組合せ最適化問題とは
組合せ最適化問題とは、有限個の選択肢の中から、特定の制約条件を満たしながら、目的関数を最適化(最大化または最小化)する組合せを見つける問題です。
代表的な例
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巡回セールスマン問題(TSP):複数の都市を1回ずつ訪問し、出発地点に戻ってくる最短経路を求める問題
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ナップサック問題 :重さと価値が異なる複数のアイテムがある時、容量制限の中で価値の合計を最大化する組み合わせを求める問題
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スケジューリング問題:限られたリソースを使って、複数のタスクを効率的に割り当てる問題
問題を解くためのアプローチ
- 厳密解法(分枝限定法、動的計画法など)
- メタヒューリスティクス(遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法など)
- 数理計画法(整数計画法、混合整数計画法など)
があります。問題の規模が大きくなると計算時間が指数関数的に増加するため、実用的な時間で近似解を得るためのアルゴリズムが求められています。
組合せ最適化問題の難しさとは
組合せ最適化問題の本質的な難しさは、以下の要因から生じています。
1. 解空間の爆発的な増大
- 基本的な難しさは、可能な組合せの数が入力サイズに対して指数関数的に増加すること
- 例. n個の都市を巡回するセールスマン問題では、可能な経路の数は(n-1)!通りとなり、都市数が増えるとすぐに全探索が現実的ではなくなる
2. 局所最適解の存在
- 多くの組合せ最適化問題では、局所的には最適だが大域的には最適ではない解が多数存在する
- これは、単純な貪欲法や局所探索法では最適解を見つけられない可能性が高いことを意味する
3. NP困難性
- 代表的な組合せ最適化問題の多くは、計算複雑性理論においてNP困難であることが証明されている
- これは、現在知られているアルゴリズムでは、問題サイズが大きくなると必要な計算時間が非現実的になることを意味する
4. 制約条件の複雑さ
- 実務上の組合せ最適化問題では、多くの場合、複数の制約条件が絡み合っている
- これらの制約を満たしながら最適解を探索することは、問題をさらに難しくする
量子コンピュータで取り組むべき組合せ最適化問題とは?
NISQ (Noisy Intermediate-Scale Quantum) の量子コンピュータで取り組むべき組合せ最適化問題について。現在のNISQデバイスの制約(50-100量子ビット程度、ノイズの存在)の中でも、有意義な結果を得られる可能性が高い問題を選定しています。
問題タイプ | 問題の特徴 | 実装上の課題 |
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ポートフォリオ最適化 | - 資産配分の最適化 - 制約条件が明確 - リスク・リターンのトレードオフ |
- リスク制約の量子表現 - 市場データの更新頻度への対応 |
配送ルート最適化 | - 巡回セールスマン問題の部分問題 - 距離と時間の最小化 - 動的な制約条件 |
- 動的な制約の組込み - リアルタイム性の確保 |
グラフ分割問題 | - ネットワーク構造の最適化 - 明確な評価指標 - スケーラブルな問題設定 |
- グラフ構造の量子表現 - 分割数の最適化 |
施設配置問題 | - 地理的制約が明確 - 複数目的の最適化 - 離散的な決定変数 |
- 地理的制約の表現 - 多目的最適化の実装 |