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【サービス運営編】生成AIドリブン個人開発のススメ〜公開後一ヶ月経った結果〜

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こんにちは。わいけいです。
生成AIドリブンでサービスを個人開発したので、今回はそれについて書いていきます。
技術的な内容は別記事で書いているので、この記事では技術以外の面について書いていきます。
具体的には、

  • ユーザー登録数などのKPI状況
  • 集客方法
  • 個人開発サービスを運営していく上で発生した問題
    などについて書いていきます。

※なお、このサービスは生成AIなんでも展示会vol.4に出展するために開発開始したものになります。
改めて運営の皆様には感謝申し上げます。

MydayAIとは

最初に今回開発したサービスについて紹介させてください。
MydayAIは日記型の生活行動記録サービスです。
これは日々の生活の中で、いつ何をどれだけやっていたかの情報をサービスに記録し、それをグラフで可視化したり、AIによるレポート生成ができたりするサービスです。
一言でいうと時間の家計簿をつけることができるサービスです。

MydayAIを作成した背景

最初に開発の背景について書きます。
以前、参加者として行ってみて面白かった「生成AIなんでも展示会」に自分も何か出してみたくなり、何か出せるものはないだろうかと考え始めました。

自分は普段から業務の中で生成AIを使った開発をしているものの、あくまでもWeb系のエンジニアということもあり、なかなか展示会に出せるようなアイデアは思いつきませんでした。
そんな中、アイデアを出すべく過去に思いを馳せていると、なぜか大学受験時代を思い出しました。
自分は大学受験の浪人をしていた時に、毎日の勉強記録をつけていました。
当時は日々の勉強した内容を記録して、今日1日で自分が昨日と比べて何を学んだのかということを書き留めていました。

例えば、

X月X日:17:00~19:00 英語

といった記録をつけるイメージです。
あと、ついでにその日覚えた英単語や模試で間違えた問題などをメモしていました。

それを見返すことで知識の定着度を高め、かつ時間の使い方を反省したりしようとしていたのです。
結果的に、毎日学習内容を1日の終わりに記録としてアウトプットすること自体が一つの質の良い学習として機能しました。
また、本番前にその日記を見返すことで謎の自信を持って試験に臨むことができました。

このように、日々の記録をつけるというのは我ながらいい試みだったものの、大学受験が終わってからは長い間忘れてしまっていました。
ですが、最近エンジニアとして受けていた案件を一つ減らしたことによって暇になり、毎日をだらだら過ごすのも良くないな、ということで日記をつけるのを再開していたのでした。

当初はスプレッドシートで生活を記録していたのですが、それだと記録をつけるのが手間だったり、消費時間の集計がやりにくいという問題がありました。
そこで、この行動記録を自分にとって最適なWebサービスにして、さらに展示会にも出せれば面白いかも……!と思ったのでした。
そして、生成AIの展示会に出すのであれば、AIが日記を分析してアドバイスをくれたり喝を入れてくれたりするともっと面白いかも…と妄想が膨らみ、AI系の機能も搭載してみることにしました。

AI絡みの機能

MydayAIでは通常の日記機能に加えて、下記の機能が利用可能です。

  • 日記をAIが分析してレポートを出力する機能
    →日記から性格分析をしたり、生活満足度が高い日の傾向を生成AIで分析したりする機能です。自分で分析の切り口を指示することもできます。
  • MydayAIをSNSでシェアしてスクリーンショットをアップロードすると、それをAIが分析してポイントを付与する機能
    フォロワーが多いアカウントでシェアするほど付与ポイントが多くなります。

AIレポート機能について

もともとMydayAIは、ただ日記をつけて楽しむというよりも、日々の行動記録を分析して生活を改善するということに主眼を置いています。
行動記録を自分で分析するのもいいのですが、AIによって客観的に評価するのも面白いかなと思ってこの機能を作成しました。
何日か日記をつけてみて、それをAIに読み込ませて自分の性格の分析や、充実していた日の傾向、理想の休日プランの提案などをさせるようプロンプトに入れ込んでいます。
ユーザーが特定の指示を入れ込んで、レポートをカスタマイズすることも可能です。

SNSシェア・スクリーンショット分析機能

前述のAIレポート機能は、使うごとにポイントを消費する仕様にしました。
制限を設けているのは単純に、無制限に使用されるとLLMのAPIコスト負担が増大してしまう懸念があったからです。
そこでポイント制度を導入して、AIレポート機能を使うごとにポイントが消費されるという仕組みにしてみました。

