概要
RMANバックアップからトランスポータブル表領域セットを作成し、Oracle Cloud Database Serviceに移行するの記事では、RMANバックアップからトランスポータブル表領域セットを作成し、Oracle Cloud Infrastructure Database Service VM(以下、DBCS)に移行する手順を確認・検証しました。
今回は作成したトランスポータブル表領域セットをExadata Cloud Service(以下、ExaCS)にインポートし、暗号化する際の作業時間を確認します。
検証環境とスペック
検証では2ノードRAC構成のExaCSであるExadata.Quarter3.100
を使用します。
シェイプ | OCPU数 | メモリ | 利用可能DBストレージ |
---|---|---|---|
Exadata.Quarter3.100(Quarter Rack) | 4 x 2ノード | 720 GB x 2ノード | 149 TB |
ExaCSの詳細スペックはExadata X8 Shapesを確認してください。 |
使用するデータ
DBCSで実施した際と同じ、Swingbenchで生成した約1048 GBのデータを使用します。
手順
ディスクグループ名などは適宜変更が必要ですが、DBCSで実施した手順と同じです。
掛かった時間
各作業工程での実行時間です。
使用するリージョンやシェイプの構成などで移行に掛かる時間は変わりますので、参考情報としてご留意頂ければと思います。
なお下記の工程はDBCSで実施した際と変わらないはずですので、作業時間を計測していません。
- ソースDBでのRMANバックアップ
- RMANバックアップからのトランスポータブル表領域セットの作成
- トランスポータブル表領域セットをターゲットホストにSCP転送
工程 | ExaCSで掛かった時間 | DBCSで掛かった時間 |
---|---|---|
ソースDBでのRMANバックアップ | - | 38分27秒 |
RMANバックアップからのトランスポータブル表領域セットの作成 | - | 1時間57分12秒 |
トランスポータブル表領域セットをターゲットホストにSCP転送(大阪 -> 東京) | - | 3時間12分26秒 |
トランスポータブル表領域のインポート | 55秒 | 1分30秒 |
インポートした表領域のデータファイルの移動 | 3時間11分36秒 | 4時間17分6秒 |
インポートした表領域のオフライン暗号化 | 1時間59分28秒 | 3時間14分33秒 |
ACFSを使う
ExaCSを使う場合、Exadata Storage Serverをストレージ領域として使用します。
ストレージ容量に余裕がある場合、Exadata Storage Serverで構成されるACFSをトランスポータブル表領域のインポート先として使用することができます。
ACFSを利用すると下記のようなメリットがあると考えられます。
- 「インポートした表領域のデータファイルの移動」の時間を短縮できる可能性がある
- トランスポータブル表領域セットやインポートした移動前のデータファイルを置くストレージを用意しなくて済む
ただし「ACFS上にはデータファイルは格納しない」となっているため、インポートした表領域のデータファイルは必ず+DATAC1
といったASMディスクグループ上に移動させて下さい。
参考: ストレージ構成 - Exadata DBシステム
ACFSの確認
ExaCSをプロビジョニングすると、下記のようにACFSが構成されています。
# dfコマンドでの確認
$ df -h
Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on
devtmpfs 355G 0 355G 0% /dev
tmpfs 709G 721M 708G 1% /dev/shm
tmpfs 355G 3.4M 355G 1% /run
tmpfs 355G 0 355G 0% /sys/fs/cgroup
/dev/mapper/VGExaDb-LVDbSys1 49G 6.6G 40G 15% /
/dev/xvdi 763G 19G 706G 3% /u02
/dev/xvda1 488M 56M 407M 12% /boot
/dev/mapper/VGExaDb-LVDbOra1 148G 1.4G 139G 1% /u01
/dev/xvdb 50G 12G 36G 25% /u01/app/19.0.0.0/grid
/dev/asm/acfsvol01-359 1.1T 40G 1.1T 4% /acfs01 ★ACFSをマウントしている
tmpfs 71G 0 71G 0% /run/user/2000
# acfsutilでの確認
$ sudo /sbin/acfsutil info storage
Diskgroup Consumer Space Size With Mirroring Usable Free %Free Path
DATAC1 359.19 119.73 110.90 92%
ACFSVOL01 3.28 1.09 1.05 96% /acfs01 ★約1.1TBをディスクグループDATAC1からACFSに割り当てている
RECOC1 89.79 29.93 28.25 94%
----
unit of measurement: TB
ACFSの領域はサイズ変更ができるため、足りない場合は下記のようなコマンドで拡張します。
# ACFSの拡張(2TBに拡張)
$ sudo /sbin/acfsutil size 2T /acfs01
acfsutil size: Resizing file system in steps
acfsutil size: Resizing file system to 1.1094 TB
acfsutil size: Resizing file system to 1.1250 TB
acfsutil size: Resizing file system to 1.1406 TB
~省略~
acfsutil size: new file system size: 2199023255552 (2097152MB)
# dfコマンドでの確認
$ df -h /acfs01
Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on
/dev/asm/acfsvol01-359 2.0T 42G 2.0T 3% /acfs01 ★2TBに拡張されている
# acfsutilでの確認
$ sudo /sbin/acfsutil info storage
Diskgroup Consumer Space Size With Mirroring Usable Free %Free Path
DATAC1 359.19 119.73 109.99 91%
ACFSVOL01 6.00 2.00 1.96 97% /acfs01 ★2TBに割り当てが拡張されている
RECOC1 89.79 29.93 28.25 94%
----
unit of measurement: TB