2025/02/27に日本オラクルのセミナー
「OCI Success Journey:Oracle Cloudの何が評価されてる?疑問に答える事例セミナー」
を行いました。
本記事ではセミナー本編で時間の都合で補足しきれなかった技術的な内容を補足する内容としています。
色々と新しい技術の紹介・事例の紹介がされていますので本記事で理解を深めていただくことを目的としています。
セミナーは以下のような疑問のアンサーをご説明するセミナーとなっています。
セミナー本編はYoutubeにアップされているので本記事と合わせてご覧ください!
Youtubeの動画は1本5−15分程度でクイックに見れるような構成としています😄
OCI を取り巻く潮流(約7分)
Oracle DatabsaeはなぜAI領域で選ばれる?(約16分)
OCIのデータベースはなぜAI領域で選ばれる?選択される技術的背景 編
導入パート 〜Oracle Cloud をよく耳にしませんか?
ここ最近、ニュースや業界の話題として「Oracle Cloud」や「OCI」という言葉を耳にする機会が増えていませんか?クラウド市場におけるOracleの存在感は年々高まっており、特に企業のミッションクリティカルなシステムの移行先として注目されています。
直近の主だったニュース
OCIは、クラウド市場においてますます存在感を増しています。最近では、Oracleの創業者ラリー・エリソンがトランプ大統領の記者会見に登壇し、ソフトバンクやOpenAIとともに新会社を設立し、AI分野への投資を発表しました。
Stargateプロジェクトとは?
Stargate(スターゲート)プロジェクトは、OpenAI/Softbank/OracleなどのA企業が進める次世代AIクラウドインフラの構築に向けたグローバル戦略プロジェクトです。
このプロジェクトは、特に生成AIを支える超大規模なインフラ需要の急拡大に対応するために設計されており、AIトレーニングや推論処理に最適化された大規模かつ高性能なクラウド基盤の構築がその目的です。
また、日本国内では、今後10年間で80億ドルを超えるクラウドおよびAI投資が発表され、野村総合研究所様や富士通様、NTTデータ様と連携した「Oracle Alloy」プロジェクトが進行中です。さらに、マルチクラウドの分野では、Azure、Google Cloud、AWSとの協業も進んでいます。
Oracle Alloyとは?― OCIを“自社ブランドで提供できる”革新モデル
Oracle Alloyは、Oracleが提供するパートナー向けのクラウドインフラ再販モデルで、簡単に言えば「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)を自社ブランドで展開できるフルスタッククラウド・プラットフォーム」です。
一言で言うと小さなOCIをパートナー様のデータセンターの中に構築すると言うモデルです。
また、OCI以外のメガクラウド上でのOCI PaaS同等のサービス提供を筆頭とするマルチクラウド戦略やOCI活用の幅が広がっているというニュースが発表されています。
ミッションクリティカルシステムの移行
現在、企業システムの64%がミッションクリティカルな基幹系システムですが、そのうち80%がオンプレミス環境に留まっています。クラウド移行が進まない理由として、
従来型のアプリケーションアーキテクチャ
高いパフォーマンス要件などが挙げられます。
ここがクリアできないと、全体的なアーキテクチャの見直しが必要となり、クラウドリフトのハードルが上がってしまいます。
こうした課題が顕在化している現実からまだまだミッションクリティカルシステムの主戦場はオンプレミスである事実があります。
OCIはミッションクリティカルシステムに求められる
・高処理性能(ピーク性能に合わせたサイジング
・低遅延(専有ネットワーク)
・クラスタリング(可用性+拡張性)
・ステートフル(安定したネットワーク接続)
を満たすクラウド実行基盤を提供しています。
Gen2 Cloud Architectureと呼ばれています。
特徴的なアーキテクチャとして
・L2レイヤーでのネットワーク仮想化の実現
・Leaf & Spine型のデータセンタアーキテクチャ
などを提供しています。
既存ミッションクリティカルシステムのアーキテクチャ変更を最小に抑えることで
オンプレミスでの運用を踏襲しつつ、クラウドのメリットを享受することができることがOCIの魅力です。
OCIがAI・データ分析で選ばれる理由とは?事例で見る最新ユースケース
OCIがAI・データ分析基盤として選ばれる理由を、具体的な国内外の事例を通じてご紹介しました。
OCIのAI領域における位置づけとグローバル事例
OCIはこれまでAI活用のイメージが薄かったかもしれませんが、
実際にはOpenAI、Microsoft、Meta、NVIDIA、Zoomなど、世界をリードする企業がAI用途で採用しています。特に性能、スケーラビリティ、コスト効率が評価されており、すでに多くの実績があります。
国内事例
また、国内でもOCIを利用したAI活用が広がっています。
代表的な事例を3点ご紹介しています。
国内事例1:日立製作所様の生成AI活用
日立製作所様ではOCI上のOracle Databaseを活用し、構造化・非構造化データを統合して生成AIエージェント(RAG)を実装。複雑な問い合わせへの対応が可能になり、企業内データの活用幅が大きく広がりました。
RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは?