では、ユーザーがこのポイントを増やすにはどうすればいいかという話ですが、現状だとMydayAIをSNSでシェアしてそのスクリーンショットをアップロードしてもらえば、ポイント付与が行われるようにしています。
このポイント付与も一律で行われるのではなく、そのSNSアカウントのフォロワー数や文言などに応じて付与するポイント量を調整しています。

ご存知の通り、最近のLLMは画像を読み取る能力が非常に高まっています。
そのため、そもそも関係ない画像をアップロードされた場合にポイントを与えないといった制御や、影響力のないアカウントよりも影響力のあるアカウントでシェアしてくれた際に多くのポイントを付与するといった制御が可能になっています。

また、この機能では一回のSNSシェアで何度も同じようなスクリーンショット画像を撮影してポイントを荒稼ぎすることもできますが、そちらもLLMを使えばうまく防ぐことができます(今回はその辺は厳密に作っていませんが)。

例えば、同一のユーザーが、同一SNSかつ同一フォロワー数帯のアカウントでMydayAIをシェアしたとしても、ポイント付与は1回のみといった制御も可能です。
このような、画像などのメディアの内容によってアプリケーションの動作を制御するという機能は、LLMが出てくるまではかなり実現が難しいものでした。
今後こういった機能が流行ってきたら面白いなとぼんやり考えています。

MydayAIのKPI状況

さて、せっかくなのでこのサービスのKPIを一部載せておきます。
現在、本番環境を構築してから27日が経過しているのですが、その時点での数字です。

項目 数値 評価
累計登録者数 96アカウント
退会者数 3アカウント
総日記数 156日分
売上総額 0円 -
広告宣伝費 0円 -

まず、登録者数が96アカウントもあるのは自分でもかなり驚いています。
今までも小規模なサービスを作ってきましたが、自分としては広告宣伝に1円もお金をかけずにここまでユーザーがついたのは初めてです。

流入経路としては、現状、ユーザー登録に最も寄与しているのがGoogle検索からの流入になっています。
とはいっても、特にオウンドメディアとしてサイトに記事を書いているわけではありません。
Google Search Consoleを見たところ、「mydayai」という指名検索でユーザーが流入しているようです。

おそらく後述の公式noteやXなどでMydayAIの名前を知った人が「この怪しいサービスは何やねん」と感じてサービス名で指名検索しているのではないかと思われます。
なので事実上は、noteやXでの広報が最もユーザー登録に寄与していると推測されます。

さて、その公式Xとnoteアカウントについてです。
こちらは単純にX上でユーザーをフォローしたり、地道に記事を書いたりとコツコツと宣伝を続けてきたものです(広告宣伝費0円というのはあくまでもペイド広告を使っていないということであり、労力は投下しています)。
Xでさまざまなアカウントをフォローしていると、例えば学生さんなどは興味を持って登録してくれる確率は高いものの、日記を一日も作成せずに離脱する確率も高い、などの傾向が見えてきて面白いです。
もともとは自分の受験勉強での経験を基にスタートしたサービスですが、実際に使ってくれているユーザーの年齢層は割と高めなようです。
これは、UIが一見複雑で難しそうに感じるということも影響していそうです。

退会者が3名というのは多いのか少ないのか分かりません。
ただ、一人目の退会者が出た時点で退会ページに退会理由をはっきり書くように変更したので、記入が面倒くさくなって退会していないという人もいるのかもしれません。
(ちなみにこの変更は、退会者を減らしたいという意図からやっているわけではなく、純粋に詳細な退会理由を知りたいがために行いました。)
個人的な意見としては、退会したがっているユーザーを無理やり引き止める意味はない(DBなどにデータが残っている分、わずかですがこちらの負担が増えるだけ)と思っています。

総日記数については判断が分かれるところかもしれません。
こちら、MydayAIに登録してから、おそらく他の日記サイトから日記を引き継いできたのか、過去の日付の日記を作成する人が時々現れています。
そのためにアクティブユーザーよりもやや多めに見えているきらいがあります。
どちらかというと、登録はしたものの、日記を書かずにやめるという人が割合的には多いです。

正直MydayAIを知人に見せると、UI/UXについてネガティブなフィードバックをもらうことが結構多いです。
よくあるのが、「入力方法が分かりにくい」「何をしたらいいのかが分かりにくい」といったものです。
この点については後述します。

さて、売上と広告費が0という点に関してですが、こちらは完全に予想通りです。
そもそも現状だと課金導線が存在しないため、仕組み上、売上が発生することはありません。
また、有料広告なども一切出稿していないため広告費用も0になっています。

