FastAPI を Docker コンテナで動かしてみた

はじめに

前回の記事「CI について調べたら思ったよりシンプルだったので、FastAPI で構築してみた」では、FastAPI プロジェクトに CI を構築してみました。

今回は、そのプロジェクトを Docker Desktop を使ってコンテナで動かしてみます。

普段は uvicorn main:app --reload で動かしていましたが、
Docker で動かすことで環境の統一や配布が楽になるので、
サクッと Dockerfile を書いてコンテナ化してみました。

今回は Docker Desktop を使って、シンプルな構成で動かしてみます。

概要

本記事では、FastAPI アプリケーションを Docker Desktop を使ってコンテナ化し、効率的な開発環境を構築する方法を解説します。

具体的な手順は以下の通りです：

• Docker 環境の構築（Dockerfile、docker-compose.yml、.dockerignore の作成）
• コンテナの起動と動作確認
• 従来の開発フローとの比較

これにより、仮想環境の構築や依存関係のインストールが不要になり、docker-compose up --build 一発でアプリケーションを起動できるようになります。

プロジェクト構成

前回の記事で作成した FastAPI アプリをベースに進めます。
今回は Docker 化に焦点を当てるため、プロジェクト構成をシンプルにしています。

fastapi-test/
├── main.py             # FastAPIアプリケーション
├── requirements.txt    # 依存関係
└── tests/              # テストファイル
    ├── __init__.py
    └── test_main.py    # メインテスト

※ 前回の記事にあった client.py は削除して、今回は Docker 化に集中しています。

Docker 環境を作ってみる

Dockerfile の作成

まずはDockerfileを作成します。これが Docker イメージの「設計図」みたいなものです。

FROM python:3.11-slim

# 作業ディレクトリの設定
WORKDIR /app

# 依存関係をインストール
COPY requirements.txt .
RUN pip install --no-cache-dir -r requirements.txt

# アプリケーションのコードをコピー
COPY . .

# ポートを公開
EXPOSE 8000

# FastAPIアプリを起動
CMD ["uvicorn", "main:app", "--host", "0.0.0.0", "--port", "8000"]

docker-compose.yml の作成

毎回docker runコマンドを打つのは面倒なので、docker-compose.ymlも作りました。

version: "3.8"

services:
  fastapi:
    build: .
    ports:
      - "8000:8000"
    volumes:
      - .:/app
    environment:
      - PYTHONUNBUFFERED=1
    restart: unless-stopped

volumesでローカルのコードをマウントしているので、
開発中にコードを変更すると即座にコンテナ内に反映されます。

.dockerignore で不要なファイルを除外

.dockerignoreファイルも作成しました。
これは.gitignoreの Docker 版みたいなものです。

# Python関連
__pycache__/
*.pyc

# Virtual environment
venv/

# OS
.DS_Store

# Git
.git
.gitignore
.github/

# Docker
Dockerfile
.dockerignore
docker-compose.yml

# Coverage
htmlcov/
.coverage
.pytest_cache/

実際にプロジェクトに存在するファイルだけを対象にして、
不要なファイルを Docker イメージに含めないことで、イメージサイズを小さく保てます。

実際に動かしてみる

コンテナの起動

これまでは uvicorn main:app --reload で起動していましたが、
今度は Docker コンテナとして起動してみます。

# ビルド & 起動
docker-compose up --build

# バックグラウンドで起動したい場合
docker-compose up -d --build

従来の方法との違い：

• 仮想環境の作成・有効化が不要
• 依存関係のインストールも不要
• docker-compose up 一発で起動完了

コンテナが起動したらhttp://localhost:8000にアクセス。
ちゃんと動きました！

{ "message": "Hello, World!" }

Swagger UI もhttp://localhost:8000/docsで確認できます。

加算 API のテスト

POST /addエンドポイントもテストしてみました。

curl -X POST "http://localhost:8000/add" \
  -H "Content-Type: application/json" \
  -d '{"a": 10.5, "b": 20.3}'

レスポンス：

{
  "a": 10.5,
  "b": 20.3,
  "result": 30.8,
  "message": "10.5 + 20.3 = 30.8"
}

まとめ

今回は、前回作成した FastAPI アプリを Docker コンテナで動かしてみました。

今回やったこと：

• Dockerfile の作成（Python 3.11 ベース）
• docker-compose.yml でアプリの起動設定
• .dockerignore で不要なファイルを除外
• 実際にコンテナを起動して動作確認

従来の方法との比較：

# 従来の方法
python -m venv venv
source venv/bin/activate
pip install -r requirements.txt
uvicorn main:app --reload

# Docker化後
docker-compose up --build

手順がシンプルになり、環境構築も確実にできるようになりました。

次は、FastAPI アプリにデータベース（PostgreSQL）を追加して、
データベースも含めた Docker 構成を試してみたいと思います。