33
36

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 1 year has passed since last update.

自宅PCでもAIしたい!ChatRWKVでLLMをはじめよう

Last updated at Posted at 2023-04-09

自宅PCでも動くLLM、ChatRWKV

ChatRWKVは100% RNNで実装されたRWKVという言語モデルを使ったチャットボットの実装です。
RWKVは高速でありながら省VRAMであることが特徴で、Transformerに匹敵する品質とスケーラビリティを持つRNNとしては、今のところ唯一のものであるそうです。
https://github.com/BlinkDL/ChatRWKV

このChatRWKVを、一般のご家庭にあるようなゲーミングPCで、それなりに高速に動作させることができたので、導入方法を紹介します。

  • GPU: Nvidia GTX1070(VRAM 8G)
  • メモリ: 16G
  • CPU: Intel Core i7-7820HK
  • OS: Windows11

本手順のポイントは、pytorchのCUDA対応版を入れることと、環境変数RWKV_CUDA_ON=1を設定してGPUで動作するRWKVのCUDAカーネルをビルドすることです。両方CUDA使った方がよいです。
NVIDIAのグラボの乗ったPCへインストールすることを想定しています。

GPU付きのクラウドPCをPaperspace COREで借りて、ChatRWKVを動かすまでの手順を動画にしました。

Paperspace COREを使うと16GBのVRAMを搭載したA4000インスタンスが1時間あたり約0.76ドル(約100円少々)で使えて、Ravenの7Bモデルまでは動作させることができました。
Paperspaceのアカウントを新しく作る方は、こちらの紹介コードを使うと10ドル分お得になります。
https://console.paperspace.com/signup?R=2VKCZ4L

セットアップ手順

  1. Pythonのインストール
    私は3.10.4を入れていたのでそれを使いましたが、3.10系であれば動くと思います。
    https://www.python.org/downloads/windows/

  2. CUDA Toolkitのインストール
    PytorchのCUDA対応版を使うため、またRWKV_CUDA_ONにするために必要です。最新の12系ではなくRWKV公式の手順に記載された11.7を入れます。
    https://developer.nvidia.com/cuda-11-7-0-download-archive?target_os=Windows&target_arch=x86_64&target_version=11&target_type=exe_local

  3. VS2022 build toolsで「C++によるデスクトップ開発」をインストール
    RWKV_CUDA_ON=1でCUDAカーネルをビルドするために必要です。
    https://aka.ms/vs/17/release/vs_BuildTools.exe
    MSVC v143と、Windows 11 SDKと、Windows用C++ CMakeツールを入れます。
    スクリーンショット_20230406_000715_m.png

  4. ChatRWKVのインストール
    Git for windowsを入れている方は git clone https://github.com/BlinkDL/ChatRWKV を実行します。
    Gitを入れてない方はChatRWKVのGithubページ右上の「Code」から「Download ZIP」して展開してもよいでしょう。
    https://github.com/BlinkDL/ChatRWKV
    ChatRWKVフォルダを置く場所は任意ですが、私は「C:\Users\私のユーザ名\usr\ChatRWKV」にしました。

  5. Python仮想環境の作成
    ・スタートメニューの検索で「x64 Native Tools Command Prompt for VS 2022」を探して開き、コマンドプロンプトを準備します。
    ・cdコマンドでChatRWKVのフォルダに移動して、以下を実行して .venv フォルダ以下にPythonの仮想環境をつくります。
    py -m venv .venv

    ・python310.dllを準備します。
    C:\Users\自分のユーザ名\AppData\Local\Programs\Python\Python310\python310.dll.venv\Scripts フォルダにコピーしておきます。コピー元のファイルがなかったらCドライブでpython310.dllを探してコピってください。

    ・python310.libを準備します。
    .venv\Scripts フォルダの中に libs フォルダを作ります。
    C:\Users\自分のユーザ名\AppData\Local\Programs\Python\Python310\libs\python310.lib.venv\Scripts\libs フォルダにコピーしておきます。コピー元のファイルがなかったらCドライブでpython310.libを探してコピってください。

    ・RWKVでCUDAを使うための環境変数もactivate.bat(ChatRWKVフォルダの.venv/Scripts/activate.bat)に書いておきます。
    set RWKV_CUDA_ON=1

  6. Python仮想環境の有効化
    コマンドプロンプトでChatRWKVのフォルダで以下を実行して、Pythonの仮想環境を有効化します。この操作は、セットアップが終わった後も、コマンドプロンプトを新しく開いてChatRWKVを実行するたびに必要です。
    .venv\Scripts\activate.bat