リリース後に発覚した問題点

実際のユーザー含め、MydayAIを触った人からのフィードバックとして、「UI分かりにくくね?」という声がたくさんありました。
確かにその通りかもしれません。

そもそも一般的な日記アプリと違って、自分の行動の時間配分を記録するという特性上、タイムライン形式の入力を行う必要があります(ユーザーの意思で省略することはできます)。
慣れないうちは、まずその辺の入力方式が面倒くさい、というか分かりにくいと思います。
そして日記を作成しないことにはAI分析もできず、何も始まりません。

この辺に関しては正直自分もかなり悩んでいます。
というのも、「日記の作成が面倒くさそう」というのは自分も開発しながら薄々感づいていた部分ですが、なかなかいいUIを作成することができなかったんですよね。
最初のユーザーである自分自身が記録したいデータは余すことなく記録できるようにしたかったので、(慣れれば)高速でデータ入力が可能なタイムラインといった要素はまず落としたくありませんでした。

いろいろ試行錯誤はしたのですが、タイムライン入力のようなものはその性質上、複雑な入力方式をせざるを得ないか……という結論に落ち着いてしまいました。
また、自分は基本的にバックエンドのエンジニアであり、UI/UXデザインやフロントエンドの実装という面で高いスキルがあるわけでは全くないので、純粋に技量不足も響いてしまっていると思います。

こうした背景もあり、登録はしたものの、日記を書かずに離脱するという人が多いのが現状です。(とはいえ、他の日記アプリの状況を知っているわけではないので、日記作成率が高いか低いかというのはあくまでも主観評価になります)
しかし、一部の人は気に入ってくれているようで、がっつりと日記を書いてくれているという状態になっています。
自分としてはUIを分かりやすくできるならしたいけど、個人開発としてやっている以上、ラーメン屋の頑固おやじのように今のスタンスを貫きたいという気持ちもなくはないです。
揺れています。

AI機能の悲劇

さて、先ほど紹介したAI機能についての悲しい話もあります。
AIレポート機能やSNSシェア画像のAI分析機能ですが、結論としてこれらの機能は全然使われていません。

まずAIレポート機能ですが、こちらは下記のような理由で使われていないと判断しています。

  • そもそも需要がない可能性がある
  • 最低でも日記を5日分書かないと使えず、ハードルが高い
  • ポイント消費がハードルになっている

日記を書きたい人はあとで自分で見れば十分であり、それをAIに分析してもらいたいというニーズがそもそもないのかもしれません。
また、開発時の検証で、やはりある程度の分析対象のデータがないと出力も役に立たないものになってしまうことが分かっていたので、最低でも5日以上日記を作成していないと使えないという仕様にしています。
これが裏目に出ている可能性があります。
また、AIレポートを作成するたびにポイントを消費する仕様にしたのですが、これも心理的なハードルを上げてしまっているのかもしれません。

この背景によって、そもそもポイント消費自体が全く行われていません。
結果的に、SNSシェアによるポイント回復をするインセンティブも現状ほぼない状態です。

また、リリース後少し冷静になってきて思ったのですが、仮にポイント需要があったとしても、SNSでシェアしてスクリーンショットを撮るという行為自体が結構ハードルが高いため、SNSシェア機能が使われる可能性はさらに低いかもしれません。

予想よりも多くのユーザーが登録してくれたと言いましたが、MydayAIはAIアプリとして評価されているわけではなく、あくまでも特定の層に需要があるストイックな日記アプリというのが実態であるようです。

終わりに

さて、ここまでリリースしたての個人開発サービスであるMydayAIの全般的な内容を広く浅く紹介しました。
依然としてAIブームが続いており、AIを使ったサービスや機能を各社が開発していますが、AI絡みの機能が「作れる」と「使われる」のは全く違う話だなと改めて思います。
LLMプロバイダーのAPIを使えば、サービスにAIを組み込むことはごく容易ですが、「無理やりAIを組み込んだが、需要がなかった」という事象が世界中で発生していると思われます(過去の経験を思い出し、落涙……)。

ひとまず話題性のためと割り切るのもありかもしれませんが、私も何かうまい活用法がないかと試行錯誤していきたいです。

(AIは)開発者のコーディングサポートなどの領域では信じられないくらい役に立つんですけどね……。
うーん、難しい!

最後に宣伝です。
今回紹介したMydayAIは、下記から試すことが可能です。

また、生成AIなんでも展示会vol.4に出展予定なので、当日はできるだけ常駐しているつもりですので、興味がある人はぜひブースを覗いてみてください。

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