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リクルートライフスタイルAdvent Calendar 2015

Day 4

Spock ちっくにテストデータを挿入してみた話

Last updated at Posted at 2015-12-03

Java プロジェクトでのテストに、Groovy を使用するとすごく捗りますよね。
Spock まで採用していると、さらに捗りますね。

ただ、これらを使用しても捗らないものもあります。
それがテストデータの管理です。
これについては、みなさんどのようにしているのか、わたし自身も興味のあるところではありますが、ここではヒントになるかもしれない、アプローチのひとつをご紹介したいと思います。

#環境
以下のとおり。

  • Java 1.8.0_45
  • Groovy 2.4.3
  • Spock 1.0-groovy-2.4
  • DBUnit 2.5.1

#Spock の良さ

Spock でのテストがなぜ捗り、快適なのか。
その助けのひとつとなっているのが where: の見通しの良さではないかと感じています。

多くの方が御存知のとおり、where: では、表形式でテストパターンを記述することができます。
以下のように。

FizzBuzzSpec.groovy
@Unroll
@Stepwise
class FizzBuzzSpec extends Specification {
    def "FizzBuzz に #number をかけた場合 #result が返る"() {
        expect:
        def fizzBuzz = new FizzBuzz()
        fizzBuzz.fizzBuzz(number) == result

        where:
        number || result
        1      || 1
        3      || 'fizz'
        5      || 'buzz'
        15     || 'fizzbuzz'
        6      || 'fizz'
        10     || 'buzz'
        0      || 'fizzbuzz'
        -15    || 'fizzbuzz'
    }
}

class FizzBuzz {
    def static void main(String[] args) {
        def fizzBuzz = new FizzBuzz();

        10.upto(100) {
            println fizzBuzz.fizzBuzz(it)
        }
    }

    def fizzBuzz(int number) {
        return fizz(number) + buzz(number) ?: number
    }

    def fizz(int number) {
        return number % 3 == 0 ? 'fizz' : ''
    }

    def buzz(int number) {
        return number % 5 == 0 ? 'buzz' : ''
    }
}

いい感じ。
スクリーンショット 2015-12-03 14.19.33.png

この見通しの良さに助けられて、コードレビューにかかるパワーも抑えられるところが、わたしはとても気に入っています。

#テストデータの管理
いよいよ本題です。

DB アクセスを伴ったりするアプリケーションには、テストデータは不可欠です。
とくに複雑な業務プロセスを踏んだり、データパターンが必要になってくる場合には、できる限りテストデータをしっかりと用意したいところ。

ただ、これに対するソリューションは (少なくともわたしの周りでは) 選択肢がそう多くなく、テスト実装の方針を決める際には、いつも頭を悩ませるポイントでもあったりしました。

選択可能なソリューション

どんなソリューションがあったのかというと、具体的には以下のようなものたちでした。

  • DB 自体に大量のテストデータを事前に蓄積しておく
  • DBUnit + Excel
  • DBUnit + XML
  • DBUnit + CSV
  • テストコード内で POJO などに起こす

どれもあまりしっくりきません。
わたしの中には、テストデータに求める要件があったのです。

ソリューションに求める要件

テストデータを作成、管理するソリューションには以下のようなものが求められました。

  1. テストは何度回しても必ず同じ結果を返すこと
  2. テストデータのレビューが可能であること
    - できれば、Github などでやりたい
    - できれば、同じ画面の中だけで収まるようにしたい
  3. レビュー負荷が大きくなり過ぎないこと
    - テストコードと同等、もしくはそれよりやや大きい程度までが許容範囲
    - テストデータによって、テストコードが肥大化し過ぎることを避けたい

ソリューションの評価

これらを満たせるかどうかで、先に挙げたソリューションを見てみると。

  • DB 自体に大量のテストデータを事前に蓄積しておく
    1. DB に蓄積されたデータは変化してしまうため、NG
    2. コードレビューには通せず、インラインコメントなど残せないので、NG
    3. レビューがそもそもできないので、NG
  • DBUnit + Excel
    1. ファイルに定義されたものを流すことになり、テストデータは不変なため、OK
    2. コードレビューには通せず、インラインコメントなど残せないので、NG
    3. 表形式なのでデータは俯瞰しやすいが、別ファイルでケースと紐付かないので、あと一歩。
  • DBUnit + XML
    1. ファイルに定義されたものを流すことになり、テストデータは不変なため、OK
    2. テキストファイルのため、コードレビューには通せるが別ファイルなので、あと一歩
    3. 別ファイルになり、また一見してどのケースと紐付いているか判断できないので、NG
  • DBUnit + CSV
    1. ファイルに定義されたものを流すことになり、テストデータは不変なため、OK
    2. テキストファイルのため、コードレビューには通せるが別ファイルなので、あと一歩
    3. 表形式なのでデータは俯瞰しやすいが、別ファイルでケースと紐付かないので、あと一歩。
  • テストコード内で POJO に起こす
    1. ファイルに定義されたものを流すことになり、テストデータは不変なため、OK
    2. テキストファイルであり、テストコードと並んで表現されるため、OK
    3. テストデータを起こすためのコードにテストコードが煩雑になるため、NG

まとめるとこんな感じ。

ソリューション 1 2 3
DB 自体に大量のテストデータを事前に蓄積しておく :umbrella: :umbrella: :umbrella:
DBUnit + Excel :sunny: :umbrella: :cloud:
DBUnit + XML :sunny: :cloud: :umbrella:
DBUnit + CSV :sunny: :cloud: :cloud:
テストコード内でデータをPOJO に起こす :sunny: :sunny: :umbrella:

