勉強会で発表するために資料作成することを通して知識の体系化や聞き手を意識して表現することで発表者自身が一番学びを得る。
というのが筆者自身の体験としてあって、発表駆動をおすすめする記事です。
Stack to Stock
自分で調べた情報や、実際にやってみた経験は Stack していきます。この状態でも十分に活かしてくことはできます。ただし、誰かに説明したり、少し条件が変わったり、切羽詰まった条件で活かせないこともあると思っています。これを第三者に向けて発表するために資料化することで、 Stock として、いつでも誰もが、活用できる状態になることを Stack to Stock と呼んでみます。筆者自身の体験として、 Stock されることで、未来の自分が一番助かっているかもしれません。
Stack | Stock |
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自分のやったことがそのまま記録された状態 | いつでも誰もが扱えるように整理された状態 |
Stack to Stock を推し進めるためにゆめみさんで開催されている勉強会が活用できます。
YUMEMI.grow
株式会社ゆめみでは、 YUMEMI.grow という名前で勉強会を運営しています。勉強会は毎月数回様々な領域を扱って開催されていて、発表者を広く募集しています。
YUMEMI.grow Mobile
筆者は、モバイル領域を扱っているので、 YUMEMI.grow Mobile を発表の場として活用しています。ちょうど来週の水曜に #18 の開催を予定しています。発表駆動を試すのにちょうど良い機会としてすぐに活用できます。
やさしい Swift 勉強会
iOS や Swift のテーマであれば、毎週月水金のお昼に開催されている やさしい Swift 勉強会 もあります。この勉強会はおよそ 50分程度で、前半と後半に分かれています。前後半の明確な境界はなくて、前半の談笑タイムを利用して、 LT も歓迎されます。 LT を用意していなくても、今こういうことに困っているなどの質疑を通して、発表の内容を組み立てる時間に使ってもらうこともできます。ちょうどこの記事が公開される今日もあります。
やさしい Swift 勉強会については昨年の AdventCalendar で詳しく紹介記事を書きました。昨年の同時期に 329回だったこの会は、 466回と回を重ねています。
スキルアップに繋がる技術や思考法とは?
先月12日に Androidエンジニアの有山さんとそば屋さんから学ぶ!スキルアップに繋がる技術や思考法とは? というタイトルの勉強会が開催されました。 Findy さん主催で、アーカイブ視聴も可能です( Findy への登録が必要だと思います)
発表駆動
この発表の中でも発表駆動(動画内では、発表駆動と書いてはっぴょうドリブンと読む)について語られていました。
要約すると、次にようなことが話されています。
発表ドリブンとして、コミュニティ内でまず発表しますと宣言する。そうすると、その期間までに何がわかっていて何がわかっていないのか見極めることが必要になる。発表した内容を後から振り返ると内容が浅いことも当然ある。けれど、それをきっかけに発表を見たり聞いたりした専門家が教えてくれる。
また自分のやりたいことを見つけることも重要で、その技術を使って何がしたいのか、その軸が見つかれば、ここまでできたことと、ここから先ができていない、その事実が発表に繋がる。発表することによって進んでいる感覚を得られて、やりたいことを続けるエネルギーが得られる。
やりたいことを続ける
やりたいことをやり続けるのは実は難しくて、羽生さんの言葉を思い出します。
報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続してやるのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている。
羽生善治著(2008). 決断力, 角川新書.
漫画・大使閣下の料理人の中でも、持って生まれた情熱を羨ましがられるシーンでこう返します。
何かに熱中するためには自分をどんどん焚きつける必要があります
どんどん薪をくべなくちゃ僕の情熱なんてすぐに消えちゃいますよ漫画・かわすみひろし, 原作・西村ミツル(2006). 大使閣下の料理人7, 講談社.
どちらも継続することの難しさと自分で動機付けして駆動することに近いことを語っています。
知らないこと
自分が知っていることと同じくらい、自分が知らないことも発信します
自分が知っている範囲を正確に把握し、「ここから先はまだ知らない」と線を引けることが重要です。それは、あくまで今この瞬間のスナップショットであり、成長過程の通過点にすぎません。
この勉強会では、それも踏まえて、発表会に臨むマインドについても拠り所としたい言語化がされています。
人間が何か知っていて、何かを知らないことは当たり前
仮にそんなことも知らないのかとわざわざ言ってくる人のために自分を下げる時間があるんだったら他にもっとできることがある
実例
Stack to Stock の実例として、筆者が Zenn のスクラップに書き出した内容を YUMEMI.grow Mobile で発表するためにまとめた資料との比較です。発表に向けて資料をまとめていく過程で、 GitHub App のログはどうやって出力されるのだろうか。そもそも App のコードはどうなっているのだろうか。と疑問が浮かんできて、それに対して発表までに調べられるところは資料に記載し、わからなかったところは、わかっていないこととして資料に記載しました。
Stack
Stock
スーパーマサカリゾーン
とある勉強会で、あまり自信がない箇所やわかっていなくて、有識者から知見が欲しい部分をそのように宣言されていました。前述の発表では、そのゾーンを拝借して発表を行いました。
自分にとってよくわかっていないゾーンに線を引くのに第三者から見てわかりやすく、指摘しやすくなる効果と、実はその線引きが間違っていたら、ここもよくわかっていないかもと理解を補正してもらえる効果もあって発表駆動の際には、必要に応じて併用することもおすすめしたいです。
とある勉強会というのは先月京都で行われたアニメ LT でした。下記のレポート記事でもスーパーマサカリゾーンについても触れています。
終わりに
この記事を読み終えてちょっとやってみようかなと思った人は次のことを試してみてください。
- まずは勉強会で発表すると宣言してみよう
- 今自分が調べている内容を誰かに共有してみよう
明日は @taittide さんの「CDKで作った Lambda+API GatewayをSAMでテストする件」です。