=関数宣言)を確認してみます:

int printf(const char * format, ...);

アッ、ハイ。C言語には「文字列型」というものは存在せず、文字列は文字型(char)の連なりにすぎません。文字列を扱うプログラムではポインタ利用は不可避です。文字列処理は諦めてください。

配列

うーん。文字列処理がダメなら、計算でもしますか。まずは配列(Array)を用意して…

int main()
{
  int a[] = { 1, 2, 3, 4, 5 };
  int i, sum = 0;

  for (i = 0; i < 5; i++) {
    sum += a[i];

「こんにちは(以下略)」

ちょ、ちょっと待ってください。どこにもポインタなんて使ってませんよ。さすがに、このコードは許されるんじゃ?

問題の箇所は、配列要素にアクセスしているa[i]です。プログラミング言語Cの"仕様"を記述する、日本工業規格JIS X 3010:2003にはこうあります:

6.5.2.1 配列の添字付け
添字演算子[]は,E1[E2](*((E1)+(E2)))と等価であると定義する。2項+演算子に適用する型変換の規則によって,E1が配列オブジェクト(又は,配列オブジェクトの先頭要素へのポインタ)であり,E2が整数である場合,E1[E2]E1E2番目(0 から数える。)の要素を指し示す。

お堅い表現で読みにくいですが、「配列要素へのアクセスE1[E2]はポインタ演算*(E1+E2)と同等」と言っています。つまりコード上でa[i]と書いた部分は、コンパイラによって*(a+i)と読み替えられるのです。

さて、配列アクセスもアウトになりました。ポインタレス・プログラミングの道は遠く険しい。あとポインタ警察怖い。

実践編

とまあ、ここまでの内容で本旨は果たしてしまったのですが、一応実践編もやっときます。

お題

ポインタレス・プログラムの題材として、非常に高度なプログラムを用意しました。標準入力(stdin)から2つの数値をよみとり、それら2つの値の足し算を行い、結果を標準出力(stdout)へ出力するプログラムです!

#include <stdio.h>

int main()
{
  int a[2], sum;

  scanf("%d %d", &a[0], &a[1]);
  sum = a[0] + a[1];
  printf("%d\n", sum);
  return 0;
}

ポインタレス・スタイルでは、当然scanfprintfも文字列も配列も使えません。この辺りをどう対処するかが重要そうですね。

ポインタレス・スタイル

もう飽きました。 TVの料理番組よろしく、完成したものがこちらになります:

#include <stdio.h>
#include <ctype.h>

int read_int()
{
  int value = 0;
  int ch;

  for (;;) {
    ch = getchar();
    if (ch == EOF || !isspace(ch))
      break;
  }
  while (ch != EOF && isdigit(ch)) {
    value = value * 10 + (ch - '0');
    ch = getchar();
  }
  return value;
}

void print_int(int value)
{
  int num;
  int digit;

  for (num = 1; num <= value; num *= 10)
    ;
  num /= 10;

  while (0 < num) {
    digit = value / num;
    putchar('0' + digit);
    value = value % num;
    num = num / 10;
  }
}

int main()
{
  int a1, a2, sum;

  a1 = read_int();
  a2 = read_int();
  sum = a1 + a2;
  print_int(sum);
  putchar('\n');
  return 0;
}

オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな
このはてしなく遠いポインタレス坂をよ…

続かない。

謝辞

こちらの下らない記事は、下記ツイートよりアイデアを頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。

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