はじめに

toC 向けの Web サービスでは、アカウントに制限を課したり、一時的に停止したり、退会処理への対応をしたり、ということが必要になる。

これらの概念は国内・国外のサービスでそれぞれ用語も意味も微妙に違うところがあるので、話すときにはその意味やそれぞれの違いに注意しないといけない。

また、初期のサービスでは退会処理だけ作って走りながら要望に沿うという考えもあるかもしれないが、最初からある程度網羅的なアカウントの状態遷移を想定・把握しておくことは手戻りを減らす助けになると思う。

おもに Facebook, Twitter, Medium, メルカリを参照した。以下を見て分かる通り、国外のサービスでは概念も用語（英）も統一感があるので、少なくともこれらを参考にしたり理解しておくのは悪くないように思う。

ほかサービスの仕様

日本語	英語	意味
制限	Limited	運営が一方的に特定の機能を利用できないようにすること。Restore できる。
一時停止	Suspended	運営が一方的にアカウントを停止すること。素行が悪い場合に実施される。UnSuspended できる。
ロック	Locked	運営が一方的にアカウントを停止すること。Suspended との違いはアカウントが乗っ取られた可能性があるなどセキュリティ起因であること。UnLocked できる。
停止	Deactivated	データの物理削除を伴わないがサービス上見えなくなるし使えなくなること。Activated できる。
削除	Deleted	データの物理削除を伴う。ただし相手に残ったその人に関わるデータは残る（メッセージのやり取りなど）。

日本語	英語	意味
制限	Limited	運営が一方的に特定の機能を利用できないようにすること。Restore できる。
凍結	Suspended	運営が一方的にアカウントを停止すること。素行が悪い場合に実施される。UnSuspended できる。
ロック	Locked	運営が一方的にアカウントを停止すること。Suspended との違いはアカウントが乗っ取られた可能性があるなどセキュリティ起因であること。UnLocked できる。
削除	Deactivated	データの物理削除を伴うかは不明。30 日以内なら Activated できる。

日本語のサービスも。マニュアルとちょっと検索してわかった範囲。

日本語	意味
利用停止	運営が一方的にアカウントを停止すること。
退会	データの物理削除を伴わないがサービス上見えなくなるし使えなくなることと読める。復活できる。

ここまで、各サービスを整理した結果、アカウントがとりうる状態について、網羅性と用語（特に日本語）のバランス感を意識してまとめたのが、以下の表。

データベースのモデリング、変数名、サービス上の用語として参照することを想定している。
自サービスでは何をサポートするのかを明確にするときのたたき台としても使うことを想定している。

日本語	英語	ほかの英語候補	意味・補足
機能制限	Limited	Restricted	運営が一方的に特定の機能を利用できないようにすること。Restore できる。
利用停止	Suspended	-	運営が一方的にアカウントを停止すること。素行が悪い場合に実施される。 UnSuspended できる。
ロック	Locked	-	運営が一方的にアカウントを停止すること。Suspended との違いはアカウントが乗っ取られた可能性があるなどセキュリティ起因であること。UnLocked できる。
退会	Deactivated	Disabled	データの物理削除を伴わないがサービス上見えなくなるし使えなくなること。ただし相手に残ったその人に関わるデータは残る（メッセージのやり取りなど）。Activated できる。
削除	Deleted	Deactivated	データの物理削除を伴う。ただし相手に残ったその人に関わるデータは残る（メッセージのやり取りなど）。Deactivated をこの意味で使う例もある

参照した国外の大手サービスは、アカウントの物理削除を明確にうたっていた。GDPR 施行の影響もあるのかな。