  7. Pipで必要なパッケージを入れていく
    普通にpipでtorchをインストールするとCUDA非対応版が入ってしまいます。入れたCUDA Toolkitのバージョンに対応したものをPytorchのアーカイブから探してバージョン指定して入れましょう。
    https://download.pytorch.org/whl/torch_stable.html
    pip install torch==2.0.0+cu117 -f https://download.pytorch.org/whl/torch_stable.html
    pip install rwkv
    pip install ninja
    pip install numpy
    pip install -r requirements.txt

  8. モデルの入手
    RWKV-4で使える適当なモデルを入手します。RavenはRWKV-4-PileモデルをAlpaca, CodeAlpaca, Guanaco, GPT4All, ShareGPT等でファインチューンしたものです。
    今の時点では、日本語中国語を1.5%含む、RWKV-4-Raven-EngAndMoreの新しいバージョンを使うのが日本語では使いやすいのではと思います。
    https://huggingface.co/BlinkDL/rwkv-4-raven/tree/main
    1B,3B,7B,14B等はモデルのパラメータ数(B=10億)で、大きいほど賢い回答が生成できますが、それだけメモリも占有し計算も重くなるので、まずは小さめのモデルから試していくのがよいのではと思います。
    モデルはChatRWKVのフォルダに置きます。私はいったんRWKV-4-Raven-7B-v6-EngChnJpn-20230331-ctx4096.pthを使いました。

  9. 実行スクリプトv2/chat.pyの修正
    ・RWKV_CUDA_ONの修正
    os.environ["RWKV_CUDA_ON"] = '0'

    os.environ["RWKV_CUDA_ON"] = '1'

    ・モデルファイル名の修正(拡張子pthを除いたファイル名を設定する)
    args.MODEL_NAME = '/fsx/BlinkDL/HF-MODEL/rwkv-4-raven/RWKV-4-Raven-14B-v6-Eng-20230401-ctx4096' # try +i for "Alpaca instruct"

    args.MODEL_NAME = 'RWKV-4-Raven-7B-v6-EngChnJpn-20230331-ctx4096'

  10. チャットスクリプトを実行
    python v2\chat.py

VRAMが足りない場合

チャットスクリプト実行後、VRAMが足りない場合は RuntimeError: CUDA out of memory. Tried to allocate 394.00 MiB (GPU 0; 8.00 GiB total capacity; 7.22 GiB already allocated; 0 bytes free; 7.34 GiB reserved in total by PyTorch) If reserved memory is >> allocated memory try setting max_split_size_mb to avoid fragmentation. See documentation for Memory Management and PYTORCH_CUDA_ALLOC_CONF みたいなエラーが出ます。

この場合、より小さいモデルを使うか、使いたいモデルの一部をGPUのVRAMでなく普通のRAMに載せてCPUに処理させるよう変換するstrategyを採用することで、VRAMの使用量を減らすことができます。
どういったstratergyでどの程度VRAMの使用量を減らせるかについては、PyPIのrwkvのページが参考になります。
https://pypi.org/project/rwkv/

基本的にはGPUで処理させる方が速いので、各自の環境でVRAMにできるだけ多くモデルを載せられるようなstrategyを探るのがよいと思います。
私の環境(VRAM8G)では、下記の7Bのモデルは 'cuda fp16i8 -> cpu fp32 *1' のstrategyで、ぎりぎりVRAMに載りました。
python .\v2\convert_model.py --in .\RWKV-4-Raven-7B-v6-EngChnJpn-20230331-ctx4096.pth --out .\cudafp16i8_cpufp32x1.pth --strategy "cuda fp16i8 -> cpu fp32 *1"

モデルをstrategyで変換したら、それに合わせてv2\chat.pyを編集して、再度チャットスクリプトを実行します。
・strategyの編集
args.strategy = 'cuda fp16'

args.strategy = 'cuda fp16i8 -> cpu fp32 *1'

・モデルファイル名の編集
args.MODEL_NAME = 'RWKV-4-Raven-7B-v6-EngChnJpn-20230331-ctx4096'

args.MODEL_NAME = 'cudafp16i8_cpufp32x1'

VRAMの使用量

nvidia-smi.exeコマンドで確認できます。この場合、8192MiB中7996MiB(97%)が使用中です。
image.png

参考

以下のサイトが参考になりました。RWKV開発者のPENG Bo様、LLMで研究開発や情報発信してくださっている皆様、ありがとうございます。

ChatRWKVを日本語で試す(Windows11, VRAM 11GB環境)|松xRのnote|note

RWKVの7Bや14Bを遊ぶ(NVIDIA RTX A5000 16GB)

VRAM8GBのRTX3080Laptop + Window11 で、今話題の RWKV(ルワクフ)を動かしてみた | ryuuriの日記 | スラド

33
36
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
33
36

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?