Phenix refinementにおいてcootなどで導入したリガンド、タンパク質間の共有結合は必要に応じて自動で形成されるが、タンパク質の構造次第では難しい場合がある。その場合、自動形成はオフにし、マニュアルで結合する原子を指定する方法を取ることができる。
色々検討した結果、本方法がよさそうなので備忘録として残したものである。
参考資料
automatic linking optionをオフにする。
- 通常通り、Refinement用のファイルをinput dataタブで設定した後、Refinement settingsタブに移動する。画面上のAutomatic liking optionをクリックする (図1、図2)。
- 画面下のLink noneをクリックし、自動リンクをオフにする (図3)。
図3 Automate Linking Optionsの画面
手動で結合のある原子を指定する。
- Refinement settingsタブ, Strategy項目のSelect atomsをクリックする (図4)。
- 図5のようなページが開くのでCustom Geometry Restrainsタブを選ぶ。
- ついで、Bondsタブを選ぶ。
- Add Bondsをクリックすることで必要な数だけ行を追加する。
- Selection 1とSelection 2に該当の原子の情報を記入する。Distanceはそれぞれの結合に応じた結合距離を入力する。Sigmaは0.02と指定する。Symmetry operatortorとSlackは未入力でもいい。
- Selectionに入力するべき内容は以下を参考にする。
#かっこの中に入力、'B'はchain ID, 938は残基番号、OGは該当の原子、今回はセリンの側鎖水酸基である。
(chain 'B' and (resid 938 and (name OG )))
- 作成した情報はExportにより保存できる。Loadから読み込むこともできる。
- 必要情報を入力が、左上の「Save and Close」で閉じる。
- あとは通常通りrefinementを行うと良い。
モデルを利用した原子の選択
Selectionに直接入力する以外にも構造モデルを表示させることで原子を選ぶ方法もある。図5上のモデルから選択可能である。しかし、このツールは使いにくい。選択すると図6のような画面が表示される。以下の方法で入力可能である。- モデルツールを開く
- View Controls, ColorをElementに指定する。
- Selection Controls, SelectをAtomsに指定する。
- 目的のリガンドがある箇所にzoomする (使用感はpymolなどとほぼ同じである)。
- Edit Selectionをクリックする。
- 目的の原子をクリックする。白いバツ印が表示されます。
- Acceptをクリックします。
- Selection Editorに目的の原子情報が表示されているか確認する。
- 同様の操作をついとなる原子に対して繰り返す。