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No Estimateに至った幸せな世界

Last updated at Posted at 2019-01-17

RSGT2019お疲れ様でした。
3日もスクラムと改善にまつわる話を聞いたり話したりしていて楽しかったです。
なかなか自分の中でしっくりまとめられないので、1番感激した「No Estimate」の話に絞ってまとめてみました。

それは2日目の基調講演で、Chris Lucian氏から発せられました。
「No Estimate」の概要は、計画を綿密に立てても途中で変更があると無駄になるので、見積もりを止めたらユーザーのニーズにより早く応えられるというものだと考えています。
彼のチームでは何年も見積もりをしていない状態で上手くいっていると聞いて、何よりチームの強さに驚いて感動していました。
他にも茹でガエルの話や作業環境を整える話などありましたが、本題では無いので割愛します。他の参加者の記事を参考にしていただきたいです。

ユーザーから信頼される

「No Estimate」は、刺激的な言葉ではありますが、本質はユーザーから信頼されるための工夫の一つだと思いました。
そう聞くと、先にユーザーから信頼が無いと見積もりやスケジュールを決めないで作業を進めるのは無理だと思うかもしれません。
しかし実際には逆の心理が働いていると思うのです。

ユーザーは早く欲しいものが欲しい

現代のユーザーは、自分でも何が欲しいのか明確に分かっていないけれど、今にも欲しいものを使いたいのです。
我侭なオーダーメイドみたいですね。
以下の絵はアジャイルとウォーターフォールの有名な比較ですが、ここでのスケートボードを早く手に入れたいと考えてください。
agile_bicycle.png

Illustration of MVP product development by Henrik Kniberg

そして、ニーズとのギャップや感想をフィードバックして、さらに次のニーズへ応えてくれることを期待しています。
ユーザーは車が欲しいかもしれませんが、それまで自転車やバイクを試してみたいし、本当に欲しいものは車ではないかもしれないのです。
それは試してみるまで分かりません。
アジャイルであるなら、見積もりを無くした分だけ早く届けることで期待に応えるサイクルを早められて、結果的にユーザーのニーズに応えやすくなります。

チームは良い評価が欲しい

チームは自分たちの成果物について常に評価を気にしています。
人生の中で仕事は大きな部分を占めているからです。
仕事で失敗してしまうと人生に傷がつく事だってあります。
給与もさることながら、1人の人間として自尊心やチームで成し遂げた達成感が満たされて欲しいとさえ願っていて、それに気付いていないことが多いです。
だからユーザーを満足させることは、チームを満足させることにも繋がるのです。

まずスクラムする条件をクリアする

しかしながらスクラムの話は大体が「とても素晴らしいが、自分たちのチームで採用できない」という問題に当たると思います。
何故かと言えば、そういうチームはメンバーが信頼し合えていないことが多いです。
エンジニアは技術こそパワーなので、技術力が無いと尊敬対象にならないこともありますが、必ずしもそれだけが原因ではありません。
お互いの期待に応えていない不満から尊敬できていないのでは無いかと思うのです。

自分自身への期待と相手からの期待が合っていれば、あとは仕事をこなしていけば信頼が貯まっていきます。
チームメンバーを最も身近なユーザーだと置き換えて、最後の自動車に辿り着いた時がチームで信頼し合っている状態になるのでしょう。
そうなればスクラムが始められます。見積もりも無くせるでしょう。
何より、幸せになっていると思います。

そこに至ったチームが既に存在しています。
それが何より勇気付けてくれますし、我々もそうなりたいと思います。

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