候補となったソリューションたちは全滅しました。
惜しいものもありましたが、すべての要件を満たせるものはありません。

#顧客が本当に必要だったもの
さて、わたし自身がどのようなものを求めていたのか。
これをヒトコトで表現するなら、「Spock where: のようなテストデータの記述方法」です。
一度、Spock の良さを体感してしまうとやはり、どうにかこうできないのかと思いを馳せてしまうのです。

そこで考えてみました。
端的に、どのような条件を満たせれば、満足するのか。
以下のようなものに集約されるのではないでしょうか。

  • データが不変であること
  • データがテキストで表現されていること
  • データが表形式で俯瞰できること
  • データがテストコードと同一ファイル内にあり、テストコード自体を煩雑化しないこと

表形式で俯瞰できること、というのがすこし難しそうです。
ですが、Spock の利用を前提とするならば、そこには Groovy もついてきます。
Groovy がついてくるならば、演算子のオーバーロードにより、データを表のように見せかけることはできるかもしれません。

##Groovy x DBUnit で実現

そこで作成してみたのが、こちらになります。
https://github.com/yo1000/dbspock

SpockLikeFlatXmlBuilder.groovy
package com.yo1000.dbspock
/**
 * Created by yoichi.kikuchi on 2015/07/13.
 */
class SpockLikeFlatXmlBuilder extends GroovyObjectSupport {
    def cols = []
    def items = []

    SpockLikeFlatXmlBuilder() {
        Object.metaClass.or = { x ->
            if (!(delegate instanceof List)) {
                return [delegate, x]
            }
            delegate << x
        }
    }

    @Override
    Object invokeMethod(String name, Object args) {
        if (!(args instanceof Object[]) || args.size() <= 0) {
            return super.invokeMethod(name, args)
        }

        def arg = args[0]

        if (name.toLowerCase() == "_cols_") {
            cols = arg
            return
        }

        def builder = new StringBuilder(name)

        for (def i = 0; i < cols.size(); i++) {
            if (arg[i] == null) continue
            builder.append(/ ${cols[i]}="${arg[i]}"/)
        }

        this.items << "<${builder.toString()}/>"
    }

    String build() {
        def builder = new StringBuilder("<dataset>")
        for (def item : this.items) {
            builder.append(item)
        }
        builder.append("</dataset>")

        return builder.toString()
    }
}

##dbspock を試してみる

Maven からも参照可能なように、jar を公開してあるので、これを使用して実際の使用感を確認してみます。

pom.xml
<dependencies>
    <dependency>
        <groupId>com.yo1000</groupId>
        <artifactId>dbspock</artifactId>
        <version>0.1.2.RELEASE</version>
    </dependency>
</dependencies>

<repositories>
    <repository>
        <id>com.yo1000</id>
        <name>yo1000 maven repository</name>
        <url>http://yo1000.github.io/maven/</url>
    </repository>
</repositories>

今回は以下のようなテーブルが用意されているものとします。

TABLE: SHOP

COLUMN TYPE CONSTRAINT
SHOP_ID VARCHAR(8) PRIMARY KEY
SHOP_NAME VARCHAR(80) NOT NULL
SHOP_CREATED DATE NOT NULL
SHOP_MODIFIED DATE NOT NULL

TABLE: CUSTOMER

COLUMN TYPE CONSTRAINT
CSTM_ID VARCHAR(8) PRIMARY KEY
CSTM_NAME VARCHAR(80) NOT NULL
CSTM_SEX CHAR(1) NOT NULL
CSTM_CREATED DATE NOT NULL
CSTM_MODIFIED DATE NOT NULL

これに対するテストデータの挿入コードは以下です。

RepositorySpec.groovy
class RepositorySpec extends Specification {
    def "DBSpockTest"() {
        setup:
        def tester = new DataSourceDatabaseTester(dataSource)

        def data = {
            _cols_ 'SHOP_ID' | 'SHOP_NAME'     | 'SHOP_CREATED' | 'SHOP_MODIFIED'
            shop   'SP-1'    | 'BURGER KING'   | '2015-04-01'   | '2015-04-01'
            shop   'SP-2'    | 'RANDYS DONUTS' | '2015-04-01'   | '2015-04-01'

            _cols_   'CSTM_ID' | 'CSTM_NAME'    | 'CSTM_SEX' | 'CSTM_CREATED' | 'CSTM_MODIFIED'
            customer 'CS1X'    | 'Tony Stark'   | '1'        | '2015-04-01'   | '2015-04-01'
            customer 'CS2X'    | 'PEPPER Potts' | '2'        | '2015-04-01'   | '2015-04-01'
        }

        def flatxml = {
            data.delegate = new SpockLikeFlatXmlBuilder()
            data.call()
            data.build()
        }

        tester.dataSet = new FlatXmlDataSet(new StringReader(flatxml.call()))
        tester.onSetup()

        expect:
        // Something with DB access.

        where:
        // Setting parameters by Spock.
    }
}

いかがでしょうか。

テストデータが表形式で表現されるので、DB にどのようなテストデータが挿入されるのか一目瞭然です。
また、テストコード内に一緒に記述できる一方、テストデータの作成部分が、テストコードの実施部分を汚すこともないので、レビュー負荷も大きくなりません。
テストコード内に記述されているので、指摘があれば、Github などでインラインコメントをつけることもでき、指摘されたデータは、どのテストのものなのかがすぐに把握できます。
Excel などとは異なりテキストなので、差分管理もバッチリです。

実際最近まで関わっていたプロジェクトに、試験導入してみましたが、なかなかの好評でした。
テストデータ管理にお困りの際は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
また、もっとイケてるテストデータ管理の方法を知っているゼ!ってご意見もあれば、ぜひ聞いてみたいです。

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