近年、AI分野で注目を集めている技術の一つに RAG(Retrieval-Augmented Generation) があります。
これは、ChatGPTのような生成AI(大規模言語モデル:LLM)に 外部のデータを組み合わせて回答精度を高める手法 です。
通常の生成AIは、学習済みの知識のみをもとに回答しますが、RAGでは質問に関連する情報を リアルタイムにデータベースなどから検索(Retrieval) し、それをもとに 自然な文章で回答を生成(Generation) します。
これにより、
・モデルの学習範囲外の最新情報にも対応できる
・企業内の業務データを活用した高度なQAが可能になる
・精度の高い業務応答やレポーティングが実現する
といったメリットが得られます。
また、この事例の根幹を支える技術はOracle Databaseのコンバージドデータベースとなります。
RAGでは、生成AIが必要とする「検索元の情報」が非常に重要です。特にビジネス現場では、次のような多様なデータが存在します:
・業務アプリケーションの構造化データ(売上、顧客、在庫など)
・非構造化データ(文書、議事録、PDF、画像、ログなど)
・半構造データ(JSONやXML)
・ベクトルデータ(生成AIの文脈で重要になる埋め込み表現)
Oracleのコンバージドデータベースは、これらの異なる形式のデータを単一のデータベースエンジンで統合的に管理・検索できるのが最大の特長です。
そのため、従来のRAGでは難しかったような、
「業務データ」と「社内文書」を横断的に検索して回答に活かす
構造化されたKPIと非構造な顧客の声を組み合わせて洞察を得る
セキュアな社内DBからRAGを安全に実行する
といった、複雑かつ実用的なユースケースが実現可能になります。
関連する主なOracle機能:
Converged Database:JSON、XML、Spatial、Graph、Machine Learning、ベクトルなどを1つのDBで統合
ベクトル検索(Vector Search):AI向け埋め込み検索に最適
Select AI:自然言語→SQL変換で直感的なデータ操作が可能
日立製作所様でもQiitaにしていただいています!
こちらで詳しく解説されていますのでぜひご一読ください
国内事例2:ソニー様のベクトル検索とLLM基盤
ソニー様ではOCIのベクトルデータベースを使って高精度な検索処理を実現。社内のエンタープライズLLM基盤と組み合わせることで、RAGとの統合による高度な情報検索が可能になりました。
この取り組みのポイントは、以下の点です。
✅ グループ全体で社内の「Enterprise LLM」環境を展開した
✅ ベクトルデータベースとRAGを組み合わせ、高い精度の検索が可能になった
という点です
💡 OCIのデータベース機能を活用することで、RAGの精度向上と高度な検索処理の組み合わせが可能になっています。
ベクトルデータベースとは?
ベクトルデータベースとは、テキストや画像などの非構造データを「ベクトル(数値の並び)」として表現し、それらの類似性を検索するための仕組みです。生成AI(特に大規模言語モデル)と組み合わせて使われることで、RAG(Retrieval-Augmented Generation)などの高度なユースケースに対応できます。
ChatGPTをはじめとした生成AIの登場により、ベクトル検索のニーズは一気に高まりました。特に企業内データの活用においては、ただ情報を生成するだけでなく、「正確な情報を探してから生成する」=RAG構成が求められます。
OCIのベクトルデータベースは、エンタープライズでの本格的な生成AI活用を支える基盤として注目されています。
国内事例3:自治体による生成AIの行政利用
自治体にもAIの利用が広がっています。
生成AIを行政業務に活用する実証実験をOCI上で進行中。AIによる公共サービス向上を目指し、Oracle Databaseと連携した先進的な取り組みです。
Select AI:自然言語でデータを扱う新体験
OCIのOracle Databaseには「Select AI」という革新的な機能があり、SQLを使わず自然言語でデータと対話できます。以下のようなステップで、視聴データの取得からランキング作成までを自然言語で実行できる様子が紹介されました:
①合計値の取得
②ジャンル別集計
③顧客セグメントの追加
④ランキング表示
⑤最後に実行されたSQLの確認
SQLの知識が不要でありながら、裏側のSQLを確認・再利用できる柔軟性も併せ持つのが大きな魅力です。
Select AIとは? ― 自然言語でデータにアクセスできる革新機能
Select AI は、Oracle Databaseに新しく追加された革新的な機能で、自然言語(日本語や英語)でデータベースに質問できるようにするものです。従来はSQL文の知識が必要だったデータ検索を、会話感覚で行えるのが最大の特長です。
Select AIは、RAG構成にも適しており、自然言語による質問をデータベース上でリアルタイムに解釈・回答生成するためのインタフェースとして活用できます。
特にOCIのように、構造化・非構造データが統合された環境では、Select AIの価値はさらに高まります。
こちらの記事にて詳しく説明・解説されていますので合わせてご覧になってください!
トヨタマップマスター様の事例:地図データ基盤の最適化
トヨタマップマスター様では、複数システムに分散していた地図制作業務をOCI上で一元化。異なる種類のデータ(ドキュメントDB、グラフDB、RDBなど)を一つのデータベース内で統合管理することで、作業の効率化・迅速化を実現しました。
この取り組みでは、
プラガブルデータベースによる独立稼働
コンバージドデータベースによる多種データ統合が特に高く評価されました。
プラガブルデータベース(PDB)とは?
プラガブルデータベース(Pluggable Database)は、Oracle Databaseのマルチテナント(Multi-Tenant)アーキテクチャに基づいた仕組みで、ひとつの大きなデータベース環境(コンテナ・データベース=CDB)の中に、複数の独立した小さなデータベース(PDB)を組み込んで管理する方式です。
以下がコンバージドデータベースの内容説明です。
従来、多くの企業では用途ごとに異なるデータベースを導入し、構造化データ(OLTP)、非構造データ(JSON)、位置情報、DWH、機械学習用データなどを個別に管理してきました。その結果、システム間のデータ連携が複雑化し、運用コストや管理負荷が大きくなっています。
こうした課題に対して、Oracleのコンバージド・データベースは、「あらゆるデータタイプを一つの基盤で扱う」ことを可能にする革新的なアーキテクチャです。
課題
トヨタマップマスター様の従来の課題は、業務工程ごとにアプリケーション・データベースが分散していたことによる業務の複雑さ(サイロ化)という点でした。
それぞれの業務に特化したシステムを採用するということが1つの要因です
それぞれのユースケースカットで製品選定をすることは合理的である一方でシステム運用・利用に際して複雑化を招く可能性があります。
データベースが用途ごとに分散している環境では、さまざまな“断片化”が起こり、企業のIT運用に大きな負担をもたらします。まず「管理の断片化」が発生し、各データベースごとに異なる管理手法や専門知識が必要となるため、運用負荷や属人化リスクが高まります。また、「データセキュリティの断片化」も深刻で、セキュリティポリシーを各データベースに個別適用しなければならず、変更のたびに全体へ反映する手間がかかります。
こうした課題を解決したのがOracle Databaseのコンバージドデータベースとなります。
OCIがAI時代に選ばれる理由まとめ
AI基盤で選択される理由のまとめとして、OCIのベクターハブ。これは構造化データ、非構造化データ、ベクトルデータを単一のデータベースで統合し、AI活用の精度や運用効率を最大化するための中核機能です。
・データの一元管理
・シームレスなデータ統合・参照
高精度なAI活用これらを実現できるOCIのアーキテクチャが、AI領域での選定理由となっています。
まとめ
本セミナーでは、OCIがどのように評価され、どのような活用が可能なのかを具体的な事例とともに解説しました。
OCIの活用方法を知りたい方は、ぜひ他の動画もアップされていますのでご覧になってみてください!
今回ご紹介したセミナーは以下にアップされています。
本記事と合わせてご覧ください!